14.



「早いな」
リビングルームに行くと着替えの済んだチャンミンがコーヒーを飲みながら携帯を弄っていた
もちろん姿はモモ仕様
俺と出会ったタイミングが女装してたって事でチャンミンはモモとして過ごしている
部屋ではチャンミンで良いけどホテルの従業員が来る事もあるし基本モモ
じゃないとややこしいからな
「朝ご飯どうする?」
チャンミンが携帯から俺に視線を移す
「食べるから連絡してくれる?」
「OK」
チャンミンがモーニングを内線で頼むのを聞きながら俺は身支度を始める
モーニングが運ばれ二人で朝食を食べているとチャンミンの携帯がブルブルと振動し始めた
チャンミンは電話に出ようとしない
「電話鳴ってる」
俺は電話を指差しながらチャンミンを見つめるとチャンミンは首を振る
「食べ終わってから掛け直すから」
そう言ってクロワッサンを口に運ぶ
まぁ···チャンミンがそれで良いなら無理強いはしないけど
電話はいったん切れたが直ぐに携帯はブルブルと着信を知らせる
出るまで切りませんとばかりに振動を続ける携帯が段々可笑しくて俺は笑う
「急ぎなんじゃないか?···出たら?」
俺がそう言うとまた首を左右に振る
「だって···食べてる最中だし」
なんだ···そこを気にしてたのか
「気にしなくていいから出てあげて」
そう言ってチャンミンを見つめると«ごめんね»と言って電話を取りソファへと移動した
«うん···おはよう······今日?···聞いてみる···え?···また同じ場所?···うん···じゃあ予定確認してOKだったら予約取ってみる···後で連絡するね»
電話が終わりテーブルに戻ってきた
「食事中にごめん」
チャンミンはごめんなさいって表情で俺に謝る
「構わないよ···俺なんかしょっちゅう食事中に電話取ってるし」
「ユノは仕事の電話でしょ?···僕の電話は違うから」
途中まで食べてたクロワッサンを食べながらチャンミンは言った
「あのさ···今の電話なんだけど
昨日ランチした友達が今日もランチしたいって電話だったんだけど···お昼は僕が必要な仕事ありそう?」
「ん?···ないから大丈夫だよ」
「ほんと?···じゃあ友達とランチ行ってくるね」
チャンミンは嬉しそう
「それは構わないけど···昨日はどこでランチを?」
「支配人のミノさんから紹介して貰ったイタリアンのお店に行ってきたんたけどさ
凄く美味しかったから友達が今日も行きたいんだって」
そう言ってチャンミンは笑っている
「友達ってのは助けてくれたって言う···」
チャンミンはウンウンと頷いている
「キュヒョンって言うの」
会った日の夜に電話してた相手だ
「ユノに会ってみたいな~って···昨日はユノのことばっか聞いてきて疲れちゃったよ」
両手を広げお手上げとジェスチャーするチャンミン
「今日のランチに行けたら良いんだけどな···」
俺は今日のスケジュールを思い浮かべながら何とか行けないかと考える
「行けたら連絡する···ただ行けない可能性が高いからキュヒョンには言わないでおいて」
「うん···わかった···ユノ来れるといいな」
チャンミンは俺を見つめ微笑むと苺をパクリと食べ目を見開いた
「ん?」
「この苺···めちゃくちゃ美味しいよ···ほら」
チャンミンが俺の口元に苺を近付け小さな声で«あ~ん»と言いながら俺が口を開けるのを待っている
俺はチャンミンの«あ~ん»に釣られる感じで口を開けると甘酸っぱい苺の香りと共に口に苺が入ってきた
噛んだ瞬間に苺の香りと甘みが口の中にわっと広がり俺も目を見開いてチャンミンを見つめる
「美味しい苺だな」
「でしょ?!」
そう言ってチャンミンはパクパクと苺を口に運んでいく
「ユノもビタミンしっかり摂らなきゃ」
俺の皿にポンポンと苺を置くと«食べて»って目で訴えかけてきた
チャンミンの眼力が凄くて俺は笑いながら苺を口に運ぶ
「そうそう···ビタミン摂って今日もお仕事頑張って」
俺が食べてる様子をウンウンと頷きながら見つめるチャンミン
「あ···ミノ支配人にお店の番号教えて貰わなくちゃ」
食べ終わったチャンミンは部屋から出る準備をする
「内線で聞けばイイじゃん」
俺の言葉に首を振る
「個人的な事過ぎるからロビーまで行って聞いてくる」
「待って」
ドアに向かおうとするチャンミンに声を掛けた
「一緒に行こう」
チャンミンはウンと頷くと俺の準備を手伝い始める
「悪いな···」
「大丈夫だよ···あ···テミンさん呼ぶ?」
「いや···二人で行こう」
俺の言葉にチャンミンはウンと頷いた
俺たちがロビーに着くと慌てた様子でテミンが俺たちの方に向かって来た
「チョン様っ···モモ様っ」
「おはようテミン」
「お迎えに上がりましたのに···失礼致しました」
テミンは申し訳なさそうに俺を見る
「いやいや···呼んでないから」
テミンにそう言うとチャンミンはウンウンと頷いている
「ミノ支配人いる?」
「お待ちくださいませ」
ソファで座って待っていると間もなくミノ支配人がやって来た
「おはようございます」
お辞儀をするミノ支配人にチャンミンが話し始めた
「ミノ支配人···昨日紹介してくれたお店の電話番号教えて欲しいの」
「ご予約されるんですか?」
「そう···」
ミノ支配人は頷きチャンミンを見つめる
「ご予約は私が責任を持って致します···お時間お決まりですか?」
「いえ···これから友達と決めるので···でも良いんですか?···お任せばかりしちゃってる」
チャンミンは申し訳なさそうにミノ支配人を見つめた
「モモ様···ご遠慮なくお申し付け下さい」
ミノ支配人は笑顔でチャンミンに言う
「じゃあモモ···時間決まったら教えて」
「うん···わかった」
リムジンまでチャンミンは一緒に歩いてくる
「お見送りしてくれんの?」
俺が言うと«そうだよ»と言って俺の手に触れニコリと微笑み指を絡めた
お互い顔を見合せクスッと笑う
リムジンに乗り込み窓を開けるとチャンミンと視線を合わせた
「行ってらっしゃい」
笑顔のチャンミンに見送られ俺は仕事へと向かった






にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村