「ためらい」ジャン=フィリップ・トゥーサン
★★★★★
久しぶりに読み返してみましたが、
すっごくおもしろかったです!
トゥーサンの小説って、どこかひょうひょうとしているんだけど、文学的な香もして、内容も単純なんだけど、奥が深い印象を受けます。
この小説を一言で表すなら
なにも起きないサスペンス小説
でしょう。
なにも起きないんです。
とにかく、なにも起きない!
でも、スリリングで、謎めいているサスペンスの要素がちゃんと存在してるんですよ。
物語は主人公である”ぼく”が生後8カ月の息子を連れて海辺の村サスエロに到着するところから始まります。
サスエロにやって来たのは、ある意味ではビアッジ家の人たちに合うためだったが、主人公は「なにやら謎めいた不安に引き止められて」会いに行くのをずるずる引き延ばしにしている。
主人公は村のホテルに部屋をとり宿泊することに。
意を決してビアッジ家に向かうが郵便ポストの中をみて一週間ほど前に自分が出した手紙を見つけ、それを失敬してしまう。
サスエロに行く。といった内容の手紙だったので、その手紙がまだビアッジの手元に届いていないということは、まだ会いに行くのを先延ばしにできる。
夜中にホテルを抜け出し、海岸へ向かう主人公。
ホテルへ帰ろうとすると、開けておいたはずの窓が閉まっている!
誰かがぼくを締め出すために閉めたんだ。でも、一体だれが・・・・?
ビアッジにちがいない!
実はビアッジはこのホテルに滞在しており、自分がサスエロに到着しているのをすでに知っている!そして、ぼくの行動を逐一監視しているのだ!
そして、ビアッジが滞在しているはずの部屋のキーを失敬した主人公はその部屋の扉を開けることに・・・・・・
といった内容。
この主人公の妄想がもうとでもなくたくましい!
なにかあると、
ビアッジが!?
ってすぐ妄想が始まるんだもの。
で、結局。あれ違ってた?みたいなことの繰り返し。
そもそも、なんですんなり友達の家に行かないのかも謎だし、ビアッジに対してなんでそんなに警戒心を抱いているのかも謎。
で、せっかくサスエロの村までやってきたのに、目的の友人宅訪問を先延ばしにして、なにをするわけでもなく村を散策する日々。
何しに来たの!?
って誰もがツッコミを入れたくなる。
なんでもかんでもビアッジのせいにするなよー。
ってツッコミも多いに入れたくなる小説です。
でも、この何もないのにさも何かありそうな感じ。
というのは凄いと思いますね。
ひたすら妄想だけで小説1冊書けてちゃんと面白いんだから本当に凄いと思いました。
フランスの作家さんだけあって、フランス映画に通じる雰囲気を感じました。
せっかくなんで他の小説も読み返したいと思います。
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