050221 | 鰹節の削り場

050221

A氏と他二名を乗せた宇宙船が猛スピードで迫った天隕石に衝突し、不意の着陸を要した。
宇宙船を出ようとしたが特殊鉄製でできているのでどんなに蹴っても殴っても光線銃を討っても、一ナノミリも凹まない。防犯のために特殊な鉄にしたのがが今仇となってしまったのだ。
もう出る手だては、救助隊が来るまで待つしかないのだ。彼らはラジオも聴こえない宇宙船の中でじっと待った。
宇宙船は食料は山のようにあった、そりゃあ食品会社の貨物船だったからだ。
だが、不幸な事にお茶、ジュースなどの水分となる物が一つも無かったのだ。
だから腹が減ったら飯は食えるが、何れも喉が乾く。自分から喉を乾きを起こしたくないのなら食事を我慢するしか手だては無いのだ。
数週間が経った。同僚のCが倒れた。どうやら水分不足が原因のようだ。こればっかりは医療用具を揃えてあっても治し様が無い。仕方なくCが死ぬまで二人はじっと見守った。ただ、Cが死んでも涙は出なかった。今はそれどころじゃないのだ。
そしてCが死ぬと膀胱をナイフで乱暴に開き、二人は彼の尿を一滴残らず吸い取った。
そしてまた数週間が経った。今度はBが倒れた。Bは共にココまで生きてきた中だ。死んでもらってはたまらない。A氏は彼に擦れた声で「死ぬな、死ぬな」とエールを送った。だが彼は、A氏の願い虚しく若くしてCの元へと去っていった。
A氏はBが死んでも涙一つ浮かべなかった。何せ涙を浮かばせるほどの水分がA氏の身体の中には無かったのだ。