「ウエハースの椅子」江國香織
★★★★☆
実は江國香織の小説を読むのはこれが初めてだったんですけど、
凄く良かったです!
なんで今まで読んでなかったんだろうか・・・ってくらい好きな感じの小説でした。
物語らしい物語はないんですけど、主人公の女性の繊細な心の動きや、抱えている闇のようなものが凄くキレイな文章で表現されています。
主人公の女性は未婚の中年女性。
妻子のある恋人がいる。
職業は画家で、母親と同じ職業。
彼女には妹が一人いるが、性格は正反対といってもいい。でも、うまくやっている。
そして、たまに家に訪れてくるのが絶望。
彼女は絶望とも親しい。
やあ。
そう言ってときどき訪ねてくる。。。。
最初にも書きましたがこの小説には物語らしい物語はありません。
主人公の女性の心理描写がひたすら続きます。
彼女の細々とながら幸せに暮らしているように見えますが、心の中に大きな闇を抱えているように見えます。
時々訪れてくる絶望はその闇の象徴なんでしょうか。
子供の頃に深い闇の中にいたそうで、子供の頃を回想するととても絶望している様子がうかがえます。
この女性の抱えている闇というのは実は結構誰もが抱えているものなんじゃないか、って思うんですけど、結構みんなそのことを忘れて生活をしている気がしました。
自分自身にも似たような闇があるような気がこの小説を読んでいると感じます。
タイトルの「ウエハースの椅子」ってのもいいです。
ウエハースの椅子は、私にとって幸福のイメージそのものだ。目の前にあるのに----そして、椅子のくせに----、決して腰をおろせない。(P.56)
お菓子のウエハースで椅子を作るのが好きだった主人公。
小さくて、きれいな、誰も座れない椅子。これが彼女の幸せの象徴なんですね。
複雑な感情ですが、なんとなくわかる気もします。
この女性は映画や音楽が好きなようで、時々見た映画の話しを妹としていますが、なかなか自分と趣味が合いそうな映画のチョイスをしています。
「アムス シベリア」
「マイネームイズジョー」
「運動靴と赤い金魚」
「バッファロー66」
などのタイトルが出てきますが、比較的好きな映画ばかりです。
特に「運動靴と赤い金魚」はかなり自分の中では大好きな映画なんで、この主人公の女性とは映画の話しができそうです。
音楽はクラシックが好きなようです。
彼女の生活と正直凄く羨ましいものに見えます。
私は仕事が好きだ。絵を描いていると落ち着し、他のことはなにもかも忘れてしまえる。そういう作業は、私の人生において、記憶にある限り三つしかない。絵をかいている時間と、蝶ちょをとっている時間、それに、雪の日に空を見上げている時間。(P.42)
なにもかもを忘れてしまえる時間を仕事にできるなんて幸せなことだなぁ、って思います。
自分もこんな生活がしてみたいって思いました。
気になった方はぜひ読んでみてください。
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