この映画は映画館で観て以来ちゃんと通して観てなかったんだけど、久しぶりに観るとやっぱ凄い名作!!
様々な要素を含みながらも、ちゃんとエンターテイメントとして成立してて、時間も2時間くらいでおさまってるのが素晴らしいですね。
あらすじは、もうご存じだと思うんですけど、10歳の少女千尋と両親が不思議な町に迷い込み、そこで両親は豚になっちゃう。豚になった両親を元に戻すために、不思議な世界で八百万の神々が集うお風呂屋さん(油屋)で働くことになる。って感じです。
この物語はいわいる少女の成長の課題を描いた映画だと思うのですが、中でも注目すべきは「礼儀」と「食事」ではないかと思います。
お店から漂う美味しそうな匂いに誘われ、汚く、礼儀もなく、お店のご飯を勝手に食べた両親は豚になります。
一方、千尋の食べる食事はハクが「元気が出るように」と思いを込めたおにぎりです。そのおにぎりを少しずつ噛みしめるのです。
千尋の迷い込んだ世界では人間はいなく、人間は臭いらしい。しかし、この世界のものを3日も食べていれば匂いは消えるという。
食事により世界に適応するのですね。
この世界は礼儀に関してもかなり厳しく、窯爺のもとから湯婆婆のもとに行くために、リンという少女に連れて行かれるシーンで、リンは千尋に口うるさいくらい礼儀を正すように促す。
「窯爺に礼を言ったのかい?世話になったんだろ!?」
最初はあいさつもできなかった千尋は、油屋で働くうちに、礼儀正しい子へと成長します。
これらの、「食事」や「礼儀」というのは現代社会においてあまり重要視されていない気もしないでもないですが、実際はとても大事なことだと思うのです。
他の要素としては、人間関係の問題も。
カオナシという黒い影のような存在がいるが、このカオナシはどことなく現代っこ的な不安な要素のある存在のような感じもします。人間関係を得意ではなく、自分の思い通りにならないと急にキレたりする。
親子関係の問題でいうと、湯婆婆の息子である坊は甘やかされてわがままな性格に、しかも食べ過ぎて肥満体形です。
千尋の母親は娘にあまり関心がないように見える。
溺愛もいけなし、無関心もだめ。という感じがしますね。
宮崎作品で共通している自然環境問題ももちろん取り上げています。
油屋にやってくるお客の中に腐れ神という、ヘドロのような神様が来るエピソードでは、実は汚染された河の神さまだった。
ハクも実はマンション建設で埋め立てられた河の神様である。
これらの様々な要素をエンターテイメントとして成立させ、物語として伝えることができる能力というのは宮崎駿の凄い才能を感じさせる作品ですね。
ただ最後、人間に戻った両親と共に人間世界に帰っていく千尋ははたして幸せなのかなー?とちょっと心配になります。
油屋では、みんなに必要とされ、みんなに好かれている千尋。恋人のハクもいる。
人間の世界に戻っても、冷たい母親と友達のいない転校先の学校に行かなくてはいけない。
どっちが幸せなのかなー?って思ってしまいます。
映画も好きな私の最新DJ-Mixはシューゲイザー☆
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