SRO Ⅵ ~四重人格~ 著者:富樫倫太郎

★★7:秀作、十分に楽しめる作品

ジャンル:、サスペンス、ミステリー、警察もの、シリーズ

 

感想:

SROシリーズ第6巻の敵は、題名通り四重人格者。

 

冒頭より、林葉秀秋はトリカブトを使って殺人をする。

 

ただ これまでのシリーズの犯人と違うのは、彼は好んで殺人をする殺人鬼ではなく、金で殺しを請け負うプロの殺し屋。

 

なので、殺害方法は計算しつくされた冷静でスマートでさりげない。

 

 

ちなみにトリカブトとは、1980年代に 「トリカブト保険金殺人事件」で一機に脚光を浴びたキンポウゲ科の小さな紫の花を咲かす多年草植物で、その根に含まれる猛毒は数ミリグラムで致死量。

 

 

ただ この林葉、なにか違和感がある。

 

プライベートの観劇で不快にさせられた主婦や、仕事で移動中の機内で不遜な男性を感情的殺害してしまう。

 

この衝動的な殺人から、題名の四重人格と結びつく。

 

 

これらと並行するかのように、当シリーズで面白いのは SROメンバーのプライベートのカミングアウト。

 

もちろん前作までの流れをきっちりと引きずっているはずなので、少々おさらいすると

 

 ・室長 山根の鈴木ブス子(呼称)との恋の行方は?

 ・副室長 芝原麗子は精神疾病や前回 近藤房子から負わされた怪我とトラウマから立ち直れるのか!

 ・尾形は、息子の家庭内暴力が発展し 遂に本人と嫁が刺されるまでに発展してしまったが・・・。

 ・針谷は、有力政治家の父とその秘書である兄との間に確執があるが。

 ・近藤房子から刺された傷もやっと癒え自宅療養中の木戸沙織は、前回では房子が家にまで乗り込ん

  で家族まで巻きぞえに恐怖を叩き込まれた、このシリーズ1番の被害者の彼女の職場復帰は!!!

 

それ以外あと2人のSROメンバー、最年長で事務方の富田課長や、かたや20代最年少の川久保警部は、既にずっと以前に大きな問題を起こしてはいるが、今は落ちる居ているが 今回も無事乗り切る事が出来るのか。

 

 

こう見ると、このSROメンバー それぞれが、独自の個性を持ち放っており、それが当作品では ストーリー以上の面白さにつながっている。

 

唯一 不満というか 悲しいかな当作にはこのシリーズのラスボス 近藤房子の登場が無いが為に、ピリッとした締まりに少々かける結果になっている。

 

別のに1冊の作品としてデビューまではたした準レギュラーの房子の出演如何は大きいのかも。

 

 

とはいえ、テンポ、ストーリー、プロット、描写、どれを取っても卓越した彼の作品からは、当分目が離せない。  了

 

★★★★★10:超傑作、もう神の域

★★★★9:最高傑作、間違いなくこれからも読み続ける珠玉の1冊

★★★8:傑作、もう一度読み返したくなる1冊

★★7:秀作、十分に楽しめる作品

★6:標準的佳作、とりあえす合格レベルの作品      

5:凡作、可もなく不可もなくで読んでも読まなくてもよいレベル

4:駄作、よほど暇であれば読んでもいいが・・・

3:失敗作、読む価値なし

2:酷作、この作家の本は二度と手にも取りたくないレベル

★1:ゴミ、即破棄してもいい