横道世之介 | おっさん向上委員会

横道世之介

変な名前だ。


2013年公開の映画のタイトルとして有名だが、
それ以前に、吉田修一の原作小説がある。

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そして、
映画「横道世之介」がある。

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で、今回両方クリアしたので、ちょっとご報告。


実はこの本、というか映画を知ったのは、
「ライムスター宇多丸のシネマハスラー(当時)」を聞いたのがキッカケ。
今は「ムービーウォッチマン」というコーナータイトルになっているが、
内容はほぼ一緒。選び方が違うだけw。


っていうか、この番組をいつも聞いて、
気になった映画や作品をチェックする事が多い。

元々はTBSラジオ「ウィークエンドシャッフル」という番組の1コーナーなのだが、
この番組は、このコーナーだけで、十分聞く価値がある。




これのPodcastを聞けば、様子はわかると思うよ。


で、この番組で約40分に渡りある意味“褒めちぎっていた”のが、
この映画だった。


「横道世之介」っていう名前を聞くと、
どんな人を想像します?

江戸時代の人じゃない?
世之介っていう名前は、正に「好色一代男」の主人公だよね。

原作本の中では、その記述が少しあるのだが、
映画では一切触れられていない。

僕は最初に本を読んでいたので、
映画で見た時もあまり気にはならなかったが、
原作を読まずに映画を見た人は、知りたいと思わないのか?


いずれにしても、

不思議な映画だった。

もちろん、原作から十分不思議な物語なのだが、
映画になっても、その世界観を一歩も踏み出さない、
頑なな拘りの様なものを感じた。


とある長崎から出てきた大学生の、
一年間の物語を軸に、後日譚も含めたロードムービー的な仕上げになっている。
断片化して唐突に、過去と現在を行き来している。

監督は沖田修一氏。
堺雅人主演の「南極料理人」で有名。(他はあまり…)


いくつかの賞も取っている、若手の有望株ってところか。

良くも悪くも、“ぬるい”映像が得意なようだw。

今回の映画も、非常に“ぬるい”w。


テンポが悪いってほどじゃないけど、
「何でこんなに長く高良健吾の顔写してるの?」と感じるシーンが、
いくつかあった。

確かに彼は美男子なのだが、
オジサンから見ればね、

それにしても、「たから」じゃなく「こうら」と読むって、難しくね?w


相手役の吉高由里子は、相変わらずの怪演。
吉高ワールド全開ッて感じで、楽しめた。

舞台挨拶の時も、撮影が終わってしまうのが、残念だった、
というくらい、この役に入り込んでいたようだし、
原作者の吉田修一の頭の中には、最初から彼女が住んでいたんじゃないか?
と思えるほど、彼女自身と重なる役柄だった。


それにしても…、

超お嬢様育ちのショウコちゃんが、
どうしてあんなに気が利かなくて、空気読めなくて、
トンチンカンな(これはお互い様か…w)世之介に惹かれたのだろう?

原作の中にも、何回も、
「それが世之介なのだ」的な表現があり、
あまりの鈍感さにイラッと来る人物像なのに、
「あいつを知っている事で、絶対トクをしていると思う」とまで、
他人に言わせる人物として描かれている。


そんなか?(^_^;)


いや、僕も嫌いじゃないけど、
それほど積極的に友達になりたいタイプじゃないんだけど…。


デリカシーとインテリジェンスは、皆無だと思うんだけどな。

まあ、ガキなだけかw。



でも、この原作も映画も、
一つ間違いなく言えるのは、
物語から伝わる“多幸感”は満載なのだ。


何となく“ニヤニヤ”しながら、
「ばっかだな~」とか呟きながら見てしまう、
そんな映画だったし、原作だった。


宇多丸くんは、
中盤の終わりくらいに明らかになる、
“彼”の身に起きる事件について、
「あまりヒロイックな扱いにしたくないので、一切映像化されていない」
という趣旨の発言をしていたのだが、
恐らくこの原作小説自体が、
現実に起こった“あの事件”にインスパイヤされて書き始めたものだと思われるので、
僕はその辺りの原作者の思いを汲んだ作りにしても、良かった気はする。


あの終わり方だと、
鈍い人は、映画だと“その事”に気づかないのかもしれないw。
(例えば、その瞬間に、寝ていた、とか、トイレ行ってたとか、隣の人としゃべってたとか)

だって、本当に、一瞬、一言だけしか、説明されていないから。


あの、一緒にいた韓国人留学生の事だって、
もうちょっとちゃんと伝えてあげたかったな。



横道世之介。


でも、結構好きかもしれない。

眠れない夜なんかに、
ボーっとしながら観ていたら、
そのまま気持ちよく寝られそうな、

そんな映画として、

オススメしたい!


あ、もちろん、原作と両方楽しむ事を、強くお勧めしておく。





そうそう、

最後の最後、
アフリカの支援活動から一時帰国したショウコが、
新宿をタクシーに乗って通り過ぎる時、
以前の自分たちの姿を見つけて微笑み、
そして、薄っすらと、本当に薄っすらと涙を浮かべるシーン。


ジンワリと、来ましたね。

吉高由里子、5億点w。