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彼が欲しがっているチョコを買いにでかけた。
泉岳寺から青物横丁まで、ちょっと自転車でおでかけ。
途中、「聴覚障害者」と書かれたユニフォームを着た女の人と、「伴走者」と書かれたユニフォームを着た男の人が手をつないで走っていた。
女の人は頭にトナカイの耳をつけていて、男の人はサンタ帽をかぶっていた。
2人でマラソンの練習でもしているのかな、と思いながら自転車で横を通り過ぎた。
青物横丁のその店に着くと、欲しいチョコがなかった。
ここから一番近い他店舗はどこかと聞くと蒲田とのこと。
少し遠いけどサイクリングは大好きだし、行ってみることにした。
何年か前に赤坂から川崎まで自転車で行ったことを思い出しながらiPodと一緒にサイクリングするも、遠い。
思ってたよりずっと遠い。
ひたすらペダルを漕ぎなんとか蒲田に到着したけれど、その店にも欲しいチョコはなかった。
せっかく来たのにがっくり。
何も収穫のないまま今と同じ距離をまた自転車で帰るなんて。
なんだか虚しくて泣きたくなった。
そのとき、涙でぼやける視界にトナカイの耳とサンタ帽が入った。
その2人はさっきと同じように手をつなぎながら笑顔で走っていた。
あったかくなった。
私も彼のところに、自転車で帰ろう。
そう思った。

ビル郡に沈もうとしている赤に近いオレンジ色の太陽。
その光を受けた街の空気は白く輝いている。
白く輝いた空を、真っ黒なカラスがきれいに羽ばたいた。