木製の王子 著者：麻耶雄嵩
★★★★★★★７：秀作、十分に楽しめる作品
ジャンル：、ミステリー、密室殺人、木更津シリーズ
感想：
最近はメルカトルシリーズを集中して読んでいたので、久しぶりに このシリーズから外れた木更津悠也シリーズを手に取った。
当作品、従ってシリーズとしては、木更津と如月烏有コンビもので、推理小説のジャンルとしては密室殺人にカテゴライズされるのかと。
麻耶雄嵩としては、どちらかというと初期の作品。
そうして 結果的には、 相変わらず好き嫌いがはっきりと分かれるというか、意図的に万人受けしない読み手を選ぶ、彼らしいアクの強い作品に仕上がっている。
ストーリーの前半は、どちらかというと本格推理風の切り口で 淡々と、精緻なアリバイ工作や登場人物の多さとその関係性に混乱させられる。
特に登場人物については、相関関係図を書いたりして本気で読んでもみたが、もちろん 麻耶作品、これを読み解くだけで解決できるほど甘くもない。
とはいえ、中盤から後半に入るくらいまでの関係は分かりやすくなって、読み進める上で頭が整理できたので全く無駄ではななかったかと。
そのように、序盤から半ばくらいまでは 本当に普通の本格推理小説のスタイルで淡々とストーリーは進んでゆくが、中盤から後半に差し掛かるころから徐々に、物語の雰囲気に陰惨さが醸し出されてきて、
これぞ麻耶作品となってくる。
締めくくりが、個人的にはどうにも好きになれず 結果低めの判定にはしたものの、麻耶ワールド全開作品で、彼の作品に馴染みのある人なら 楽しめる作品となっている。
ただ、もし始めて麻耶作品を読む場合、当作品よりもう少しアクの弱い、例えば『隻眼の少女』や『神様ゲーム』辺りで、コテならししたほうが、とっつきはやすいかもしれないが。 了
★★★★★★★★★★１０：超傑作、もう神の域
★★★★★★★★★９：最高傑作、間違いなくこれからも読み続ける珠玉の１冊
★★★★★★★★８：傑作、もう一度読み返したくなる１冊
★★★★★★★７：秀作、十分に楽しめる作品
★★★★★★６：標準的佳作、とりあえす合格レベルの作品
★★★★★５：凡作、可もなく不可もなくで読んでも読まなくてもよいレベル
★★★★４：駄作、よほど暇であれば読んでもいいが・・・
★★★３：失敗作、読む価値なし
★★２：酷作、この作家の本は二度と手にも取りたくないレベル
★１：ゴミ、即破棄してもいい
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木製の王子 (講談社ノベルス)
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