手紙は、まずパソコンに、
伝えたい気持ちを書き出した。
そして、それをペンで、
1文字1文字、便箋に写していった。
何度も書き損じては、
丸めた便箋を、ゴミ箱に捨てた。
”履歴書でも書いてるみたいだな・・・”
なんて、ふっと笑みが零れた。
書き上げてみると、
便箋に6枚にもなって、
3つ折りにして、封筒に入れようとしたら、
パンパンになっちゃって、
そこでも思わず、ふっと笑ってしまった。
でも、笑った瞬間に
涙が出てきて、
笑いたいんだか、泣きたいんだか、
自分でも分からなくなった。
自分の気持ちにケリをつけるために、
今までのメッセージとは違って、
丁寧な言葉で、他人行儀にしてみた。
少しキツめのことも書いてみた。(自分にとっても、ね・・)
返事をもらうつもりはない、
一方的なさよならの手紙。
それでも、最後には、
”祥ちゃん自身も、別れた方がいいと思うなら、
このまま、そっとしておいてほしいです。”
キッパリとは言い切れずに、
少し含みを残した表現になってしまう。
「別れた方がいいなんて、思ってないよ」
もしかしたら、
そんなふうに言ってくれるかも、
なんて、淡い期待を抱いて・・・。
そして、
そんな淡い期待を抱きながらも、
”将来が見えないのに、
遠距離になったら、どうしようもないでしょ?
まだ期待して、どうなるっていうの!?”
そう自分に叱咤してる自分もいた。
”私たちのことを、人に話した”って書いたのは、
2つの理由からだった。
1つは、祥ちゃんとの約束を破ったことは、
やっぱり悪いな、と思ってたから。
でも、正直、その気持ちより、
もっと大きくて、怖い、と思ってたことがあった。
いつか、私たちのことが、
祥ちゃんの中で、すっかり過去になったとき、
誰に、どんな風に、
面白おかしく、話されるか分からない。
そんな恐怖があった・・・。
普段、自分の恋愛話は、
まったくしない祥ちゃんだけど、
終わったことなら、
笑い話にしてしまう可能性は大いにあった。
それもきっと、
話を面白くするために、
あること、ないこと、
誇張して喋るんだろう・・・。(><;) ヒィィ
だから、牽制の意味で、
祥ちゃんに知らせた。
”私たちのこと、知ってる人がいるから、
嘘(祥ちゃんいわく、冗談)はつけないよ”
って。
あとになって、
いい想い出まで壊されるのが、
怖いと思ったから。
・・・てか、こんなことまで
心配しなきゃいけないなんて、
祥ちゃんって、どんなヤツなんだ・・・。 (;´▽`A``
ただ、もう、これまでで、
感じて分かってるのは、
好きな気持ちが冷めると、
態度に見えて、優しくなくなるってこと。
だから、やっぱり、
”過去のこと”になったときは、怖い。
・・・今からこんなこと、考えたくない。<(>_<;)> ウ~
明日のことを考えよう。
いい想い出にしたい、最後のデート。
頭を切り替えてみた。
そして、当日。
その私の想いは、
初っ端から挫かれた。
約束の時間になっても、
祥ちゃんは来なかった。
電話してみると、
今回は、ちゃんと出たんだけど、
「ケータイの解約が、
なんかややこしいことになっててさー。
今から、ショップに行ってくる」
は?今から??(`・ω・´;)
「どこのロケーションでもいいみたいだから、
そっちに向かってる途中にあったら、
そこに寄るよ」
「・・・こっちに着くの、何時になるの?」
「さあ・・・また連絡するよ」
・・・・・。
最後の日まで、待たされる私。(`_´;) イラッ
「時間、あんまりないんでしょ?
モールで、ぶらぶらしながら待っててよ」
次の電話で、そう言われて、
私は1人、モールまで移動した。
モールに着いて、
あまり時間が経たないうちに、
「今、どこ?」
祥ちゃんから、電話が入って、
今いる場所を言うと、
すぐに、祥ちゃんがやって来た。ε=(ー。ー; ホッ
買い物してる間は、楽しかった。
膝丈ぐらいのショートパンツがほしいって言うから、
一緒に探してあげた。
祥ちゃんは、セールの棚から3つ、
試着室に持って入った。
そのうち1つは、私が選んだもの。
「2着買おうと思うんだけど」
そう言って、1つは、
自分が気に入ったものを選び、
残りの2つで悩みながらも、
「せっかくだから、
咲さんが選んでくれた方にするよ。^^」
最後に、そう言ってくれたことが、
嬉しかった。
レジに持って行って、
支払いをするときに気付いたんだけど、
私が選んだものは、セール品じゃなかった。
「も~、咲さんっ!!(`ε´;) 」
って、口を尖がらされた。
「ごめん・・・。もういっこの方にする??」
そう聞くと、
「もういいよ。こっちのが気に入ってるし。
・・・じゃ、咲さん、買ってよ。(^w^)」
なんて、冗談っぽく言った。
きっと、今日が最後の日じゃなかったら、
「そうだね。誕生日のプレゼントも、
渡してなかったしね」
そう言って、買ってあげられたかもしれない。
でも、もうできなかった。
祥ちゃんに、私が買った物を、
プレゼントすることなんてできない。
「何で、私が買わなきゃいけないのよ~。(`ε´;)」
だから、私も口を尖がらして、
そう言ってみた。
買い物してる間は、楽しかった。
でも、以前に、何度か
雰囲気はまったく違ってた。
今はもう、まるで、
ただの友達同士のような感じだった。
・・祥ちゃんの態度が、そう感じさせた。
こんなふうに、少し悲しくなってるところへ、
祥ちゃんは、追い討ちをかけた。
祥ちゃんのある行動に、私は・・・キレた。