前回の「理想の演出」を勝手に演出論1とするので、これは2。
なんで、こんなとこに演出論を書くかというと、将来的に、もしくは本公演が終了次第、いやいや稽古の後半辺りで僕の考え方が変わっている可能性があるので、一応書き記しておきたいのだ。
ただ、映画についての演出に関しては学生の頃のブログを今読み返しても、大して変わっていないので変わらないかもしれないが・・・
で、僕が特に今回、演出に関して取り組んでいるのが「誰の意見も聞いてみよう」ということだ。まーこれ、映像のほうでは経験が長いので結構当たり前にやっているし、CMや企業VPなどをやっているとプロデューサーやクライアントの意見を無視するわけにはいかないので当然の仕事である。
しかし、映画学校の学生を見れば分かるとおり監督初心者は人の意見を取り入れると混乱する。あたかも、自分が頭の中で描いていた理想を破壊するかのような行為にすら思える。だから、せっかく良いアドバイスが出てもそれを取捨選択する余裕がない。
ただ、実際問題として頭の中にあるイメージとは実は凄くリアルに考えているつもりでも、細かいところは意外と曖昧なものだ。もし、本当に自分の頭のイメージを細部にまで考えたいのなら、絵コンテを書くしかない。いや、動画コンテまでおこして、なんども検証しなければならない。実際、ハリウッドでは絵コンテを3DCGに起こして動画コンテを制作し、監督がそれに対して何回でも修正を加える。それくらい実際に、事を起こしながら自分のイメージを検証するしかないのだ。
もちろん、演劇をやるのにそんな金もなければ時間もない。というか、やる必要もない・・。
重要なのは、自分が何を演出時によく見ているか?何をあまり見ていないか?を把握すること。
僕の場合は、シーンの中で役者が演じるリズムと熱。逆に見ていないのは、整合性。
僕は本当に整合性に関して興味がないらしく、映画でも編集の感情的なつなぎは凄く気になるが、物の位置や、役者がどちらの手に何を持っていたか?などは、ほとんど気付かない。自分の現場でもスクリプターさんやカメラマンさん任せだ。
あと、意外にそのシーンで物語を進めているキャラしか見ていない。だから、時折、背景になっている人がどんな芝居をしているかは意識して見ている。
その割に、全体から凄い熱量が出るシーン。つまり多くの人が出てくるシーンが好きなので、なかなか手に負えない。
ただ、観客の中には整合性に凄く敏感な人もいるし、物語に乗り切れない人もいる。だから、僕の視点だけで演出するべきではない。
そこで、皆に意見を言ってもらう。ベテランから、素人、いやいや飛び入りで稽古を見にきたお客さんにまで意見をもらえればいいんじゃないかと思っている。
これは、今年2月に某企業のPRビデオを編集していたのだが、クライアントが色々言う人だった。もちろん、映像製作には全くの素人。だから、言ってくる提案も「ダセー」って感じ。だが、無下にもできないので、とりあえずやってみる・・すると意外に良い!
もちろん、クライアントの提案をそのままやると成立しないので、色々工夫しながら作業するのだが・・これが結構よくなってしまうのだ。つまりクライアントのダサい提案により、僕は新しい角度から演出を考える機会を得たのだ。しかも、それがクライアントの意向にそった形で・・。
ここで、僕は学んだ。
人の提案は「プロ」とか「素人」とかは関係ない。新しい切り口の提案。固定観念の演出家ら脱出するためのチャンスなんだと。で、それに対して自分が「プロ」として演出すれば、作品に合うかどうかはハッキリする。そこで初めて採用か不採用を判断すればいいと。特に、その場で提案者と話したり、役者と話すことによって見えてくるものは必ずあるし。なんか、あっこの部屋ここまでしかなかったのに・・こんなとこにも入口が!って感じ。
ハリウッドみたいに動画コンテを作る金と時間はない。けど、実際にやってみる時間くらいはある。
なら、そこで一つチャレンジしてもいいかな?なんて思う。
だって、そんな人の意見を入れたからって良くはなるけど、悪くなるような・・というか根本が揺らぐような薄いベースは作ってないもんね。
という訳で、稽古を見にくるお客様がいましたら、どんどんアドバイス頂ければ幸いです。