近年、遺言書を作成する人が増えている。日本経済新聞の報道によれば、2009年に公証役場で作られた公正証書遺言は約7万8000件、家庭裁判所が検認した自筆の遺言書は1万3000件という。これは10年前と比べて、35%~40%増になっている計算だ。

 「遺言書ブーム」と言ってはちょっと言い過ぎかもしれないが、「家族のため」と思って遺言を書く人が増えているのは事実だ。文房具メーカーのコクヨが行った遺言に関する調査(30代~60代既婚男女1072人対象)によると、遺言書を書いた方が良い理由として、「何となく家族のためになると思う」「相続トラブルに巻き込まれないようにしたい」などが最上位にランクインしている。自分の死後、家族に余計な負担をかけたくないという思いが、遺言書の作成に向かわせているようだ。

 また、同調査では、遺言書の作成法に関するイメージとして、3人に1人は「遺言書の書き方を見て、自分で書く」「インターネットで調べて、自分で書く」と回答。専門家に任せるものと思いがちな遺言書だが、意外にも自分自身で作成したい欲求が高いことも分かった。

 そこでコクヨは、この「遺言書を自分でつくりたい」ニーズに目をつけ、「遺言書キット」を企画。

(1)遺言虎の巻(遺言書の書き方マニュアル)

(2)コピー予防機能を備えた遺言書用紙(コピーすると「複製」の文字が浮かび出る)

(3)開封すると元に戻せないセキュリティ仕様の封筒

(4)下書き用紙

(5)保管用台紙

 この5点セットを2415円で販売したところ、1年間で何と2万セット以上、金額にして約5000万円を売り上げたという。

●「分かりやすく」したことがヒットの決め手

 一般に「遺言書を書きたい」と思っても、書き方を本やインターネットで調べて、記載内容を決めるまでにも時間がかかる。何より、公式の文書である遺言状は「難しい」というイメージが付きまとい、精神的なハードルも高い。また、記入する用紙やセキュリティ面で安心な封筒を揃えること自体も手間がかかり、結果として、遺言を「自分で書く」ことそのものをあきらめてしまいがちだ。

 その点、この遺言書キットは、余計な手間暇を省き、すべての道具をまとめて揃えられるところが秀逸。また、同封される「遺言虎の巻」は、マンガや分かりやすい説明イラストなどで、初めての人でも十分「書ける」ように作られている。遺言に関する分厚い専門書を読まなくても、このキットだけで遺言書を完成することが可能なのだ。

 しかも、遺言作成中に専門家に質問したい場合は、弁護士へインターネットから法律相談する方法も紹介。まさに、かゆいところに手が届くサービスなのである。

 ちなみに、遺言書は、一度書いたらそれで終わりかというと、そうではない。生きている間に「書き換えたい」欲求が起こる人も多いという。そこでコクヨはこれもビジネスチャンスととらえ、書き換えや予備用に紙や封筒だけが欲しいという利用者の要望に応える形で『遺言書用紙・封筒セット』を682円で販売。顧客のニーズをズバリつかんだ商品を提供している。

●難しいことをシンプルにするビジネス

 さて、あなたのビジネスは「難しいこと」を「難しいまま」お客さまに提供していませんか? 「これは理解が難しいから」「コアなユーザーであればきっと分かるから」と思って、分かりやすい説明を面倒くさがったり、省略したりしてはいませんか?

 自分が「選ぶ」立場になって考えてみてください。例えば同類の数冊の本をパラパラめくってみて、「こっちの解説が分かりやすそうだから」という理由で、分かりやすそうな本を選んだ経験はありませんか? お客さまはすぐそこまで手を伸ばしているのに、「分かりにくい」という理由で、商品の購入をあきらめてしまう。逆の見方をすれば、商品そのものでは差が付きにくくても、「分かりやすい解説」で類似商品と差を付けることができるのです。

 これはビジネスにおけるプレゼンテーションなどでも同様。もし2つのプレゼンテーションが同じ内容であった場合、分かりやすい方が承認されやすいというのは、多くのビジネスパーソンが身をもって経験していることではないでしょうか?

 これを機会に、あなたが携わっている商品やサービスの「分かりやすさ」を、ぜひ一度見直してみてはいかがですか? (小野寺洋)

【関連記事】
深夜2時までチェックインOK――ホテル五龍館のお客さま視点
内藤VS.亀田戦が教えてくれた“優良コンテンツ”作りのヒント
「ゆかた美人コンテスト」で優勝する方法とは?

「ただ乗り」させぬ仕組みを 大阪市生活保護外国人1万人突破(産経新聞)
<はやぶさ>カプセルを回収 破損ない模様(毎日新聞)
振興銀・木村前会長らから任意聴取 検査妨害事件で警視庁(産経新聞)
「7月11日投票」掲示板作ったが…業者やきもき(読売新聞)
喫煙する父を持つ娘の85%が「吸わないで」(医療介護CBニュース)
 小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡る政治資金規正法違反事件で、東京第5検察審査会が「起訴相当」と議決した小沢氏について、東京地検特捜部は21日に改めて容疑不十分で不起訴処分とする方針を固めた。議決後の再捜査でも小沢氏の指示などを裏付ける新証拠は得られなかったため、元秘書らとの共謀に問うことはできないと判断した。

 議決を受け、特捜部は小沢氏本人と、衆院議員、石川知裕被告(36)ら3人の元秘書から改めて事情を聴いた。石川議員は捜査段階と同様に「小沢氏に報告した」などと説明したが、検察当局は供述に具体性がなく信用できないと判断した。

 不起訴処分後に同審査会が第2段階の審査を行い、再び起訴すべきだと判断すると、小沢氏は強制的に起訴される。

【関連ニュース】
陸山会事件:小沢氏再び不起訴へ 新証言は得られず
陸山会事件:石川議員を任意聴取 小沢氏の関与改めて否定
小沢氏:特捜再聴取 元秘書らの供述確認中心に50問
民主・山岡氏:「小沢氏は不起訴」
陸山会事件:小沢氏3度目聴取 月内「不起訴」も

<新党改革>衆院小選挙区制見直しを提言 舛添代表(毎日新聞)
鉄球、水にプカプカ…特殊技術に注目(産経新聞)
環境面に徹底配慮=普天間代替施設―鳩山首相(時事通信)
事業仕分け 電気メーター検査 民間参入促す(産経新聞)
大雨の兵庫1800世帯に避難勧告 鉄道運転見合わせ高速道も(産経新聞)