
シソは日本を代表する香菜である。
植物は鑑賞するために育てている私だが、このシソとバジルだけは、食材として育てている。清潔感あふれる香りは、料理の付け合わせとしては最高で、一人暮らしの孤独な食事を、香りよく彩ってくれる、ありがたい植物だ。
魚を捌いて刺身にした時はもちろん、冷や奴や、みそ汁、パスタなど。サンドイッチにだって使う。ハム+シソ+マヨネーズの組み合わせは油断出来ない美味しさなのだ。栄養価も高く、以外にもカルシウムの含有量が多いのだそうだ。もっともシソの葉ばかりむしゃむしゃ食べる人はあまりいないだろうから、栄養がどうこういうより、やはり独特の香りと味わいを楽しむものだと思う。
シソ科の植物は丈夫なものが多い。バジル、オレガノ、タイムなど、ハーブの類はほとんどがシソ科だし、雑草としてそこら中に生えているホトケノザやオドリコソウもシソ科、ラベンダーもそうだし、サルビアもそう。まあ植物界の一大勢力と言って良い。だからベランダのプランターボックスなどでも、簡単に育てることが出来る。
以前住んでいた家の庭には、毎年夏になると大量のシソが生えてきて、夏の間中シソの葉は買わずにすんでいた。別に植えた覚えはないので、どこからか逃げ出してきたのだと思うが、どうもその場所が気に入ったらしく、実は今年も大量に自生しているのを先日確認した。昨年引っ越す時、庭に置いていたプランターボックスをそのまま、今住んでいるマンションのベランダに持って来て置いたのだが、予想した通り、そこからもシソが生えて来た。
今ベランダにあるプランターボックスには、ちゃんと種を買って来た植えたシソも育っているのだが、前の家から土ごと持って来たプランターボックスに、勝手に生えて来たシソのほうが、断然元気である。ほとんど野生化しているのか、もう勢いがちがう。葉のサイズなんか倍くらいの大きさである。この差は、多分土の差なのだと思う。種を植えた方だって、園芸店で購入した培養土なので、それほど条件は悪くないはずなのだが、もともと大地にあった土とは違うのだろう。本来土の中には大量の微生物と、それらを活性化してくれるミミズなどの生き物が活動している。しかし、プランターボックスの中にはミミズはいない。そう思ったら、プランターボックが植物の生命維持装置に見えて来て、なんだか切なくなってしまった。本当はこんな所には居たくないんだろうと思った。
今年は元気な野生シソだって、土がこのままなら、年々勢いは無くなっていくだろう。肥料を加えることで、対処はできるが、土の中の微生物やミミズが活動する場所ではない、という事実に変わりはない。室内やベランダで植物を育てることは、実はけっこう罪深いことなのだろう。道端に生えているオドリコソウは、誰も世話なんかしていないのに、あんなに活き活きとしてるのじゃないか。自分の楽しみの為に、条件の悪いベランダで植物を育てるなんて、ずいぶん身勝手な話じゃないか。だれもそんなことして欲しいとは思っていないだろう。
同じ場所に生えながら、まったく勢いの違う2つのシソを眺めながら、そんなことを考えてしまった。
しかし、それでも私は植物と暮らし続けるだろう。植物達の世話をしたい、という自分でもよくわからない欲求があることは事実だが、それだけではない。
植物がいなければ、私達動物は、存在することさえできない。それはつまり、植物が生息できる環境を我々が壊してはいけない、ということだ。そういうことを、植物達は身を以て教えてくれる。植物から学ぶことはたくさんある。そう思うと、やっぱり植物達には、近くにいてもらいたいと思うのである。
シソ
シソ科シソ属
野菜としての「葉」を指す時は、「大葉」っていったりしますね。そんなに大きな葉じゃないと思うんだけど…。