鬼神伝 ~鬼の巻~ 著者:高田崇史

★★★8:傑作、もう一度読み返したくなる1冊

ジャンル:歴史ファンタジー、冒険、平安時代

 

感想:

鬼神伝シリーズの第一巻。

 

作家は、言わずもがなQEDシリーズの作者で 最近の一番のお気に入り。

 

 

というわけで、エコ贔屓、肩入れ甚だしい感想についてはお許しを。

 

 

当作品は、まったくのフィクションである。

 

また、ジュブナイル向けとあるので、内容は相当に漫画チックである。

 

 

時代は、平安時代にはなるが、登場人物の貴族である太政大臣 藤原房盛、右大臣 藤原基良、左大臣 大伴宿禰と、もっともらしい名前にはなっているが、どうもそのような人物は実在してないよう。

 

 

ストーリーとしては、主人公天童純は地味な京都の中学生。

 

とあるきっかけで、平安時代にタイムスリップ、飛ばされる。

 

が、そこでは時の貴族たちが彼が来ることを心待ちにしていた。

 

その理由は、平安京の街には 「鬼」が夜な夜な攻めてくる戦闘状態。

 

彼 天童順が、「鬼」を退治する能力=雄龍霊(オロチ)をコントロールする能力を持っているから。

 

 

そうして、否応なく戦いに巻き込まれる 純ではあるが、彼は出来れば戦いたくない平和主義者。

 

「鬼」にも、ココロもあれば 要は死にたくないだろうと、話し合えないかを考えている。

 

 

時のスーパースター達が勢ぞろいしての、「貴族」チーム対「鬼」チームの戦いが始まる。

 

平安京の内裏を拠点とする貴族率いる「人」チームは、貴族ほか 軍団率いる酒呑童子を成敗した源頼光とその四天王の渡辺綱、坂田金時、碓井貞光、卜部季武。

 

一方龍宮を拠点とする「鬼」チームは、長老の海神以下、山神/火神/土神/木神という自然神と、それぞれの配下には、天邪鬼や土蜘蛛、烏天狗、ワニ、カッパ、荒神、木霊などなど、妖怪や精霊などが多数存在するが、そのバックには 順と同じく時間をタイムスリップして来た小野篁がご意見番に。

 

 

バカバカしいと言ってしまえばそれまでの作品なれど、御伽噺では いつも「鬼」が悪として成敗されて搾取される、それは桃太郎や一寸法師などで自明なれど、いったい鬼が何をしたというのか、の問いかけには 多くの人が一度は思い描きながらも、『鬼=悪』の既成事実の刷り込みが作為的であることには同調できる。

 

 

一応1冊で完結はしているが、続きは予定済み。

 

まあまあ面白かったので、このまま続きを読み進めます。 了

 

★★★★★10:超傑作、もう神の域

★★★★9:最高傑作、間違いなくこれからも読み続ける珠玉の1冊

★★★8:傑作、もう一度読み返したくなる1冊

★★7:秀作、十分に楽しめる作品

★6:標準的佳作、とりあえす合格レベルの作品      

5:凡作、可もなく不可もなくで読んでも読まなくてもよいレベル

4:駄作、よほど暇であれば読んでもいいが・・・

3:失敗作、読む価値なし

2:酷作、この作家の本は二度と手にも取りたくないレベル

★1:ゴミ、即破棄してもいい