日曜は、錦糸町REBIRTHの「総武線バイオレンス」でGOD VALLEYの解散ライヴを見て…からの、バイオレンスな?総武線で新宿へと。歌舞伎町方面へ抜けてMARZ。
ちょうどオープンの時間だった。

ステージの幕にはJURASSIC JADEのロゴが流れ、アー写も上下に流れる。そしてHEAD PHONES PRESIDENTのアー写とロゴマーク…このループで1時間ほど待っていると、DJの狂犬さんが「JURASSIC JADEの前なので、スラッシュ・メタルを多く流しています。」と言われて、「あれ?トリがJURASSICじゃないの?」と思ったのだが、これは後述。JUDAS PRIESTの"The Hellion~Electric Eye"とか、SLAYERの"Hell Awaits"なども流れたけれど、カヴァーのブルータルなのはどうも…。やっぱりオリジナルがいいなぁ~と思っていて、どこのバンドのカヴァーか分らなかった"Hell Awaits"が終わりいつものカランコロンのSEへ。
1曲目はここ最近定番の"G.D.G"。もちろん、この曲がオープニングに復活してきている事のメッセージは俺は分かっているのだが、それは歌詞を読んでいただくと完全に理解できるだろう。続いて"Brother Of Mine"。中間のタイミングの取りにくい独特の変拍子が印象的である。
全体的な(特にリズム隊)音量は大きいのだが、バランスや音の輪郭は物凄く良い音響で、ここまでクリアなサウンドでのJURASSIC JADEを見たのは久々かもしれない。

「今日はAnzaとの対決だから!」とかなりHizumiさんは最初のMCから言っていたけれどそういったような「対決」発言はかなりあって、それはある意味後輩に檄を飛ばしているかのようだった。
"ドク・ユメ・スペルマ"から"Left Eye On The TV"とちょっとイレギュラーな流れがあり、来年には新譜を出せればという事も語られた。そして前回の鹿鳴館でも語られたように2011年以前からあった曲だけれど、偶然にせよ「そら見たことか…。」と…つまりこれは1曲目と同じテーマであるのだが、"3Times Per 49Days"の浮遊感のあるクリーントーンの3音が響く。
続いて"Vertigo~眩暈~"なのだが、曲を演奏し終わると、ドラムのトラブルが…。「やってしまいました。ハカイダーHayama君…。」とHizumiさん……なんとリハではシンバルを割ったという話だけれども(これは力の強い人だと良くある。)、なんとシンバル・スタンドをプレイ中に壊してしまったという…。普通スティックの方が折れるはずなので、プレイ中に何かと当たって壊れたのだろうと思うけれど、スタンドを壊した人は初めて見た…。

「時間を持たせるのどうしようかと思っていたんだけど、時間くれてありがとね。」とHayaさんに振るHizumiさんだが、どうやら、相当テンポが速かったらしい…。そして、「数年前にワンマンで物凄い数の曲をやったんですけど、私が大好きな3曲が入れてもらえなくてさ~。」とNobさんに振るのだが、「でも今回は私の大好きな曲をやります。"Midnight Child"。」と、これは確かに珍しい選曲である。(個人的にはGeorgeさんに激速のHayaさんドラムの真骨頂が聴ける"Mere Anarchy"をリクエストしていたのだが…またいつかはやってほしい。(スタンド壊さない程度に。w))16ノリの少々ロックンロール的なニュアンスを持つキャッチーな曲…と書くと語弊はあるのかもしれないが、初期~「GORE」辺りまでの曲調とはだいぶ違うこの「AFTER KILLING MAM」からの曲だが、ある意味ではこの頃の作風を通過した事で、更なる進化を見せて来たのがこのバンドなのである。かなりその意味で重要な曲でもある。続いてJURASSIC JADE史上でも最速の領域に入る"僕等の狂気"…このハードコア・ナンバーは先の"Midnight Child"とは真逆のスタイルとも言えるが、歌詞に関してはやはりHizumiさんの持つ世界は明らかに共通性を持っているかと思う。
そして、9月の詩…この曲もそれこそCASBAH復活の9/15から復活して演奏されているが、未だに重いテーマの曲である。

ここでついに新曲(思えば3年ぶりぐらいになるのだろうか?)が披露される。「タイトルはね、『恋するAtomic Boy』とでもつけようかと思ってるんだけどね。」と最近、「芸風を変えました。」と言っているHizumiさん特有の毒の入ったコミカルさのタイトルである。しかし、この新曲が物凄い速度(220越えているか?)の曲でBメロ付近?で少々テンポをダウンさせるものの、Aメロの刻みは激烈に速い!その後、こちらも「AFTER KILLING MAM」からの"Chaos Queen"。"Monster Sacre, Faradized"を演奏して、初期ナンバー2曲のメドレー、続けざま"Let's Go Heroes"と演奏され、いつもならトップ4曲で演奏される"触れてはいけない"…なのだが、ここでトップでミスがあり、演奏中断し、再度演奏し完奏。そこから"紅(あか)の女王"へと進み、"Hemiplegia"。

ラストは"鏡よ鏡"で、ついにモッシュ・サークルが出来る。対バンがHEAD PHONES PRESIDENTということもあり、少々客層が違っているのもあったが、今日はこのラスト・ナンバーでしかモッシュは起こらなかった。

JURASSIC JADEにはまだまだ名曲は多々あって、リクエストしてしまえば90分などでは足りないのであるが、ともかく今回のボリュームは凄かった。それに加え、テンポがいつも以上に速かったことがあり、昔のSLAYERがあっという間に終わったライヴがあったらしいが、今回も15分押しで始まりながら、Hayaさんのトラブルを込みでも、18曲を75分で演奏してしまったというのがなんとも…。

来年新譜がリリースされるのを楽しみにしてしまうが、図らずもCASBAHも新譜が来年出るという事で、何か特別なものを感じてしまうのはあの世代としては自然な事なのである。

JURASSIC JADE@新宿MARZ 12/29
SET LIST:
1. SE~G.D.G
2. Brother Of Mine
3. ドク・ユメ・スペルマ
4. Left Eye On The TV
5. 3Times Per 49Days
6. Vertigo~眩暈~
7. Midnight Child
8. 僕等の狂気
9. 9月の詩
10.(New Song)
11.Chaos Queen
12.Monster Sacre, Faradized
13.The Individual D-Day~精神病質(Seishin-Byo-Shitsu)
14.Let's Go Heroes
15.触れてはいけない
16.紅(あか)の女王
17.Hemiplegia
18.鏡よ鏡

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JURASSIC JADE's 心波通信


そして、「完全に打倒する。」と告げられたAnza嬢を擁するHEAD PHONES PRESIDENT。彼らはこの年末、中国をツアーしてきたばかりである。(この情勢の中であるが、奇しくもSIGHも同時期に回っていた。)
こちらはいつものように、ヴォーカルにはディレイ(だと思う)をかけていて、MCでもそのままかけている。

1曲目は09年のサード・ミニ「PRODIGIUM」から"Reality"。続いて"Desecrate"。そのままHiroさんのテクニカルなギター・ソロへと駆け抜け、「みんな、まだパワー残ってるの?残ってるよねぇ!もっと暴れて下さい!」とAnza嬢が煽る。そして、"Labyrinth"、静かに終わって時計の回る様を表現して頭の横で拳を回し、「カチカチ…」とウィスパーするAnza嬢。クリーン・トーンのアルペジオから重くムーディになる"Hang Veil"。変拍子が独特な"Rainy Stars"。ほぼほとんどAnza嬢はしゃべらない。その演劇の舞台も並行してやっているという側面もあるのか、動きやパフォーマンスはやはり映えるものがあり、演奏してMCというスタイルとは少々違う。
フィードバックから「OZZ FEST」の時もトップに演奏した"Stand In The World"。この曲を聴くと、過去のかなりサイケデリックでドロドロとした音世界と比較すると、洗練された雰囲気を感じるが、それでも基本的なラインは変わらない。特にこういった長いステージではAnza嬢のウィスパーによる静寂の中の独特の空間が現れるので、よりHEAD PHONES PRESIDENTのコアな部分が表現されてくる。
"My Name Is"ではラストのタッピングが印象的である。頭打ちのリズムの"Just A Human"、重くうねる"Dive"、不気味なアルペジオと語りから始まる"Eyes"…と続き、完全にアカペラだけで歌われる"Lost Peace"、さらに"Rise And Shine"…。
「今年は残念ながら新しいアルバムを発表することが出来ませんでしたが、来年はアルバムを出したいと思います!」と語って、"Chain"、"Light To Die"、そしてベースのリフの上で呻くような声とオーディエンスに握手を求めるようなパフォーマンスをするAnza嬢…ラストは"Where Are You"でシメた。

アンコールでは先にドラマーのBatchさんの短いドラム・ソロがあり、登場したAnza嬢は、この自らが望んだJURASSIC JADEとのツーマンに対する想い…「JURASSIC JADE愛」を語った。まずは、このツーマンのトリを後輩である彼らが務めるというのはおこがましかったのだが、JURASSIC JADE側に「トリを飾りなさい。」と言われたとのことであった。
「私は昔アイドルをやっていて…。」という出だしから、Hiroさんが少々ウケていたが、「はいはい、セーラームーンやってました。おしおきよ!ってやってましたが…。」と結構自爆しつつ、「その頃から心の中から爆発するように叫んでみたい、というような想いがあって、そんな時、『こんなバンドがいるよ』と紹介されたのがJURASSIC JADEでした。それで忘れもしない2001年の10月の目黒のLIVE STATIONで初めてそのライヴを見て、こんなにも身体を使って声を出すような人がいたんだ…と…それからはHizumiさんを追いかけ、そして追い越そうとしている日々です。」と胸のうちを語った。
俺のようなスラッシュ原体験世代からすると、「スラッシュ・メタルを女性が歌う」という意味性では4年前に対バンしたドイツのHOLY MOSESのサビーナ・クラッセン姐さんのように、男社会の闘争であった当時のへヴィ・メタル界でも男であっても太刀打ちできない迫力と怖さを持つヴォーカリスト、というイメージが未だにあるにはある。だが、Anza嬢の見た01年ぐらいのHizumiさんはAnza嬢の語るように、「女性でしか表現できないものをヘヴィな音楽の中でやっている。」という部分がより見えてきた時期でもあった。それこそ、彼女の言葉をかりるなら、その当時でも今のように女性ヴォーカルや女性だけのへヴィ・メタル・バンドというものが百花繚乱な状態ではなく、女性のエクストリーム・メタルはTHE YELLOW MACHINEGUNなどぐらいしかいなかった時期である。(Anza嬢はTHE YELLOW MACHINEGUNの名前は出してません。)それを考えるに、今回のツーマンは2つの世代のエクストリーム歌姫の競演なのである。
「これからもHizumiさんを乗り越えるようにがんばっていきます。だからこそ、まだまだ頑張って欲しい。みんなもそう思うよね?」とオーディエンスに問いかけ、「Hizumiさんまだまだやめさせませんよー。」と叫んだAnza嬢に皆も同調する。とても美しい光景であった。
アンコールのラストは"In Scrying"で終了。どちらのファンにも強烈な印象を残したであろうライヴであったと思う。

個人的に言えば、現状のガールズ・メタルのシーンではG∀LMETの企画を昨年10月に吉祥寺のCLUB SEATAで行った時、先輩として押していた時間をG∀LMETのために割いた事もあった事が印象深く、今のガールズ・メタルの若手にとっては目標とするバンドである。
が、JURASSIC JADEのように、俺が18歳の頃に物凄く憧れ、(初めて88年にNobさんにEXPLOSIONで会った時の緊張といったらなかったのだが)、そのHEAD PHONES PRESIDENTから見ればやはり巨大過ぎる存在の前ではそういった感想になるのも無理はない。
エクストリーム・メタルのシーンを25年以上見てきてしまったおっさんの感慨でもある…。

もちろん、両バンド共まだまだ次のステージへと頑張ってもらいたいと思っている。

HEAD PHONES PRESIDENT@新宿MARZ 12/29
SET LIST:
1. Reality
2. Desecrate
3. Guitar Solo
4. Labyrinth
5. Hang Veil
6. Rany Stars
7. Standing In The World
8. My Name Is
9. Just A Human
10.Dive
11.Eyes
12.Lost Peace
13.Rise And Shine
14.Chain
15.Light To Die
16.Where Are You
-Encore-
1. Drum Solo
2. In Scrying

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HEAD PHONES PRESIDENT Official Site