こんばんは。
ご訪問くださり、ありがとうございます。
こちらでは、腎不全の方、腹膜透析をしている方、透析前の保存期のかたに何らかのお役に立つと思われる情報を書いております。
食事制限(たんぱく質制限、カリウム・リン制限、減塩)されていてもおいしくごはんを食べるために便利な食材(食品)については、前にシリーズでご紹介しておりまして、
過去の記事は以下の①〜⑦と、別記事をはさんで、外食篇、おやつ篇2回、の合計10回で連載しております。
①ご飯篇
(ここから連載開始です。記事一覧でご覧くださるとみつけやすいです。)
↓
今回は、実際に献立をたてるとき、どうしたらあまり面倒くさくなく、カリウム、リン、塩分とたんぱく質を制限内におさめながら、メニューと食材を楽に選択できるのかについて、私のやっている方法を参考としてご紹介します。
ただ、あくまでも
「少しでも楽に、食事制限下での毎日のご飯作りを円滑に回していきたい」
ということをメインとしたやりかたですので、
本格的な栄養計算を毎食につき全てなさっているかたや、
専門の栄養士さん
から見ると、穴だらけかもしれません。
あくまでも、
毎日の成分計算がストレスでストレスでたまらない
もう何を食べていいかわからない
という方が、少しでも楽にやれるように、という観点からご紹介するものですので、そのような前提で生暖かい目でご覧くだされば幸いです。
なお、主要な食品の成分早見表は、この記事の1つ前でご紹介しておりますので、ご参照くださいね。
↓
腎不全の方は、1日当たり、
塩分 4g
たんぱく質 40g
カリウム 1500mg
リン 700mg
程度の制限の方が多いと思いますので、その前提で書いていきます。
ただ、それぞれのご容態によって制限値は異なりますので、ご自分が主治医から指示されている数値に読み替えてお読みください。
方法1
【朝と昼を軽くして、かつ固定する】
1日の制限量を3食に割り付けると、例えばカリウムは一食あたり500mgしかとれなくなります。
これでは、松潤家康のように、
いったい何を食べたらいいんじゃあー!
となってしまいます。
うちは、もともと、朝と昼はあまりガッツリ食べたりしないスタイルだったこともあって、野菜やたんぱく質をちゃんと食べるのは夜に限定することにして、その分、朝と昼は制限される4成分をあまり含まない簡素な食事にすることで、夜の食事をできるだけ健康な頃の食事に近づけて、トータルで1日の満足度をアップさせることにしました。
その上で、朝と昼のメニューをいくつかのパターンに固定すると、朝と昼で使う制限4成分(笑)の使用量も固定され、残りの数量を全てディナーに投入できるようになります。
(例1)
朝ごはんはアンデルセンのミルクソフト1個、とする場合。
↑
※公式ページの成分です。
こちらにはカリウムとリンの表示がありませんので、文科省のホームページの「ロールパン」と同程度だと推定して、エネルギー比較の比例計算で算出します。
なお、ミルクソフトの重量は67gです(物により差があります。)
たんぱく質 4.9g
塩分 0.4g
カリウム 55mg
リン 50mg
これなら楽勝です。
なお、なぜアンデルセンのミルクソフトなのかというと、毎朝、降圧剤による吐き気で嘔吐しがちだった頃、主人が「これなら食べても気分が悪くならない」と言ったことと、塩分が比較的少ないことによります。
ほかには、セブンイレブンのミニクロワッサンにもお世話になりました。
これだと2個ぐらい食べることになります。
↑の文科省成分表に平均的なクロワッサンの成分もあるので、カリウムとリンは、エネルギー(カロリー)を基礎として比例計算で算出できます。
【計算式】カリウムの場合
ミニクロ:公式数値
(カロリー)81:438=(カリウム)X:90
X=90✕81÷438=16.6mg
リンも同様に計算してみてください。
(例2)
朝ごはんは味の素のレトルトおかゆに、CaMg梅しそふりかけをかけて食べることとする場合。
で、これまたエネルギー値を基礎とする比例計算でカリウムとリンを求めます。
すると、おかゆ+ふりかけで、
たんぱく質 1.5+0.2=1.7g
塩分 0.0+0.3=0.3g
カリウム 17.5+6=23.5mg
リン 9+7=16mg
です。
(例3)
お昼は、低たんぱくご飯で作った海苔巻きおにぎりとする場合
越後くらぶの「1/25プチ越後ごはん」は、129g入りパックが2つセットになっていて、ひとつチンしておにぎりにするとちょうどのサイズです。
半切りの海苔を1枚使って包むとすると、成分は1個当たり次のとおりとなります。
ごはん+海苔
たんぱく質 0.13+0.6=0.73g
塩分 0g
※握るときに塩を振る場合は、その量を加算
カリウム 0+36=36mg
リン 16+10.5=26.5mg
朝のパンやおかゆも、おにぎりも、何個食べるかにもよりますが、朝と昼を合計しても、
たんぱく質は10g以内
カリウムもリンもだいたい100mg以内
に納めています。
そうすると、夜は、残った権利として
たんぱく質30g
カリウム1400mg
リン600mg
まで食べられる計算です。
※おにぎりの具がないのは淋しすぎる、というような場合、朝昼分に具の成分をプラスしてください。その分、夜の権利が減ります。
※今夜はお誕生日だからガッツリとデザートも食べる!というような日は、昼を清らかなウイダーinゼリーのENERGY-inにしておくと、ほぼ、ヤバイ成分ゼロですので、ごっそりと夜に権利を持ち越せます。
ただし、夜に一点集中的に食べるわけですので、
カリウム吸収剤やリンの吸収剤は、
・夕ごはんを食べたあとすぐか、
・夕ごはんを食べながらすみやかに飲んで
摂取したリンとカリウムをできるだけ
なかったことにするよう
ご注意ください。
方法2
【夜はたんぱく質食材から献立を決める】
さて、夕ごはんについては、
オムライスが食べたい
焼きそば作って
などの具体的オーダーがある場合を除いて、さて今夜は何にしようか、と考えると思います。
レストランでも、まずはメインの一皿を決めると思いますし、ここはとりあえず
肉か魚か豆腐か
などの、メイン料理を決めます。
そのとき、脳裏に浮かぶのが、前回ご紹介した食材別の成分表です。
付け合せの野菜やデザートでたんぱく質を使う分を考えても、メインで20g程度までならたんぱく質を使えます。
ところで、
肉100g当たりのたんぱく質は、だいたい
霜降り牛肉と卵は13g
赤身牛肉は20g
ブタとトロや白身魚は20g
マグロは26g
です。
なので、
霜降りや卵がメインなら、ひとり当たりMax120gぐらいまでは使える
赤身とか豚肉ならひとり80から100gまでにしておく
ぐらいの感覚でいいかなと思います。
すると、肉の種類によって、カリウムとリンの使用量も決まります。
牛だとカリウム200、リン100
豚はカリウム300,リン200
鶏はカリウム160,リン110
卵は2個でカリウム180、リン200
です。
肉によりますが、カリウムは200〜300使用ですので、朝昼と合わせるとあと1000は使えます。
これなら、付け合せに、ブロッコリーやトマト、レタスも、多すぎなければ使えます。
早見表の1食当たりのカリウム量を見ながら、どの程度までどの野菜なら使えるかなー、と考えて組み合わせます。
麻婆豆腐、とか、青椒肉絲、とか、具体的メニューを想定しているときは、その料理に使う材料を早見表からざっと拾っていきます。
だいたい収まってるよな、とわかれば、あとは調味料チェックですみます。
方法3
【最後に調味料チェック】
前の特集で、調味料別の塩分、カリウム、リンはご説明しました。
あの数値を基礎として、クックパッドなどのレシピを検証していきます。
2人分でしょうゆ大さじ2使用、ってことはひとり分は大1か…すると、
↓
だしわりしょうゆは、
大さじ1(15cc)当たり、
塩分 0.89g
カリウム 3.4mg
リン 5.7mg
です。
カリウムとリンは正直誤差の範囲なので、塩分メインで点検しますと、朝昼で1gも使ってませんので、あと3g権利があります。
メインの味付けをしょうゆ大1(塩分0.9g)ですませれば、
付け合わせのもずくにだしわりポン酢を大1(塩分0.7g)かけたうえで、
付け合わせその2のサラダにアサムラサキのごまだれを大1(塩分0.7g)かける、
ということが許され、まだ余裕が出ます。
メインをもう少ししっかり味付けしたいので、2人分でしょうゆ大3を使いたい、というのなら、付け合わせの味付けを控えて、ポン酢を小さじ1にする、といった微調整でなんとでもなります。
だしわりシリーズの調味料や、腎臓病用のコンソメパウダーは、調味料そのものに占めるカリウム等が少ないため、塩分メインで計算できるのが有難いです。
また、低たんぱくご飯も、たんぱく質、リン、カリウムのすべてが少ないため、主食で余分に成分をとることを考えずにすむのが楽チンです。
オムライスが食べたいとか、焼きそば作って、などと、味がガッツリしたものをオーダーされた場合は、上記とは違い、調味料から先に枠を作って決めていくパターンになりますが、それはまた別の機会にご紹介しますね。
皆様の毎日のお料理の手間が少しでも減りますように。
コメントやイイネをつけてくださる皆様、いつも本当にありがとうございます。
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