「ミステリの魅力は短編小説にあり」








とまでは言いませんが、

魅力的な短編ミステリは

始祖エドガー・アラン・ポー以来

それこそ無数に存在します。





短編ミステリの快楽を

ここで追求していくとしましょう。






短編ミステリの快楽を、

傑作ミステリの足跡をたどりつつ追求するとして、

そこには足がかり的な、

作品リストが欲しいもの。





そこで、

私の好きなミステリジャンル、

数々の魅力的な謎をうみだしながら、

意外と傑作は少ない「密室ミステリ」

というジャンルに特化して、





講談社文庫の

「密室殺人大百科(下)」の巻末に掲載された、

二階堂黎人氏による「必読・密室殺人」リストから

紐解いていこうかと思います。










***






さて、そのリストの1発目は、

「世界初」の推理小説である、

ポーの「モルグ街の殺人」。






その内容としては、






「世界初」の「密室殺人ミステリ」であり

「世界初」の「名探偵ミステリ」であり

「世界初」の「意外な犯人ミステリ」でもあります。





が、




この短編ミステリの最大の「快楽」は・・・






事件のあった部屋から聞こえてきたと、

数々の証言がでてきた

謎の外国語の「正体」でしょう。





おそらく「犯人」であろう「その声」について






証言者となったイタリア人もイギリス人も

スペイン人もオランダ人もフランス人も、






みんな「外国語だった」と断言する・・・







「犯人」はいったい何人なのか?





その正体が混迷を極める・・・





しかし、






この謎が、名探偵デュパンによって解かれたとき

その「謎」が「正体」として明かされたとき







読者は、その論理のアクロバットぶりに

興奮するはずです。





ところで





このミステリにおいての「犯人」は

結果的には外国人ではありません。





しかし、





その「犯人」像が、

「外国人」を象徴してしまう構造になっていることが

実は、この物語のキモなんです。




象徴主義の祖であるポーの

面目躍如ともいえますが、





外国人=犯罪者とする傾向は、

やがてミステリの裏潮流となしていくことを

見逃してはなりません。




そういった意味では

このミステリは、




「世界初」の「外国人犯人ミステリ」である





とも言えるのです。







それでは、また。