○○○○○○○○殺人事件 著者:早坂吝
★★★★★★★★8:傑作、もう一度読み返したくなる1冊
ジャンル:ミステリー、密室、叙述トリック
感想:
まず題名からして、ナメている。
たいてい 題名に凝りすぎた作品は、それで終わってしまうものが多い。
というわけで、大きくは望まないまでもメフィスト賞受賞作というところにのみ、わずかな期待をもって読み始めた。
まず読み始めて1ページ目、「読者への挑戦状」として この作品の趣旨が述べられるのだが。。。
当作品は殺人事件であるが、その犯人を当てることでもトリックや動機を当てることでもなく、題名の「○~」を当てるということになる。しかも、「○~」には ことわざが入るので、それを当ててみよ、というのが作家より読者へ向けらる。
そうして読み始めるにすぐに感じるのは、ひたすらにテンポよくスピーディーで読みやすいということ。
もうひとつは、人物描写が卓越し、約10名の登場人物が混乱することなくすんなりと受け入れらる。
ただし、中後半までは 失踪や殺人はおこるものの たいした緊迫感や 島に閉じ込められる密島(密室)の焦燥感もなく、だらだらと流れていく。
が後半の謎解き辺りからは急転直下、当作が叙述トリックを使った作品であることが明かされる。
題名と同様に、トリックの結論としても 全体としてナメ切った作品ではあるが、歌野晶午の名著『葉桜~』に勝るともの作品である。 了
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○○○○○○○○殺人事件 (講談社文庫)
713円
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★★★★★★★★★★10:超傑作、もう神の域
★★★★★★★★★9:最高傑作、間違いなくこれからも読み続ける珠玉の1冊
★★★★★★★★8:傑作、もう一度読み返したくなる1冊
★★★★★★★7:秀作、十分に楽しめる作品
★★★★★★6:標準的佳作、とりあえす合格レベルの作品
★★★★★5:凡作、可もなく不可もなくで読んでも読まなくてもよいレベル
★★★★4:駄作、よほど暇であれば読んでもいいが・・・
★★★3:失敗作、読む価値なし
★★2:酷作、この作家の本は二度と手にも取りたくないレベル
★1:ゴミ、即破棄してもいい
