みなさんこんにちは
日本人の好む「前向きに!」
「何でも前向きに考え、前向きに行動しましょう」
まるで生き方のスローガンのような「前向き」推奨が耳につきます
あなたが悩み、悶々とし夜も眠れない、そんなときクリニックに行っても、先生や上司に相談しても、心理カウンセラーに相談しても、友人に打ち明けても、返ってくる答えは「前向きに!」
「前向に考えよう」と自分自身で自覚できるようになったら、それはとても良いことだと思います、ですが、辛い苦悩の最中に無理やり前向きにならなくてもいいと思います、なぜ?
「前向きに生きろ」は残酷な言葉
例えば、震災・突然の解雇・大切な人との別れなど、想定外の不幸に遭った人に「前向きに生きましょう、希望を持って!」…あなたはこの台詞を言えますか?
逆の立場なら「前向きに」と言われて心底嬉しいですか?
生まれつき不得意なことに「前向きになって頑張りましょう」とか言っていませんか?
欠点や弱点も個性
生まれつき不得意なことを無理して得意にする必要はありません、あなたの不得意はある意味個性です、これを心無い人に欠点・弱点と言われても無視しましょう
欠点や弱点を伸ばすことも個性教育だと思っています
周囲の「前向きに生きなければ」攻撃…いま辛い思いをしている人を余計に辛くするのではと感じます
「前向き」にはいつかわからない将来に向けたニュアンスがありますね
前向きは未来に希望を持つ事とも言えますが、希望は今が絶望だと自分で認めることになります
「前向きに生きてますか?」
と言っても
「前向きに歩いている」と言い返えされそう
前向きと言われるたびに今の苦悩が増幅する可能性も秘めています
「前向きに生きよう」は発言者の自己満足になってしまうかもしれません
話が逸れました
タイ人は「前向き」に考えない
多くのタイ人に「前向きに考えて」と言ってもピンとこないでしょう
*タイ語で「前向きに~」と訳す場合、対応した単語はなく、説明調な訳になるはずです
タイ人は「今向き」です
タイ人は遠い将来より、今できることを考えます
災難に遭った瞬間は日本人以上に大騒ぎするかもしれません
すぐに対処できるなら(その日は)なんらかの行動を必死にやりますが、気分的、体力的、金銭的にできないと直感したら、すぐ諦めるでしょう…
タイ人の「諦め」上手
諦めるは元々、「現実を明らかにする」とい意味
現実を受け入れるとも言いかえられます
雨季最盛期、前が見えない!
早く行くのは諦めよう
そして、周囲の人も、悩んでいる人の話を傾聴することがほとんどだと思います
多くの日本人がやりがちな、あれこれ慰めたりアドバイスしないで、タイ人は一緒に悲しむ
or一緒に残念がるのが一般的でしょう
本人も日本的な「前向に」にはなれないし
周囲も「前向に」とは言わないでしょう
(たとえ、「前向き」というタイ語があっても…)
なぜ?
「今」だけを考える環境に育ったからです
雨が降るか降らないだけの気候
タイ人にとって一生涯ひとくくりで「今」…
のようなイメージです
明日も明後日も同じ
「今」が大事
タイ人が大切にするのは「今、目の前のこと」です、結果「今日」も「明日」も「今日」となり心理的な時間の区切りが薄くなります
「前向き」という段階を踏んで前に進むといった発想がしにくいのです
そのときどきの感情に従うことが
「タイ的な前向き」と言えます
この中に辛い思いをしている人がいても
いつでも悩めると思うかも
それより、貴重な今日一日
楽しむ時間を忘れないタイの人々
生涯が「今or今日」
ちょっと哲学的なので
「今日」の感情を「明日」に引きずらないと言い変えましょう…
たとえば、どんなこと?
昨日や明日の話題をしないor忘れる
昨日のお礼や謝罪をしない
明日(未来)の計画を立てたがらない
過去の反省をしない
未来に期待をしない
長期計画が苦手
約束の賞味期限は2~3日
2週間後は100年後のように感じる
などなど、日系企業のマネージャーが頭を抱えるような話題です
タイ旅行者も上の例を覚えておくと、何かあっても腹が立つことはないでしょう
なるようにしかならない
(タイ語はเลยตามเลย ルーイ・ターム・ルーイ)
その日、その日の現実は受け入れるけど次の日には引きずらない
今辛い人はそのまま辛い自分のままでいる
一日一日に向き合うほうがいずれいい方向に向かって行くかもしれません
日本のように遠い未来のことを考えると気が滅入ってきませんか
「今」だけを考えますか?
それとも
希望が叶うまでの長い道のりを
常に考え続けますか?
どちらも結果は分かりません
タイ人のように「今」のことだけ考える方が楽(サバーイ)
日本人のように「前向き」と考えると不安や心配が長期間続きます
タイ人は未来の権利を放棄し
日本人は未来の権利に執着する
タイの「今向き」発想も一度試してみれば人生変わるでしょう
おまけの話①
江戸時代の禅僧に良寛という人がいました
良寛さんは、実家新潟で起きた地震の際、
実家宛に手紙を書きました
そこには(原文略で)
災難(=辛い出来事)に遭ったときは、そのまま何もしないでいる方がいい
そのまま何もしないでいることが、災難(=辛い出来事)から逃れる最良の方法だ
タイ人の「今向き」になんとなく通じるものがあるように感じます
おまけの話②
タイ旅行をすれば気付くと思いますが、ふと「今何時?」と思ったとき、おそらく日本ではあるはずの場所に時計はないでしょう…
いま、何時ですか?
ここまでにしましょう