・手術から9日目、入院から11日目にしてようやく退院となった。重大な合併症のない腎臓癌の摘出手術ではかなり長い部類ではないだろうか。
・最後の夜はわくわくするでもなく、むしろこれまでで最も睡眠がとれた。0時過ぎからウトウトし始めて5時に起床。いつもは1.5時間おきにトイレに起きていたが昨夜は2回で済んだ。頻尿現象(!?)は、「起きるからトイレに行きたくなるのか、トイレに行くために起きるのか」が判然としない。が、これは退院後も暫く続いた。
・起床後すぐに、本当は9時以降とされているシャワーにさっと入る。11日ぶりに髭も剃って悪いものは病院に全て置いていくよう願掛け。コンタクトも久しぶりに装着。私服を着れば、病人であったことはもうわからない(はず)。
・パッキングと退室時のチェックを済ませて入院中最後の診察に向かう。昨日はエコー検査で動脈瘤の有無を確認。検査後に「問題ないですよね?」と訊いたが明確な反応がなかったのでちょっと不安にさせられていた。結局、診察では特段何も指摘されなかったのでなんてことはなかったということのようだ(言ってよね!)。
・最後の巡回では先生方に改めて御礼をした。入院して初めて知ったのだがお医者さんの朝は(意外と!?)早い。7時にはナースステーションでPCに向かう姿をよくみかけた。自分が会社に着くのは8時前。ストレス強度では負けない自信はあるし比較的夜も遅い方だけれど、命を預かるという意味で緊張感は段違いのはず。慣れてしまえばこんなものということかもしれないけれど、つくづくサラリーマンとは世界が違うなあと感心した。
・部屋に戻り荷物を持っていよいよ退室、というところで手術着姿の主治医(≒執刀医)がひょこっと部屋に現れた。いつも唐突なんだな、この方は(笑)。主治医には「元気になっても腎臓を切っているので暫くは暴れないように」とだけ念押しされた。
・そうそう、温泉も正式に了承を得た。処置室の若い衆に訊くとたいてい「退院後の初診を待って下さい」といわれるが、1カ月検診を無事終えたら社会復帰に向けて忙しくなるのでそんな暇はない。看護師さんも「温泉くらい全然大丈夫でしょ」とみなさん仰る。黙って行ってしまおうかとも思ったが、それでは家族の了解が得られないのでお墨付きをもらえて一安心だった。
・退室は10時まで。ナースセンターにも御礼をしに行くとみな出払っており1、2人しかいない。仕方ないので、いらっしゃる方だけに簡単に挨拶をして入院フロアを後にした。自分にとっては人生の一大イベントであったが、看護師さん的にはあくまで日常。このコントラストもなかなか他ではみられない仕事だ。
・因みに、自分の母親も看護師で今でもパートで現役。東北のド田舎から脱出するために、(学校に)お金がかからず且つお金が相応に得られる職として看護師を選んだ(そうだ)。看護師の平均給与は450万円を上回るらしい(https://www.kango-roo.com/sn/a/view/306)。日本人平均の給料は右肩下がりを続けていたので気付けば全労働者の平均を上回る水準となっている。個人的には、肉体労働だし夜勤はあるし生死を預かる仕事だしとかなりのハードワークなので適正な報償だと思っているが、給与・待遇面から男性看護師が増えてくるのは納得の現象かもしれない。兎にも角にも、お医者さんにも看護師さんにも大変お世話になり感謝しかない。
・部屋を出ると、レセプションで入院・手術費を支払って退院手続きは全て完了。高額医療制度を事前申請していなかったので請求額は差額ベッド代と合わせて70万円を超えていた。流石に現金は持ち合わせていないが当病院はクレジットカードが利用できるので問題ない。クレカが使えるのも、こちらの病院を気に入っている理由の一つだ。
・天気は入院日と同様に雨。しかも寒い。久しぶりの外気を楽しむ余裕はないので早速タクシーで自宅に向かった。記念すべき入院後初の食事は出前の鍋焼きうどん。本当は寿司でも肉でも食べたいところだが、病院では最後まで低脂肪食だったので急には胃腸が受け付けそうにもない。アルコールも退院後2週間は控えよとのことだったのでノンアルコールビールをちびちびと飲んだ。
・そもそも1カ月検診までは肉もアルコールも避けて摂生すると決めていたので自宅で寛げるだけでも十分に幸せだった。先ずは、無事に手術を乗り切った。ステージⅠでかつ部分切除で済んだのも、現時点では腎臓癌としては最上の結果のはず。診察までの2週間は既に休みをとってある。リハビリに努めながら、残りの人生をどう過ごすべきかばかり考えていた。