土曜は手刀まで。
タダ先生企画のこのイベント、ついに4回目にして初の参戦である。ともかく、今回も物凄い布陣である!
オープンちょっと前に着き、中に入ると、ステージの前の例の幕にKREATORのライヴ映像作品、「Extreme Aggression Tour 1989-1990 Live In East-Berlin」が映し出されている。う~ん、この頃の声でライヴを体験したかったという気はする。(ラインナップは同じで来日して見たけれど、「RENEWAL」のツアーは声のトーンを落としていたからね。今よりもヒステリックだし。)

幕が上がって、トップはPORNOSTATE。
ダイムバック風の赤ヒゲにV、SKID ROWのTシャツという出で立ちのギター/ヴォーカル氏。基本的な音楽性はスラッシュ・メタルで、ラストで少しツインのハモリも入ったパワー・メタル然とした曲もやったが、ストレートな曲が多かった。
サウンド的には音の分離が凄く良く、スネアの抜けも良好。あとは大した事じゃなけど、ベーシストの人、ちょっとベースの構える位置が高すぎるかも?と思ってしまった。(汗)

公式HP

EVOKE。
元ORANGEのDxFxK(Fukuda)さんが女性ヴォーカルのHikari嬢とツインヴォーカルで歌うラウド系のメタル・バンド。
最初はリズム固かったが、中盤からかなりノってきた感じ。Hikari嬢はロングの金髪にボディコンという色っぽい出で立ちではあるが、かなり緊張している感じが最初は感じられた。DxFxKさんMCで「固くなりすぎ!」…と背中を叩きつつ、「ライヴ中のセクハラではありません。」と言いながら、手のにおいを嗅いだりとかなりギャグなステージング。(笑)しかし、逆に緊張はほぐれたような感はあった。
DxFxKさんのORANGE時代のヴォーカルは聴いた事がないけれど、図太いシャウトでさすがの説得力であった!

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俺的な今日の目玉である、SIGNIFICANT POINT。
パッチGジャンだらけのヴォーカルを見ると(背中の巨大パッチはRAZORだし。)、出で立ちはNWOTHMという感じであるが、サウンドはかなり低音が効いていて、且つ速い曲が多い。よりパワー・メタルなサウンドという感じがする。
しかし、演奏はラフ…というかかなり荒い。初期のMETALLICAのライヴみたいな感じ…と言ったらいいか…。しかしそのエネルギーは十分過ぎるほどで、文字通り若いエネルギーが炸裂している!!演奏そのものより勢いで押してくる!
しかし、ENFORCERの初来日がそうだったように、その原初的なパワーこそがまさにへヴィ・メタルであり、キッチリとした整合感よりもこの荒々しく猛々しい感じを優先させている感じが非常にオールド・スクール・メタルおじさんの心には響いてくる。
また、楽曲もかなりキャッチーで展開がツボ。Killerのベースを使うフィンガー・ピッキングのベーシスト氏はかなり実はテクニカルな事もしているが、ここぞ!というパートが見事に決まる。5曲目に披露されたスピード・ナンバーの"Attacker!"はその中でもギラリと光る物があった。
下手ギターは今日はサポートということだったが、まさに期待以上のものを見せてくれた。VELL'z FIREや大阪のthe IN THE MIRRORSなどと共にオールド・スクールなへヴィ・メタルを奏でる若手としてこれからも頑張ってほしい所だ。

SIGNIFICANT POINT@池袋手刀 7/26
SET LIST:
1. Vicious Banging(Instrumental)
2. 666
3. Blackthunder
4. Crime And Punishment
5. Attacker!
6. Heavy Metal Master
7. Danger Zone






Significant Point Official Site

そして、ARGUMENT SOUL。
トップの"The Scum Of Society"から4曲目の新曲まで曲のコールをする以外は、全くMCもなく曲をガンガン演奏していく。俺の好きな感じだ。3、4曲目は初披露らしい新曲。やはりリフが鉄壁に凄い。4曲目は"Destiny"に近い雰囲気のリフでベースとのユニゾン・プレイなど鳥肌が立つぐらいにゾクゾクする感じである。
また、下手側ギター氏のシュレッドなギター・ソロは凄まじく、そのガッチリと噛み合ったリズムの上で強烈にテクニカルなリードがこれでもかと駆け巡る様は見ていて神々しささえ感じるものがあった…。しかし、音の鉄壁さ加減は、日本の正統メタルでここまでのバンドは数少ないだろうと思えるほどに今のARGUMENT SOULは気合いが入りまくっている。
神谷氏は、「来年はニュー・アルバムを出したいと思ってます。…いや、これ6年も言ってるな…。」と4曲目が終わった後のMCで言ってしまっていたが、ライヴでここまでの音であるだけに妥協出来ない域に入っている感じも分かる。
セカンドから"Memory"、そしてまた新曲と演奏し、"To Shine Your Life"、ラストはもちろん、代表曲ともいうべき、"Conflict Of Crisis"でシメ!やはりこの曲の爆発力は凄い!

あらためて思うのが、初めて10年前、LIVE STATIONで彼らのライヴを見た時は、あまりにも強力なヴォーカルにたじろぎつつも、あの当時、正直に言うとこういった正統派スタイルのパワー・メタルは、アンダーグラウンドのスラッシュやデス以上に不利な立場だと感じていた…。当時はまだギター・ソロを弾かない事がトレンドみたいな風潮が抜けていなかったし、あらゆるバンドがまだモダン/ラウド勢からの影響を多大に受けていた。「メロディックな」スタイルのへヴィ・メタルが今の若手のように普通に誇示出来るような背景ではなかったと思う。だが、あれから10年、時代は確実に変わった。今はメロディックなスタイルのバンドでもコアなバンドでも世代を越えて受け入れられるような感じになってきていると思う。そんな状況の中、だが、彼らほどの音をしっかりと出せる存在はそうはいない。ある意味、いばらの道を歩んだバンドが持ち得る説得力と言える。存在自体、特にハデなアプローチをしないバンドでもある…だからこそ、日本のメタルの良心とも言えるのである。
次のアルバムでシーンにまた一泡吹かせる事を願っています!

ARGUMENT SOUL@池袋手刀 7/26
SET LIST:
1. The Scum Of Society
2. Belief Never Betrays You
3. (New Song)
4. (New Song)
5. Memory
6. (New Song)
7. To Shine Your Life
8. Conflict Of Crisis



公式HP

トリは、DEADLY SPAWN。
速さに重きを置かないデスラッシュ・スタイルのバンドで、曲間はSEを流し、MCは全く無しのステージング。
1年前、SABBATやZOMBIE RITUALと共にANTIKNOCKで見て以来であるが、本当にオールド・スクールなデス・メタルである。曲も短いので8~9曲ぐらいは演奏したと思うが、スピーディなパートが少なく、曲のコール以外、黙々と演奏し続けるというスタイルなので、ハデさは全くない。
ラストは比較的長く展開の多い曲でシメた。アンコールはあるか?と思ったが、客電がついて終了。

DEADLY SPAWN official web site

個人的にはSIGNIFICANT POINTと久々に見るARGUMENT SOULといった正統派(奇しくもこのところGUILTYS LAWやVELL'z FIREなど正統派ど真ん中のバンドのイベントへの参戦が続いたが。)が目玉ではあったが、他の3バンドもしっかりと見て、イベント全体の雰囲気を見たつもりである。
結果、様々なタイプのバンドで彩った今回のイベントはやはりタダ先生独特の色彩があったと思う。
次の9月の「VOL.5」も出演陣は素晴らしいので、出来る限り参加したいと考えています。