卑弥呼伝 ~地に降りた神々~   著者:井沢元彦

★★★8(傑作、もう一度読み返したくなる1冊)

ジャンル:歴史、推理、ミステリー

 

感想:

日本史最大とも言っていい謎の一つが邪馬台国と卑弥呼。

 

その存在は 唯一魏志倭人伝に記載されているのだが、正確には中国の正史で65巻からなる『三国志』のなかの「魏書(魏志)」全30巻のなかの最終巻である烏丸鮮卑東夷伝の、更に最終章「倭」に記載されている。要は、中国正史の最終巻の最終条にほんの付けたしの様に記載されいるといってよいかと。

  (※)魏書以外に呉書、蜀書という あの三国志でもお馴染みの3国の歴史が紀伝体で

     記されたものであるが、あくまで歴史書である。

  (※)ちなみに、血湧き肉躍る あの三国志は正式名称を三国志演義という読み物であり、

     この三国志とは少々ことなるのでお間違えなきよう。

 

当作は表題の謎を、現代人が捜索しながら事件に巻き込まれ殺人事件が起こり・・・という。いつも通り ミステリーと邪馬台国と卑弥呼の謎の探求の2本命題となっている。

 

この歴史探求には、現代科学や彼の『祟り』理論を駆使して この謎を解き明かすのだが、彼の場合それだけにとどまらない。

 

それは、派生的というには大きすぎる謎や既に常識となっている事柄にまで追及の手が入る。

 

例えば、天皇家と神話の関係や、世界の宗教との関わり、伊勢・出雲・宇佐神宮の設立の謎などを次々に解き明かしていく。

 

その解明方法は、通説やそれに対する他方面の説を土台に独自理論を展開する井沢作品の常套で安心感甚だしい。

 

 

彼の作品には迷いがない。また、学者ではなく作家であることが 下手な束縛やしがらみを排除できる為か、常識とされえていることについてもどんどんと反論する様は圧巻。

 

いつかこの井沢説が立証される日がくるのか愉しみである。 了

 

★★★★★10:超傑作、もう神の域

★★★★9:最高傑作、間違いなくこれからも読み続ける珠玉の1冊

★★★8:傑作、もう一度読み返したくなる1冊

★★7:秀作、十分に楽しめる作品

★6:標準的佳作、とりあえす合格レベルの作品      

5:凡作、可もなく不可もなくで読んでも読まなくてもよいレベル

4:駄作、よほど暇であれば読んでもいいが・・・

3:失敗作、読む価値なし

2:酷作、この作家の本は二度と手にも取りたくないレベル

★1:ゴミ、即破棄してもいい