透くんには、4月中に
何度か、電話をかけてみた。
学校には、一応行ってるみたいだけど、
レポートや試験勉強も忙しく、
学校以外は、家から出てないみたい。
でも、そんなある日、
電話で話してると、
「大学の友達と、一緒に住もうかと思って」
そんなことを言ってきた。
「大学の友達って、アメリカ人??」
「そうです。
咲さんも、前に一緒にテニスしたことあるヤツ 」
一度、うちで夕食を一緒に
食べたこともある子だった。
アメリカ人と一緒に住むってことは、
英語を話さなきゃいけないってこと。
「引き篭もってばかりじゃ、
やっぱダメですからね」
1人で住んでると、
ずっとこのままになりそうだ、って。
居心地がいい透くんのアパートが
大好きだった私は、
そこで、みんなで集まる機会がなくなるのが
ちょっと寂しい気もしたけど、
透くんのためには、
1人でいない方がいいと思って、
「いいね!いいんじゃない?」
透くんの考えに賛成した。
引越しを決めたら、
あっと言う間だった。
それでも、引越しの準備や
片付けもあったせいか、
透くんと会う機会はまだなかった。
夕食会もテニスもなく、
ダラダラ、つまらない毎日が続いて、
有り余ったパワーを
何かで発散させたくなって(?)、
乗り気でないピートを誘って、
カラオケに行ってみたり。(;* ´艸`) テヘッ
でも、日本の曲があんまりなくて、
余計にモヤモヤしたり。(笑)
そして、引越しも落ち着いただろうと思われる
5月の半ばぐらいに、
透くんに電話をかけた。
「久しぶりに、
今週の土曜日、夕食会しない?」
「そうですね。
いい加減、外へ出ないとね・・・」
友達と住むようになっても、
結局は、自分の部屋に引き篭もって、
ほとんど話はしてないみたいだった。
「大丈夫??」
「いや、大丈夫じゃないです。(笑)」
そう言って、また笑ったけど、
今度は、けっこう重症に聞こえた。
「・・・他のみんなにも声かけてみるね」
みんなで集まって、
日本語でワイワイ話せば、
少しは気持ちが楽になるかもしれない。
すると、
「俺、夏休みは日本へ帰ります。
今月末から、3か月」
「そんなにも!?Σ(・ω・;ノ)ノ!」
大学の夏休みは長いのは知ってたけど、
期間中、ずっと帰るんだって・・・。
「しばらく英語聞きたくないし」
・・・だよね。
1日、日本語で話したところで、
どうにもなるものじゃないよね。
しばらく日本に帰って、
リフレッシュするのがいいかも。
透くんは、卒業まで、
まだあと2年近くあるんだもん。
貴子、太貴くん、学くん、浩子ちゃん、一博くん・・・
夕食会に参加の返事をくれたのは、
貴子だけだった・・・。o(_ _ll)o ガ~ン
太貴くんからの
不参加メールへの返事に、
透くんが、夏休みは帰国することを書いて、
「太貴くんも帰るの?」
って聞いてみたら、
「冬に卒業で、日本へ帰るんで、
今のうちに、こっちを楽しみます」
現実を突きつけられた。
そうだった。
太貴くんは、もうすぐ帰国しちゃうんだ・・・。
学くんや浩子ちゃんも、
来年の春には卒業。
こうやって、どんどん
みんな居なくなってしまうんだね・・・。(;_;) グスン
そして、土曜日の夕食会は、
結局、透くん、貴子、
ピートと私の4人。
意外と、元気そうに見えた透くん。
それでも、透くんは、
”もう英語にはうんざりだ”、
”アメリカはイヤだ”って話を、散々した。
そして、
「実は俺、日本の大学への編入を
考え始めてるんです」
その言葉に、
私はショックを受けた。