ずい分前のことである。二人の女性がそれぞれに、ベビーカーに赤ちゃんを連れて店に入って来た。二人は私の隣のテーブルで、子どもをほったらかして、めいめいにしゃべってり始めた。ちょっとカンジ悪いナと感じた。

 そのうち、一人の子どもちゃんが、よちよちと歩き出し、私のほうへ寄って来た。私が持っているミッフィーちゃんの巾着にチューをする、可愛い男の子だった。

 それに気づいた二人のお母さん。私の「占いしてます!」の札を見て口々に「占って欲しい!」と言い始めた。そして二人は口をそろえて、

「ウチ、ダンナにめっちゃワガママ言ってわめき散らしてまうから、ほんまにウチでええんかなってずっと申し訳ないんです!」

 懇願するような、必死な目つきだった。

 私は、世の多くの妻が、みんなそういう思いを持てば、もっといさかいが減るだろうにナ、と、彼女たちに好感を持ったのだった。