8月に決まったCANDLEMASS来日。モノスゲー行きてー!となったのだが、その時は行けるかどうか不明であったのだが、秋口には行けるという状況が見えてきたので、チケットを取ってしまった。
で、CANDLEMASS愛は俺以上というか、彼のBest favorite bandがCANDLEMASSと公言しているぐらいのCHAOS CONTROLでも歌った元VIGILANTEシンガーの光永君(俺とのバンドマン的なつながりは昨年のCHAOS CONTROLのライヴレポを参照。↓)と一緒に見に行くという事は、前回の来日時も丁度CANDLEMASSコピーバンドをやっていた時期(2019年)で、バンドの他のメンバーとも一緒に見に行ったぐらいで、これはお約束である。かく言う俺も、大学時代は、国内盤ライヴCDは曲が削られてるから輸入LPを買ったりとか、かなりハマってはいたので、特に80年代のメサイア・マーコリンがいた4枚目までは相当にFavoriteなのである。
 


ライヴは、前日の大阪/梅田QUATTROが結構動員が少なかったとTwitter(X)でつぶやかれていたので、心配であったが、最初は空間の空いていたフロアも始まる前にはギュウギュウになってきたので、「あら、フタを開けてみたら、みなさんいらっしゃったのね。」という結果に。これは頼もしい。
そして、定刻より5分経ったところで暗転し、ショパンのピアノソナタ第2番の第三楽章「葬送行進曲」のカヴァー("Marche Funebre"としてセカンドの6曲目…アナログではB面1曲目に収録。)が荘厳な雰囲気でSEとして流れた。メンバーが登場し楽器を持つと、シャウト1発でイントロのワルツのリズムでツーバス連打するパートはカットで、いきなりメイン・リフからスタート。"Mirror Mirror"!!PVにもなったサードのオープナーで、彼らの代表曲だ。ソロのラストのフレーズ(バッキングに沿っている)をオーディエンスにも歌わせるヨハン。
曲が終わって、レイフとラーズの楽器のネックが「ハ」の字になっていたから、「あ、ラーズ・ヨハンソンはアイオミ先生やジミ・ヘンと同じでサウスポーだったっけか。」と思い出した。

次に演奏されたのは、"Bewitched"。極端にスローで正にドゥーム・メタルを体現する曲だが、実際自分もドラムをコピーする段ではかなり難易度が高いツーバスを求められた。おそらくBPM100より遅い16分のツーバス…。(ワンバスではちょっと速くて音圧が厳しいし、ツーバスで安定させるのはまた厳しいという。)ちなみにこの曲のPVもあるのだが、一説によると後のMAYHEMのシンガーで自殺してしまったデッドことペル・イングヴェ・オリーン (Per Yngve "Pelle" Ohlin…イングヴェイ・マルムスティーンとはスペルが違うように思うかもしれないが、彼も出生名はLars Johan Yngve Lannerbäckなのでスウェーデン語では同じ。Yngveという名前に関しては北欧の神話に由来するが、内容を書くとあまりにも長いので、ここでは割愛する。)がほんの少し出演しているとのこと。
サウンドは、ベースが凄く低音が出ているが、楽器の音の分離は非常に綺麗で心地よい。もちろん、ヨハンのヴォーカルもクリアに聴こえる。そしてソロの後の空白から、"Under The Oak"へと繋ぐ。この曲は、ファーストのラス前に収録されているものと、その後に4thの「TALES OF CREATION」の4曲目に収録されているものがあり、リード・ギターのラーズが入ってからのヴァージョンは後者であるので、最初のディミニッシュで上昇するラインのソロは後者のパターンだが、今回のライヴは雰囲気はファーストのもので、ソロは4thのものとなった。(というのは前回の来日でも同じであるし、現在のライヴではこの合成パターンでずっとやっているのだと思う。)ただし、テンポは遅いファーストのもの以上にスローで、またヨハンが歌うオリジナルのヴォーカルラインはかなり低い音を使っているので、凄くダークでヘヴィな質感が強くなっていた。ラーズは、今回は(?いつも?)ソロで即興を入れることはなく、スタジオ盤のフレーズを弾いていたのだが、凄く丁寧なプレイであった。故にエンディング・ソロはまさに泣けた…!

「CANDLEMASS」コールが凄い!ここでレイフがMCを取る。「Japan, I love you!」と言った後、多分、「『TALES OF CREATION』からの曲をやったよ。35周年だ。」と言ったのであるが、部分部分しか分からなかったので、次も4thからやるのかな?と思ったら、なんと"Bearer Of Pain"をコールした。しかし、これもライヴでは初めて聴くサードからのナンバーで、非常に驚いた。昨年は、海外のフェスでは"The Bells Of Acheron"をやっていたし、「LOUD PARK 16」での初来日では"A Cry From The Crypt"を演奏したので、毎回ではなくちょこちょことセットに混ぜているのだろうか。ニクい。
"Bearer Of Pain"も大学時代の思い出の曲である。思い出すのは、深夜の郵便局のアルバイトをしていたので、真冬にバイトに向かう時ずっと聴いていたし、その時の光景が思い出される。北欧はもっと寒いのだろうけれど、極寒の中よく歩いた19の日々が甦る。(…いや、なんでもないです。)スローダウンした後、ソロに入るが、中間のタッピングもスタジオ盤に忠実なラーズのプレイ!これが燃える!!
さらに、次の曲のリフを弾きだす。前回聴いた時は"Bewitched"とメドレーになっていた"Dark Are The Veils Of Death"。セカンドでは目立たない曲ではあるが、CANDLEMASS的には重要なポジションにあるのかもしれない。

曲が終わった後の「CANDLEMASS」コールは、さっきよりも大きくなっている。少しの空白があり、ドラムの短いフィルが入った所で既に次の曲が分かった。海外のフェスのセットでは既に何回か披露されていたようで、今回もあったらいいなぁ、と思っていた(特に光永氏にとってはこの曲が演奏されるのは夢であったに違いない!)"Samarithan"。ヘヴィでありながら、ある意味バラード的ともいえる感動的なメロディが素晴らしいセカンドの名曲である。CANDLEMASSの曲の作り方は、おそらくリフ展開から派生したプログレッシヴ・ロック的な場面転換などがツボであると思われるが、この曲はソロの部分でのリズム・チェンジはあるものの、もう少しソングオリエンテッドな作りで歌のメロディとハーモニーがドラマを作り出している。LED ZEPPELINの"Stairway To Heaven"のようなアプローチで、バンド的には異色であるとも言えるだろう。
またソロもかなりスローなブロークン・コードを繰り返す部分など少々テクニカルでありながらも、全体の味付けを上手く行っている感じがする。最後の部分でスタジオ・ヴァージョンではそこはかとなくウィンド・チャイムを鳴らしているが、ドラマーのヤン・リンドーの姿を追っていたが、ちょっとわからなかったし、あの音域を鳴らされても、今の俺には聞こえない(高音は騒音性難聴で無理。)可能性がある…。

新作からタイトル・トラックをコール。フィードバック音の中、ハットの刻みが入る。アルバムと同じ形だ。今回のアルバムはギターの音が生々しく、これも今の技術なら、アンプの音を拾わないでもこういう風に出来るのかもしれないが、ラーズのインタビューを見たところ、やはりオーソドックスな形でアンプの音を拾っているそうだ。この歳になると?歪み方一つにしても、よりアコースティックな部分にこだわってしまう…。まぁ、特に私はドラマーであるので…。
「始まりのところをシンガロングしてほしい。」とヨハンが言う。メイン・リフが鳴らされる。"Crystal Ball"!!このメイン・リフが出てくるパートをオーディエンスは大合唱する。ギター・ソロ部で一旦ストップし、ベースがリフを弾いて、そこからツーバス込みの疾走パートに入る。再びソロがあり、ドラムのオカズでヴォーカル・パートへと戻る。
ドラムのリズムのみになり、センターに2人のギタリストが寄って、コードを弾く。同じくファーストから"Demons Gate"。2コーラスが終わったところで、リズム隊だけの演奏になり、ツーバス連打が鳴らされ、ギターのコードが入ってくる。さらにハモリ、そしてソロ。さらにフィルを強調したドラム・ソロ的なパートを経て、3コーラス目へ。
オーディエンスからの「CANDLEMASS」コールが物凄い中、一度袖へと消えるメンバーだが、少しして出てきた。

アンコールは、ヘヴィ・メタル王道のフィルからパワーコードという幕開けで始まり、その中でヨハンが"I bind unto myself..."とアカペラで歌い始める。"The Well Of Souls"!この曲の完成度にはもういう事がない。しかし、今回も、ソロ後の展開部からヴォーカル・パートに入る所までは演奏したが、再びリフに戻る"A new days dawn..."の部分からはカットされて、"A Sorcerer's Pledge"へとメドレーつなぎになってしまった。う~む、残念。こちらも、イントロのアルペジオと泣きのヴォーカルはカットされて、ヘヴィになるパートからの演奏である。リフが鳴り、そこにアクセントが入って激しいリズムに支配される。(この辺りで少しだけ音が混濁した感はあったが、すぐに復帰した。)一瞬の空白からドラムのトライバル・ビートが続き、ソロへ。(ここもスタジオ・ヴァージョンではキーボードのメロディが鳴っている。)最後のクワイアの部分は、オーディエンスに大合唱させるヨハン!最後はツーバスで疾走し、フィニッシュ!!
すぐに、聞き覚えがありすぎるアルペジオに入る。"Solitude"。(これもドラムでコピーしたのだが、ツーバスによる三連符の細かいフレーズが随所にあり、シンプルに聞こえるようで、かなり難しい。)最初の歌の部分とソロ部のヘヴィな部分の音のメリハリがさすがである。

ラストにレイフが「Thank you, Tokyo!! We love you!!」と叫んで、メンバーは去っていったが、「CANDLEMASS」コールはかなりの間続いていた。
全体的に前回の来日よりずっとサウンドは太くなっており、これが彼らの本当の姿なのだな、と思わされた!

CANDLEMASS@渋谷CLUB QUATTRO 2024.1.26
SET LIST:
1. SE:Marche Funebre(フレデリック・ショパンのカヴァー)~Mirror Mirror
2. Bewitched~Under The Oak
3. Bearer Of Pain
4. Dark Are The Veils Of Death
5. Samarithan
6. Sweet Evil Sun
7. Crystal Ball
8. Demons Gate
-Encore-
1. The Well Of Souls~A Sorcerer's Pledge
2. Solitude

 


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