「精神は物質に優先するのだ」



歯磨き粉と25ドルときれいな靴で、
1週間以内に脱獄できるのか?


そんな感じで主人公の「思考機械」が、
難攻不落の監獄から
脱獄を試みるこのストーリー。


とにかく、ミステリの宝石箱のような作品で、
この短編の中には、


タイムリミットサスペンスでありながら、
物理的密室トリック・心理トリック・
暗号トリックにダイニングメッセージ的なものまでもりこんであります。


ほんとうに最後に全部解決するのかよ、などと
少なくなっていくページ数に気をもませ、



読み手の不安も
タイムリミットサスペンスにいざないながら、


最後には見事に散らかした
宝石を箱に収める名人芸です。


本編の見どころベスト3は・・・


①異端者である名探偵「思考機械」のキャラクター
②なぜ、「思考機械」はやせ形なのか?
③思考機械の「精神は物質に優先するのだ」は本当か?



「思考機械」ものは、
短編集3冊にまとめられております。


折を見て、ほかの作品も
読んでみたいと思います。


(実は、この作品以外読んでいないので・・・)


著者のジャック・フットレルは、
37歳の時に、
かのタイタニック号とともに
海に沈んでしまった人物なんですね。



※以下、少々ネタバレあり?



ところで、この作品のちょっと気になるところといえば、
このブログの冒頭に引用した、
思考機械のセリフです。


監獄のような物質的なシステムは、
思考(精神)の力でなんでも解決できる
という意味で、思考機械は言ったはずです。


しかし、


結果的に思考機械が脱獄に成功したのは、
監獄の物理的な部分だけではなく、


むしろシステムの精神的(人間的)な部分の
欠陥をついたからなんですよね。


なので、


「精神は物質に優先するのだ」というのは
実はうそだったことになります。


思考機械はたぶん、
最初のセリフを言った時点から、
すでに心理戦を仕掛けていたんでしょう。


この作品は、こういった心理戦と、
それから「情報」の戦いを駆使しているという点で、
なかなか現代的です。


世界短編傑作集 1 (創元推理文庫 100-1) - で読みました。