あいにくの雨で麻耶雄嵩

ジャンル:ミステリー

 

★★★8:傑作、もう一度読み返したくなる1冊

テンポ7.0、プロット8.5、ストーリー性8.5、展開9.0、人物描写8.5背景描写8.5、空気感8.0、ミステリー8.5、ドキドキ感8.5、伏線9.0、読後感8.5

   

 

~ 解説 ~

作家の長編4作目。

これまでの作品とは異なり、奇を衒ってない。

 

呼び方も氏名であったり名前であったりと混乱する。テンポも悪くストーリーも遅々として進まず、兎に角前半は読み進まない。

 

設定も登場人物もまっとう(?)だが、これは後半のジェットコースターに向けての少々長めの序章であり、後半以降はテンポもストーリー展開も一気に加速する。

 

それを面白くなくなったとみるかパワーアップしたとみるかは、読み人次第ではあるが、作家としての成長が認められるのは確かであろう。

 

 

~ 作品について ~

主人公は3人の田舎の高校生。

雪の日の深夜に、近所の無人の塔に忍び込んだ3人は浮浪者の死体を発見する。

殺された浮浪者は様変わりしていたが、数年前に同じ塔で母親を殺して失踪した父親の様である。

 

塔の中にはほかに人影はないが、雪上には塔に入った足跡のみで出た形跡もない、いわゆる密室状態。

 

そしてその後、ひとりまた一人と関係者が殺されていくが。。。

 

とこれだけだと、いかにもありきたりの密室トリックのミステリーなのだが、そこは麻耶雄嵩それだけでは済まさない。

殺された父とさらに数年前に殺された母との家族関係は、友人たちやその家族たち。

 

そうして、犯人の目星がついて収束したかに思えた矢先に真の犯人が顔を現わす。

 

~ 読後感 ~

とにかく前半はテンポも悪いしストーリーも進展しないし、かったるい。

それを我慢して読み進められれば、後半はもうジェットコースターなみのスピードと思考の破壊力で、やっと終わったかと思えば更に最後のトドメが待っている。

 

これこそ、まさに麻耶ワールド。 了

 

 

<評価の説明>

★★★★★10:超傑作、もう神の域

★★★★9:最高傑作、間違いなくこれからも読み続ける珠玉の1冊

★★★8:傑作、もう一度読み返したくなる1冊

★★7:秀作、十分に楽しめる作品

★6:標準的佳作、とりあえす合格レベルの作品      

5:凡作、可もなく不可もなくで読んでも読まなくてもよいレベル

4:駄作、よほど暇であれば読んでもいいが・・・

3:失敗作、読む価値なし

2:酷作、この作家の本は二度と手にも取りたくないレベル

★1:ゴミ、即破棄してもいい