・1月最終週の金曜日に、年初に受けた定期健康診断の結果を受けとる。昨年の3月に人間ドックを受けたばかりなので、ちょっとずつ悪化傾向にある血液検査と尿検査の結果くらいしか興味はなかった。
・いつものようにパラパラとページをめくっていくと、エコー検査の欄に「左腎腫瘤」の文字。この時点で「がん」の二文字が脳裏をよぎっていたが「腫瘍」ではないので一瞬混乱。恐る恐る腫瘤の意味を検索してみるとやっぱり腫瘍の意と変わらなかった。
・職場の先輩からは、「大げさに出るものなので大丈夫でしょ」と慰められた。実際に、自分の嫁も昨年の人間ドックで「肺に影」と指摘され再々検査まで行ったが、結果はなんてことはない「ハト胸」だった。
・とはいえ、実のところ自分自身では癌かもしれないと直感していた。この時はまだ「腎腫瘍の90%以上が悪性」ということは知らなかったが、浅草寺の初詣で初めて「凶」を引いてから次々と起こる運の悪さっぷりを考えると、そろそろ陰の極かと身構えたのであった。
・再検査の指示は当然記載されていたが、既に17時を回っていたので週末にどこで受けるかゆっくり考えようと思い、その日は終わり。帰宅後も嫁に伝えることはなかった。
・週末はいつのように子どもと遊んで買い物に付き合って食事をして過ごした。お酒もタバコもいつも通り。ガンを意識すると、本当にそうなってしまうのではという恐怖があった。
・仮にガンだとしても、昨年の人間ドックで見つからなかったということは早期ガンの部類に違いないだろう。さもなければ、相当な進行ガンなので、今さら何をしたところで結果はさほど変わらないはず。
・そもそも、この年齢でガン、しかも腎臓ガンになんて罹るわけがないでしょうと不安を抑え込んだ。ガンかもしれないと徐々に覚悟を決めながらも、確定するまではそれを否定しておきたい不安定な心持ちだった。