前回は復習トレーニングの内容を中心に書きましたが、
今回はトレーニング中や移動中のエピソードを紹介します。
普及員たちが激写するものは?
トレーニング中には、衛生普及の要素の一つとして、障がい者や幼児向けのトイレ、その他にも画期的な衛生設備・器具などが、写真やイラストを使って具体的に紹介されました。
その中でも、「地域の人や友人に見せたい(紹介したい)!」と、普及員たちが携帯電話のカメラで激写し始めたのは・・・
何と、汚物の汲み出し装置。実は、汲み上げ式ポンプを活用しています。
バングラデシュの農村では、簡易な汚物槽が一杯になったら土で埋め、
別の場所にトイレを移動する方法が多く見られますが、
コンクリートの汚物槽につなげているトイレの場合、バケツを使って汚物を汲み出す作業が日常的に行われており、決して衛生的とはいえません
そこで、部品(ポンプ)が入手しやすく、材木への取り付け作業も簡単、
中長期的に見ても割高ではない衛生的な方法として発明されたのが
上の写真にある装置なのです。
こうした実例が刺激となって、衛生環境改善のために画期的・革新的な発明品が生まれていくことを期待します
手が込んでいた余興
トレーニング中は、気持ちの切り替えや楽しい雰囲気を作る目的で、
新たな項目を始める前に5分前後の余興の時間をとることがあります。
歌や小話(落語のようにオチがあるものが多い)が一般的ですが、
時には趣向を凝らしたものも。
ハティバンダ・チームが用意したのは、床にばらまかれた15枚のアルファベット・カードを用いて、「TOTAL SANITATION(総合的な衛生管理)」という語彙を
制限時間内に掲示板に画鋲で止めるというゲーム。
くじで選ばれた4人がペアを組み、周囲からも応援、指示、野次が飛び交う中、ペアの1人がカードを持って掲示板に走ります
一度に1枚しかカードを持てないルールのため、思うように捗りません
結局、制限時間内には両チームとも完成はできなかったものの、より完成度の高いチームにジルールから賞品が手渡されました。(賞品はグラスでした)
そして、ジャッジの私にまで、何と素敵なギフトを用意してくれていました
360度にグルリと展開して形成する竹製の扇子は、携帯にも便利。
これからの季節に重宝しそうです。
ショバイケ オネック ドンノバッ! (皆、どうもありがとう!)
バスの修理対応中の出来事
ダッカへ戻るバスが、出発して30分走った辺りで故障して路肩に停車。
別のバスを手配するというバス会社の乗務員に対して、見るからに
都会っ子の女性3人組が、
「私たちはエアコン付きのバスじゃなきゃ、乗り換えないわよ」と抗議し、
さらに複数の男性客も同調したため、修理が終わるのを待つ羽目に。
でも、エンジンを切ったバスの中に居座っていられるのも30分が限度
乗客たちは、一番近くにあったコンクリート造りの民家の軒下に逃れるなど、
外に出始めました。
(左:トウモロコシを天日干し中。 右:民家にいた子牛)
最初は炎天下で写真撮影していた私も、最終的には民家の軒下へ避難。
暫くすると、民家とは別の、竹で編んだ質素な家から赤いワンピースの女の子が出てきて、はにかんでこちらを見ています。
自分から外国人に話しかける勇気はないのだろうと察し、こちらから質問を開始。そして、手元にあった紙で鶴を折ってプレゼントしたところに、偶然にも友だちがやってきました。
「もう紙がないの。もし紙があったら、お友だちにも作るよ」と伝えると、
女の子は家に走って行き、紙を手に戻ってきました。
あらら、ノートを破ってきちゃったのね・・・、迂闊だったと反省しつつ、
ワクワクして待っている二人を前に、早速お花を折ることに。
そうこうするうちにバスの修理も終わり、お別れの時がやってきました。
席に戻って窓から家のほうを見ると、女の子たちは私を認識して手を振っているではありませんか!
お互いに見えなくなるまで手を振り続けた後、私は満たされた気持ちで 眠りに落ちました
本日の一句
<道中の 一期一会を 大切に>
バスの故障により帰宅が遅れたのは喜ばしくなかった一方で、名も知らぬ村の10歳の女の子たちとの交流は、私にとって貴重なひと時となりました。
プロジェクト対象校に行くと、私は1人の外国人・日本人という存在に止まらず、「プロジェクト・マネジャー」「プラン・スタッフ」「ドナー」などのタイトルを背負うのが普通です。
また、たくさんの子どもを相手にするため、少人数の子どもと密度の濃い交流の時間を持つ機会は非常に限られてしまいます。
今回出会った女の子たちも、外国人を見かけることはあっても、直におしゃべりする機会は恐らくなかったでしょう。
上のような自然な笑顔の写真が撮れたのは、彼女たちも交流を楽しんでいたからだろう、そうであって欲しいと思っています。
プラン・ジャパン