猿丸幻視考   著者:井沢元彦

書評:★★★8(傑作、もう一度読み直したい)

ジャンル:歴史ミステリー



感想:


井沢元彦は、パクリ作家です。


ただただ、人の説を学説をひたすらにパクりまくります。


とはいえ、そのどれもが面白いのである。



当作は、歴史上の歌人 猿丸と歌聖 柿本人麻呂が同一人物である、という説を押しまくる。


作中でネタバレしているが、大昔に読んだ梅原猛の『水底の歌』を題材に色づけしたものである。


なれど、面白いのである。


主人公に折口信夫をおきながら、ところどころに金田一京助はじめ、東条英機や南方熊楠を配置させたり、百人一首と万葉集にいろは唄を混ぜるなど、興味を引き物語に引き込む手法は、ある意味本当の意味での小説家かもしれない。


無理にSF仕立てにしているところやミステリー調にしているところは戴けないが、そんな些事を消し去る暗号もんだいなど、とにかく飽きさせない。


ふと思い出すのが、一時期のめり込んだ自称ハードボイルドの落合信彦なんかと同んなじ匂いで、ただただ楽しめる小説であった。  了



★★★★★10:超傑作、神レベル

★★★★9:最高傑作、間違いなく繰り返し読み続ける

★★★8:傑作、もう一度読み直したい

★★7:秀作、十分におもしろい

★6:標準的作品、一度くらいは読む価値あり      

5:凡作、可もなく不可もなく

4:駄作、よほど暇であれば読んでもいいが・・・

3:失敗作、読む価値なし

2:酷作、この作家の本は二度と手にも取りたくないレベル

★1:ゴミ、即破棄してもいい読むに耐えない


猿丸幻視行 (1980年)/講談社

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