夏と冬の奏鳴曲 著者:麻耶雄嵩

★★★★★10:超傑作、もう神の域

   プロット;10、ストーリー;10、描写;10、テンポ;6、ドキドキ感;8、発想:10

   スリル;9、サスペンス;8、ドンデン;9、推理;10、感動;8、泣ける;-、切ない;7

ジャンル:ミステリー、本格推理、密室、孤島、館

 

感想:

麻耶雄嵩の絶版作品。

 

好き嫌いが分かれる作品ではある。

 

テンポは悪いし、難解な部分も含まれる。

 

が、嵌ればはまる作品であることに間違いはない。

 

有名どころといえば、ドラマ化された「貴族探偵」があげられるし、出世作といえば「隻眼の少女」や最近では「神様ゲーム」などとなるのであろうが。

 

これら作品に彼の魅力は、ほとんどあらわされてはいない。

 

例えば、彼の作品の主要登場人物とその作品を並べてみると以下のようになる。

特に、メルカトル鮎や木更津悠也は代表的登場人物であり、当作品にもわずかながら エキストラ程度にではあるが登場するので乞うご期待を。

 

とはいえ、こんななか 当作品の主人公は如月烏有と書いて、'きさらぎうゆう'と読ませるが、彼の作品の記念すべき初登場となる。

 

 

烏有は、出版社の準社員で、誇れるようなものはなにも持ち合わせていない。

 

あるとすれば、子供の頃、トラックにはねられかけた時に助けたが為に身代わりで亡くなった大学生への悔恨というか引け目みたいな、マイナスの感情にいまだ縛られている。

 

その彼が、とある取材に抜擢されるのだが その内容は。。。

 

20年前に「真宮和音」という女優の魅力に憑かれた6名の若者がたった1年間ではあるが、和音島という孤島で共同生活を送っていたのだが、その同窓会があるという事でその取材を任される。

 

これは、まぁよくある無人島型密室殺人だろうことは、そうしてひとりづつ減っていくところは「そして誰もいなくなった」タイプの推理小説が展開されるだろうことは容易に想像がつく。

 

そうして一行が到着した先は、当時共同生活を送っていたその館はどうにも歪んでおり、環境的にも季節は夏でもあるにかかわらず雪が降るわ、更には地震が頻発するわの大騒ぎ。  

 

そんな中、第一の殺人が起こるのだが。

 

 

大学中退後プラプラとしていた烏有に仕事を紹介したの、不登校の女子高生モデル桐璃も、今回の取材のアシスタントとして同行していたのだが、嫌にもまきこまれていく。

 

 

※この作品の魅力の一つが、ピカソやブラックで有名なキュービズムが現実の世界で多用さ

 れているところであるが。

 

 

<評価の説明>

★★★★★10:超傑作、もう神の域

★★★★9:最高傑作、間違いなくこれからも読み続ける珠玉の1冊

★★★8:傑作、もう一度読み返したくなる1冊

★★7:秀作、十分に楽しめる作品

★6:標準的佳作、とりあえす合格レベルの作品      

5:凡作、可もなく不可もなくで読んでも読まなくてもよいレベル

4:駄作、よほど暇であれば読んでもいいが・・・

3:失敗作、読む価値なし

2:酷作、この作家の本は二度と手にも取りたくないレベル

★1:ゴミ、即破棄してもいい