Rock'n'roll SUI-side -231ページ目

Record 12


『夏の夕暮れ』

坂を上る僕の吐息
陽炎にあわせてユラユラ揺れる
霞む風景に目を奪われ
涼しげな風に身を寄せる
暑さが残るこの時間
蒸発しそうな僕の体
奪い合う+と-が僕を侵食していく

蝉のなく遊歩道
揺れる葉にそっと触れて傷をつける
酸素が僕に染み込んで少し酔いそう

フラフラな僕をそっと包むそよ風と
僕の視界を奪う陽炎と
頼る勇気のない僕
そっと去っていく蝉の声

そろそろ帰ろうかな
夕立が降る前に…

Record 11

『ある公園の朝』

揺れる揺れる並木道
細く細く泣く木の声
ただただ佇む僕の音
消えてしまいそうなくらい小さくて
無くなってしまいそうなくらい大きくて
そろそろ帰ろうかな

不意に聞こえる君の声
鳥の声より響いて
陽炎より美しい君の姿
それは自分の造りだした造形で
とてもとても儚くて
そんな君にあいにこの公園に

少し眠そうな君の顔
もとは大きい君の目が今は小さく
揺れる
とても小さく
目を閉じれば見えないくらい

暗い電灯のした
役目を終えた彼にもたれて
体を預ける君の仕草
とても不愉快
消してしまいたい

新しい形を考えなきゃ
もっと綺麗な君の姿を

本当に消えるのは僕なのに

Record 10

『無題』

傷をつけたその顔、体
傷をつけてぼくの心に
香ばしく臭うその指で

縦に裂かれた胸の傷を
癒す力がない程に力強く

愁いに満ちたそのからだで
横に

十字架を抱く僕の体は
誰かを救うことも出来ずに
ただ傷をつけて
歎きにこう
助けを求めるこの口を
縫って喜ぶ君の顔
傷をつけて泣き喚く君の心

腕に裂かれた傷から血を流して
叫び狂って

逃げる事も
拒絶する事も許されず
傷を増やす事だけを許され
自由すらないと

願いも届かず
失い心も拾えず
運命に生きて

断ない鎖が首に減り込み
苦しむ君と
サヨウナラ

奴隷の僕の最後の抵抗