美しい文化
A氏が宇宙船に乗り、地球へ帰還した時の事。
ふと何気なく窓を見ると地球が見えた。レーダーでは何百光年先のはずなのにそこには青く澄み切ったあの地球があったのだ。
A氏率いるその他の人達はその惑星を調査しに、そこへ寄り道をした。
その惑星の平地へ宇宙船を降ろし、外へ出るとそこは地球ではありえないほど自然に囲まれた場所だった。とは言うものの、ちゃんと建物とした建物もあるしビルディングもある。
そこへ、何か人影らしきものがA氏率いるメンバーに近寄ってきた。
「あの。」
そっけない声で近寄ってきたのは、ここの原住民と思われる男だった。三〇歳ぐらいの中年で、よれよれのズボンを垂らし大して豪華でもない服装で7:3分けの髪型に頬が痩せ、なんとかなく頼りない感じだった。
「そこ、宇宙船止めちゃあいけないとこなんですが・・・」
どうやら、あまり人と接するのが得意ではないようだ。メンバーの一人はその男の話を聞くと、男に案内されるがまま立体駐車場まで宇宙船を飛ばした。そして一同が立体駐車場に駐車すると、男に問いかけた。
「ここは、とても綺麗な惑星ですね。」
「そうですか。まあ、そりゃあ文明が発達してまだ100年ぽっちですもの。」
「でもそれにしてはビルディングなど地球に似たような文明をお持ちですね。」
男はA氏が言った“地球”という言葉ではっという顔をした。
「あなた方、地球から来られたんですか?」
「ええ、そうですが・・・。まあ、地球にあまりにも似ていたのでここに着陸したんですけど・・」
男はそう聞くと、なんだそういう事かと言わんばかりの表情をして、猫背だったのを直し気お付けをしてA氏を出迎えた。
「ああ、地球から来られたなら最初から言ってくださいよ。地球に似てるというのも、地球から文明を学んだからです。」
それなら辻褄が合うとA氏は思った。それから一同は駐車場を出て男の跡に着き草原地帯を歩く事数十分。
「あ、私に着いて下さいよ。はぐれたりなんかしたら・・・・」
「したら・・・・?」
「・・・・・いや、なんでもないです。」
その会話の後、すぐに着いたのは、実に地球に近い感じのするスクエアだった。
車も、商店も、街の風貌も地球とうりふたつだと言う事にA氏はどこか地球への懐かしさを感じた。
「本当に地球にそっくりなんですね。」
「ええ勿論、地球から通信されるデータに基づいてこの街を作ってますからね。」
それからその男はある小さな博物館のようなとこに連れていった。
「ここは地球の歴史、そして様々な文化などがここに展示されております。」
確かに、そこには江戸から伝わった伝統や今の流行など詳しく展示されていた。しかもその膨大な数の資料の中には、地球でも知りうる事はなかった事実などが点々と書いてある。何故そこまで詳しく判るのかが不気味なぐらいだ。
そしてここでの長居も終わり、そろそろ地球へ帰ろうとして宇宙船の止めてある駐車場まで帰った時、
「ああ、本当に有り難う御座いました。それじゃあ私達は自分の惑星に帰るとします。」
そして男にお辞儀をして宇宙船に入ろうとした瞬間、自分の耳に激痛が走った。一瞬どうなったか判らなくなって宇宙船のボディで自分の右耳を確認した。するとあったはずの右耳はごっそりと無くなり、見ると足元に自分の耳らしきものが落ちているのだ。
するとメンバーの一人が何かに気づいたらしく駐車場の外を指差した。そこには人々が争そっている様子があった。
「ああ、どうやら今の争いで流れ弾が貴方の耳に当たったんでしょう。」
どうやらその通りらしい。人々は銃器や薬物などを使い、相手の民族を殺し、殺されている。一体どう言う事なんだろう。
「実は、地球に文化の中に歴史上もっとも多く存在してるものがあったんですよ。なんだと思います?」
それは、見ての通りであろう。そうA氏は思った。
「御分かりでしょう。戦争です。地球の人間はどうしてかこういうのがお好きだそうで、文化を学ばなかった以前まではこんな争い事は無かったのですがね・・・・。」
どうやら地球の文化を学び過ぎたのかもしれない・・・
「どうです?地球の文化は素晴らしいですか?」
end
ふと何気なく窓を見ると地球が見えた。レーダーでは何百光年先のはずなのにそこには青く澄み切ったあの地球があったのだ。
A氏率いるその他の人達はその惑星を調査しに、そこへ寄り道をした。
その惑星の平地へ宇宙船を降ろし、外へ出るとそこは地球ではありえないほど自然に囲まれた場所だった。とは言うものの、ちゃんと建物とした建物もあるしビルディングもある。
そこへ、何か人影らしきものがA氏率いるメンバーに近寄ってきた。
「あの。」
そっけない声で近寄ってきたのは、ここの原住民と思われる男だった。三〇歳ぐらいの中年で、よれよれのズボンを垂らし大して豪華でもない服装で7:3分けの髪型に頬が痩せ、なんとかなく頼りない感じだった。
「そこ、宇宙船止めちゃあいけないとこなんですが・・・」
どうやら、あまり人と接するのが得意ではないようだ。メンバーの一人はその男の話を聞くと、男に案内されるがまま立体駐車場まで宇宙船を飛ばした。そして一同が立体駐車場に駐車すると、男に問いかけた。
「ここは、とても綺麗な惑星ですね。」
「そうですか。まあ、そりゃあ文明が発達してまだ100年ぽっちですもの。」
「でもそれにしてはビルディングなど地球に似たような文明をお持ちですね。」
男はA氏が言った“地球”という言葉ではっという顔をした。
「あなた方、地球から来られたんですか?」
「ええ、そうですが・・・。まあ、地球にあまりにも似ていたのでここに着陸したんですけど・・」
男はそう聞くと、なんだそういう事かと言わんばかりの表情をして、猫背だったのを直し気お付けをしてA氏を出迎えた。
「ああ、地球から来られたなら最初から言ってくださいよ。地球に似てるというのも、地球から文明を学んだからです。」
それなら辻褄が合うとA氏は思った。それから一同は駐車場を出て男の跡に着き草原地帯を歩く事数十分。
「あ、私に着いて下さいよ。はぐれたりなんかしたら・・・・」
「したら・・・・?」
「・・・・・いや、なんでもないです。」
その会話の後、すぐに着いたのは、実に地球に近い感じのするスクエアだった。
車も、商店も、街の風貌も地球とうりふたつだと言う事にA氏はどこか地球への懐かしさを感じた。
「本当に地球にそっくりなんですね。」
「ええ勿論、地球から通信されるデータに基づいてこの街を作ってますからね。」
それからその男はある小さな博物館のようなとこに連れていった。
「ここは地球の歴史、そして様々な文化などがここに展示されております。」
確かに、そこには江戸から伝わった伝統や今の流行など詳しく展示されていた。しかもその膨大な数の資料の中には、地球でも知りうる事はなかった事実などが点々と書いてある。何故そこまで詳しく判るのかが不気味なぐらいだ。
そしてここでの長居も終わり、そろそろ地球へ帰ろうとして宇宙船の止めてある駐車場まで帰った時、
「ああ、本当に有り難う御座いました。それじゃあ私達は自分の惑星に帰るとします。」
そして男にお辞儀をして宇宙船に入ろうとした瞬間、自分の耳に激痛が走った。一瞬どうなったか判らなくなって宇宙船のボディで自分の右耳を確認した。するとあったはずの右耳はごっそりと無くなり、見ると足元に自分の耳らしきものが落ちているのだ。
するとメンバーの一人が何かに気づいたらしく駐車場の外を指差した。そこには人々が争そっている様子があった。
「ああ、どうやら今の争いで流れ弾が貴方の耳に当たったんでしょう。」
どうやらその通りらしい。人々は銃器や薬物などを使い、相手の民族を殺し、殺されている。一体どう言う事なんだろう。
「実は、地球に文化の中に歴史上もっとも多く存在してるものがあったんですよ。なんだと思います?」
それは、見ての通りであろう。そうA氏は思った。
「御分かりでしょう。戦争です。地球の人間はどうしてかこういうのがお好きだそうで、文化を学ばなかった以前まではこんな争い事は無かったのですがね・・・・。」
どうやら地球の文化を学び過ぎたのかもしれない・・・
「どうです?地球の文化は素晴らしいですか?」
end