ミヒャエル・ハネケの作品は見るのみ少し勇気がいる。
そんな映画を作り続けている印象があります。
「ピアニスト」や「白いリボン」など、かなりショッキングな内容でした。最新作の「アムール」は凄くショックな内容というわけではありませんが、身近な問題でかなり色々と考えさせられる内容でした。
個人的な感覚としては、過去のハネケ作品で思い出したのは「セブンス・コンチネント」でした。淡々とラストへと突き進んでいく様子が近いと感じたのかもしれません。
ただ、「セブンス・コンチネント」の場合はあまり共感できる内容ではなかった気がします。しかし、今回の新作では現代社会で生きていく上で全ての人が遅かれ早かれ直面する問題なのではないかと思います。
「愛、アムール」は一組の老夫婦の物語です。
ある日、突然病に倒れた妻。
その妻を支える夫。
今の日本でも問題になっている老老介護という状態。
倒れた妻はすぐに手術を行うが、手術は失敗。
家に帰って来た妻は夫にこう言う
「二度と病院に戻さないと約束して」
この約束を守り、夫は一人で妻の看護をする。
じょじょに病状が悪化する妻。
ヘルパーを雇い、何んとか介護を続ける夫。
この映画は本当に人ごとではない。
そして、あらゆる立場でこの問題を考えるようにできている。
自分が病に倒れたら?
愛する人が倒れたら?
親が倒れたら?
友達が倒れたら?
近所の人が倒れたら?
僕はどうするだろう?
自分の両親がいつまでも元気でいる保障はどこにもなく、長男である自分の役目も本気で考えなかればならない時期が近付いている。と本当に感じた。
映画としても非常によくできていて、演出も素晴らしく、ハトが部屋に迷い込んでくるシーンなどは絶品でした。
夫婦が音楽家であることもあり、音楽も素晴らしかった。
そして、おそらくこの映画は非常に低予算で作られたのではないかと思います。
出てくる役者はほんの数人。おそらく10人も出てない。舞台は老夫婦の家の中のみ。
お金をかけなくてもいい映画は作れるお手本。
よくハリウッド映画のCMで「製作費○○←(凄い金額)!!!」みたいなこと言ってるけど、なんでそれが売りなるのかさっぱりわかりません。
自分や、家族のことをじっくり考えるきっかけになるような映画です。
まだの方はぜひ☆
