(ライヴ・タイトルは正確には「 Rock'n'Roll Children Vol.2 PARADOXX TOUR 2024 “逆説のSINGULARITY” 」。)

 

5/5のこどもの日は、最近、結構色んなバンドがライヴをやっている上野音横丁というハコへ。実は今回初。家からだと、京成一本で行けてしまうし、渋谷や新宿のハコと比較するとかなり近いのだが、今回まで行くことがなかった。
今回のライヴは、現在ガールズメタルのインディーズのシーンでは、コロナ禍が酷い状態だった数年前からメキメキと頭角を現し、ついにこの2月にフルアルバムを出したPARADOXXとHamamatsu Rock Summitという浜松のライヴ企画との共同企画。
ちなみに、自分はこのHamamatsu Rock Summitで参加の3バンドの中のBackmenというバンドのドラマーが実は、あのGROUND ZERO(X(JAPAN)やJURASSIC JADEなどと共に「SKULL THRASH ZONE」のV.A.に2曲収録。EXPLOSIONのレーベルからミニ・アルバムも出ている。)の宮崎さんということで、行くことにしたのだが、他のバンドにも実は「え?貴方も出演?」という方もいて、ちょっと驚いた。

トップのMarilyn Marathonは、遠い国からやってきたらしいのだが、何故か女性メンバー2人が凄く知っているバンドのメンバーに似ていて、日本語も達者だったから、ビビったなぁ。(棒読み)
というわけで、MARILYN MANSONのカヴァー・バンドである。定刻に暗転。まず1曲目はSEから唯一俺もアルバムを持っている「ANTICHRIST SUPERSTAR」のタイトル・トラック。かなりスローな重いリフが特徴的。ヴォーカル氏は上着の衣装を脱いでMC。2曲目は、歪んでいないギターの単音リフから始まる"The Fight Song"。さらに、三連のリズムの有名な"Rock Is Dead"。
「トッパーから俺らみたいのでいいんでしょうかね?」と言っていたが、結構盛り上がっていたと思う。それぞれのメンバーのバンドのライヴが決まっているので、ここでライヴ告知。4曲目はSEから"FAKE STAR"という曲だが、これは実はオリジナル曲で、うまく挟み込んでいた。これも三連のリズムだが、結構ダンサブルでノリの良い曲だ。
攻撃的なアクセントの入るリフから"Irresponsible Hate Anthem"、そしてラストは再び三連リズムでダークかつノリの良い"The Beautiful People"。「よく走ったか?(マラソンだけに。)」といいながら、センターで走りまくっているヴォーカル氏。そのまま袖に消えていった。

Marilyn Marathon@上野音横丁 2024.5.5
SET LIST:
1. SE~Antichrist Superstar
2. The Fight Song
3. Rock Is Dead
4. FAKE STAR(これのみオリジナル曲)
5. Irresponsible Hate Anthem
6. The Beautiful People

(特記なき限りMARILYN MANSONのカヴァー)

https://twitter.com/M_Marathon_JP

Hamamatsu Rock Summitの3バンドの中でトップで出たのは、Lanchester。
こちらはオリジナル曲をやるバンドで、カッコイイR&Rバンド。1曲目のリフもカッコイイ。かなりドラムがタイトでスネアの音色が安定している。カチッとしまるドラムだ!そこに乗るベースはドライヴ感が物凄い。リズム隊は熟練の味である。2曲目はベースのイントロから。こちらも素晴らしくノリが良いR&R。
「昨年もPARADOXXのOAでやらせてもらったけど、いや~PARADOXXのファンの皆さんはあったかいですね。ありがとうございます。」最前列のPARADOXXのファンの方々もかなりノっている。でも、実際に曲が良いと思うし…。次の気だるいギター・リフが先導するミドル・テンポの曲もかなりシブめで良い感じである。
それが終わると、Hamamatsu Rock Summitのロゴの入ったタオルを掲げて、「浜松3バンドで来ています!」と宣言。どういう経緯でPARADOXXとの共同企画になったのかよくわからないが、今日の出演バンドの顔ぶれは興味深い。
4曲目は、ドラムのスネアのフィルから少し速い8ビートの曲。リフ展開はちょっと激しい感じ。そして「次の曲で最後」といいながら、中に電球が入っていて光っている白いプラスティックの立体的な看板(案内板?)の上に「I HATE」下に「MY SELF」と黒いプラスティック素材で文字を作ったものをかざし、サビで上のフレーズを歌ったらオーディエンスも、下のフレーズを歌ったら、今度は下をコール&レスポンス…という風に言って、曲がスタート。サビは大合唱で盛り上がる!フレーズを文字にして示すというのは、スクリーンがある所では見たことがあるが、こういった形で示してコール&レスポンスするというのはウマい。最後まで徹底していた。そしてこの曲もリズム隊はタイトな8ビートで心地よかった。

Backmen。
先述した元GROUND ZERO、Mitchaこと宮崎さんが叩く、THE BEATLESをアレンジしまくったヴァージョンで演奏するカヴァー・バンド。
だが、さすがにアレンジされているということで、1曲目は予備知識なく聴いていたら、全く"Tomorrow Never Knows"だとは思わないで、オリジナル曲だと思ってしまった。しかし、やはりドラムの音はデカい!!続いて演奏された"I Saw Her Standing There"のサビのところのメロディはオリジナルに忠実なラインを歌っていたので、「あれ?これ、BEATLESのカヴァーかな?」と思ったが、それにしても強烈な強いピッキングの速弾きが入っていたりして、ビックリ。(笑)
「BEATLESの曲を真面目にやっているバンドです。」とヴォーカル氏がバンド紹介したので、「あ~ということは1曲目もBEATLESだったのか!」とやっと理解出来た。でも、原曲の原形とどめないぐらいかなりアレンジしたカヴァーの方が面白いものが出来る場合が多々ある。あのLED ZEPPELINもそんなアプローチで自分達のサウンドを作ったし(原曲丸わかりの曲もあるけどね)。
3曲目は"Hey Bulldog"。原曲よりスローなアレンジ。「あと2曲です。」と言って、メンバー紹介をして、上野周辺の「思い出」を語りつつ…4曲目へ。"A Day In The Life"。スローなハットの刻みとクリーンのギターで始まり、だんだんとヘヴィになっていく。ソロはサイケデリックなフィーリングが感じられた。そして、原曲と同じに途中から三連になる。MCを少しして短いドラム・ソロから(もう少しドラム・ソロ見たかった~。)ラスト曲はおなじみ"Helter Skelter"。どっちかというとBEATLESの原曲のカオティックな雰囲気よりも、リズムも含めてMOTLEY CRUEのヴァージョンに近い感じがした。中間ドラム・ソロ、ギター・ソロと続き、エンディングのギター・ソロも熱いものがあった!

Backmen@上野音横丁 2024.5.5
SET LIST:
1. Tomorrow Never Knows
2. I Saw Her Standing There
3. Hey Bulldog
4. A Day In The Life
5. Helter Skelter

(全てTHE BEATLESのカヴァー)

Red Zone。
浜松のTERRA ROSAのカヴァー・バンド。音はかなり大きい。
幕が開くと、キーボードの壮大なイントロが始まり、ヴォーカルの女性は、Hamamatsu Rock Summitのロゴのタオルを後ろ向きになり、オーディエンスに見せている!そして、なんと1曲目は"A Hell Ray"!これは、8年前の故・Youさんが弾いたあの新宿での本家のライヴの時も1曲目だったような気がする。バックのサウンドは大きいがヴォーカルは本家ほどではないにしろ、かなりの声量がある。TERRA ROSAのカヴァーをやるのであれば、やはりヴォーカルに求められるパワーはある程度ないと厳しいと思うけれど、この方は素晴らしい。
さらに三連のオカズが入るイントロから珍しい「HONESTY」からの"Former Sisters"。ギター・ソロからベース・ソロという構成、さらにエンディングにオルガン・サウンドのキーボード・ソロが入ってくる。
MCで自己紹介などをして、次は"Go Alone"。ミュートした単音リフが印象的なバラードな雰囲気のイントロから、特徴的であるアクセント的な二拍三連に乗るヴォーカル・ラインなどの独特のフレーズを経て、ソロへ。後半の泣きのライン、それに絡むスキャットなど、色々な要素が絡む。アタマ打ちのツーバスがエンディングを飾った。浜松のバンドの紹介をするMCをした後、ギターの方のMCで本日限り?のカクテルの紹介などがあり、何故かここで、カメラマンがステージに入って、ステージからオーディエンスを撮影。
ラスト4曲目は名曲、"Friday's Free Fair"。リフを弾き始めたが、一度ストップ。次はモニターに乗ったか、ともかくも前に出て弾き始めた。そういう予定だったようだ。ギターのリフの各所にアクセントが入る。独特のリズムのサビ(あれはシンコペーションのように聞こえるが、2小節目の2拍目にアクセントがあって、2~3拍が繋がっている形だと思うので、前に「食っている」わけではないから、特にスネアの強拍の位置が変わってはいないし、シンコペではないと思う。)が印象的で、オーディエンスとの一体感が得られる部分がある。ドラムのフィルが激しく入るキーボードのソロからギター・ソロ(今度はセンターに出た。)へと続き、エンディングとなった。

Red Zone@上野音横丁 2024.5.5
SET LIST:
1. A Hell Ray
2. Former Sisters
3. Go Alone
4. Friday's Free Fair

(全てTERRA ROSAのカヴァー)

昨年7月以来のPARADOXX。
SEで2月に出たフル・アルバム「逆説のSINGULARITY」のイントロ、"BEGINNING(Introduction)"が流れるが、メンバーが登場し、途中からドラムの生のリズムが入り、バンド演奏も入ってきた。この演出はある意味盛り上がる。(本当に初期の頃、METALLICAは"Fight Fire With Fire"のアコースティックのイントロは生演奏でやっていたらしいのだが(今はSEで流す)、そういった形に近いといえるかもしれない。)そして、オープナーは"逆説のSINGULARITY"!ただ、少々下手のリーダー、KAOЯI嬢(この表記のЯは全角文字しか出せませんでした。すみません。)のギターの音量が小さく、良く聞こえない。特にツインになると左からの旋律が小さくなってしまっていた。
曲が終わって煽りを入れるヴォーカルのAMANE嬢。「上野、盛り上がってますな!これが本当のロックンロールだよな!では、次の曲聴いてください。"Keep my temper"!」アルバムの中では個人的に最もお気に入りのナンバーである。特に中間のクリーン・トーンでのアルペジオに乗るソロの部分が良い雰囲気だ。続いて、三連リズムの"-Tripper-"。三連のリズムの曲は最近の若手のバンドでは、非常に少ない。ジャジーなアレンジをした曲などにはあったりもするが、所謂シャッフルのロックな曲というのがないのである。三連でのツーバス曲というのはもう、皆無に等しいのだが、PARADOXXにはしっかりとある!
ここでドラムのSHONO嬢がMCを取り、浜松の3バンドに感謝の意と物販の紹介、さらにカクテルについても触れた。AMANE嬢が今後のツアーの予定に関して触れて、最後にオーディエンスを煽って、次の曲のタイトルコール。"BACK BONE"!いきなりライト・ハンドから始まるこの曲は再び三連の攻撃的ナンバー。ドラム・ソロからベース・ソロ、ギター・ソロというパートもよく練られているが、特にドラム・ソロではオーディエンスの呼応を見ながらのプレイという点は、ライヴならではである。「ラスト、行けるか~!」と言って、最後の"Day's eye"。リフが印象深い。
アンコールは(おそらく)時間の関係でなかった。故に本編5曲で終了となったが、音源では伝わってこないリアル・タイムな濃い時間が存在していた。今後のツアーも頑張っていただきたい。

PARADOXX@上野音横丁 2024.5.5
SET LIST:
1. BEGINNING(Introduction)(SE~途中から生演奏も入る)
2. 逆説のSINGULARITY
3. Keep my temper
4. -Tripper-
5. BACK BONE
6. Day's eye

https://paradoxx.tokyo/