福岡市内を走る電気バスを乗り比べてみました! | PJ-LV2102N1改

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こんにちは。2102です。
西鉄バスを中心に、バスや鉄道についての記事を書いて参ります。

 

 はじめに

 

 いま、よく聞くワードの1つに、電気自動車がありますね。

やれSDGsだの、カーボンニュートラルだのと騒がれる中、化石燃料を直接使わず走れるのは確かに地球に優しいですよね。ただし発電方法については触れないものとします。ハイ

エコなのかエゴなのかはよくわかりませんが、やがて普及していく電気自動車。

今、バスにもその波が来ています…


レトロフィット電気バス(西鉄公式HP)

ディーゼルバスのEV化!レトロフィット電気バスが完成しました(西日本車体技術HP)

西鉄の「電気バス」への挑戦!日本最大規模のバス保有企業が挑むEV化の道(N×(エヌカケル)HP)

 

 新車として電気バスを導入するのもいいですが、西鉄では運行開始から15年程しか経っていない車両を改造し、電気バスとして走らせる取り組みを実施しています。

バス事業はあまり儲からない事業です。現に、西鉄はコロナ禍の2021年から導入した新車は、全て北九州地区の車両のダウンサイジング政策に伴うものや、コミュニティバス専用車、そしてのるーと専用車と非常に消極的です。もちろんすべて小型車。

 

※2023年度の移動等円滑化取組計画書(西鉄HP)のバス事業の項目において、

・2023 年度中に、新たに 43 台の導入を計画している。2024 年度以降の導入については収支状況を踏まえ決定していく。

の文言があり、ついに新車が導入する可能性が見えてきました。

なお、これは絶対的な決定事項ではなく、大幅な計画変更が行われる可能性もあります。

 

 やや補足が長くなってしまいましたが、西鉄は今後も既存車の改造によって電気バスを増やしていく方針なわけです。

 

 

 今いる電気バスたち

 さて、ここからはもう電気バスとして活躍している車両をご紹介。

アイランドシティ2744 QPG-LV234N3

 

2744の後ろ姿。左後ろのランプは電気バス改造時に取り付けられたものだろうか

 

 西鉄グループで一番最初に電気バスに改造された、アイランドシティ営業所のエルガです。

初めての電気バスというだけあって、黒を基調にしたカッコいい見た目になっています。

2020年6月から運行を開始しており、千早駅~アイランドシティ照葉を、平日朝のみ走る運用に就いています。

 また、同営業所には、電気バス改造された2KG-LVの1361もいますが、こちらはここ半年ほど営業運用に就いていません。

 

 さて、乗車した感想ですが、かなり静かでした。

また、停止→発進とその逆も、揺れは無くスムーズでした。

ちなみに、2744のギヤにはR-N-Dしかないため、走行中の変速をしない(というよりできない)からです。なお、低速/高速のギヤも存在しません。

1361はAMTとのことで、こちらに乗ってみるとまた印象は変わるのかもしれませんが…

 

 

RF電気バス第三号こと、片江6251 PKG-RA274MAN

ちなみに、片江のRF電気バスは全て油山快速が所定だが、6251のみ0.5往復だけ16番に入る。

 

 コチラは記憶に新しいですね。レトロフィット電気バスです。

そもそも福岡市内の路線バスは、広告のラッピングをする際は側面と後部のみ可能で、前面へのラッピングは認められていません。

このため、前面が赤バスデザインであったり、スマートループデザインの西鉄バスしか見られないためか、この独自デザインはかなり新鮮です。

※【参考】屋外広告物について(福岡市公式HP)
『福岡市屋外広告物条例などのルール』の項の『屋外広告物の手びき』の9ページ、18ページ

 

 

 2022年6月に、新京成バスより中古導入したPKG-RA274MANを改造し、小倉営業所にて運行開始。現在は同車種を対象に電気バス化改造を実施し、小倉9725、片江6261、6251が営業運用に就いています。なお、片江6134も改造は完了しています。

残念ながら私は小倉のレトロフィット電気バス第一号には乗れていませんが、このうちの6251に先日乗車することができたので感想を書き記そうと思います。

 

 やはり、こちらもかなり静かだな、という感想です。走行音は2744とほぼ変わらないくらいの音量に思いましたが、車内後部から何らかの機械音が鳴ることがあり、これが気になりました。とはいえ、平均すればはるかに静かです。新ジェイのほうがよっぽどうるさい。

 ちなみに、乗車当時「エルガハイブリットみてえな走行音だ」とツイートしましたが、エルガハイブリットの方がふっつうに音が大きかったです。お詫びして訂正します。音は似てますけどね。

 ただ、発進時に後ろに引っ張られる感覚と、加速をやめた時に前に引っ張られる感覚が少々気になったのも事実です。ただ、6251は2744より2ヶ月も後に乗っているのであまりフェアな比較とも言えませんけれども。

運転手さんが下手くそなようには見えなかったので、車両によるものと思います。

※6251は改造後しばらくは調子が良くなく、調整期間が長かった

ちなみに、RF電気バスのギヤは、イートン社製のAMTになっていますが、乗車時はATモードだったと思われます。

 

 

 2種類の電気バスの違い

 さて、この2種の電気バス。実は、大きく特性が異なることをご存じでしょうか?

最初に述べた2744と1361は、航続距離は短いが耐久性が高いという特徴があります。

2744は、フル充電した場合満員乗車&暖房動作中で45kmしか走れないようです。

なお、1361は同様の場合たったの35km

参考までに、44番のルートで雑餉隈車庫~天神を往復すると約21kmです。

 そう、千早駅~アイランドシティという短距離路線だから走れるわけであり、福岡市内の路線バスをすべてこれにするととんでもない数のバスが必要になります。

 しかし、こちらにもメリットはあります。なんと約20000回も充電できます!

こういう意味では保守性が高いと言えますね。

 

 一方で、レトロフィット電気バスの方はどうでしょうか。

 冷暖房を点けた状態で、一回の充電で150km走行できるみたいです。

2744、1361のタイプと比較するとなんと3.5倍です。

 44番のルートで雑餉隈車庫~天神を往復すると21km、竹下営~雑餉隈車庫の回送含めても、6往復は出来るでしょう。実際には、諸岡線に雑餉隈~天神のみで完結する運用はありませんが、45番や博多駅止めなども組み合わせれば、1日中走らせることも出来そうですね。

 現在は片江のRF電気バスは、全て油山快速線の特定の運用にしか入りませんが、ほぼ終日走っています。

 しかし、こちらにもデメリットがあります。充電が約2000回程度しかできないのです。

2744と1361の10分の1です。保守が大変(とはいってもバッテリーの交換と試運転ですが)といえますね。

 

 

 さいごに

 …長くなってしまいましたが、乗車録とそれぞれのメリット、デメリットのご紹介でした。

どちらもまさに一長一短ですが、今後は航続距離も伸び、バッテリーの交換頻度も減っていくことに期待しています。

 これで西工製のバスが長生きしてくれれば幸いですね。

 

以上。 2023.8.10