昨日は、噂の福岡のガールズ・メタル、BRIDEARのワンマンをCRESCENDOへ見に行った。
「鳴り物入り」というか、このテのシーンでは、福岡から強烈なバンドが現れて関東勢の脅威になっているみたいなことが巷では言われていて(というのは多分、ある意味では誇張されているか?とは思っていたが。)、ともかくもライヴが凄いという話だった事もあるし、実際、9月に買ったシングルはなかなかにバッキングはARGUMENT SOULを彷彿させるようなへヴィさ加減を持ったパワー・メタルの曲が入っており、数日前に出た7曲入りのミニもシングルと比較すると少々バッキングのエッジは控えめに丸い音像になってはいたものの、全体の構成、楽曲における表情の付け方、エネルギッシュな演奏はその前に出たTrailer動画では分からなかったクオリティを持っていたので、期待はかなり膨らんだ。

45分も押して始まったワンマンだが、実際疑問があったのは、シングルとアルバムで重複している楽曲が1曲、またアルバムのイントロ"New Era"はバンド演奏のものではなくライヴでもそうだったがSE扱いのものなので、音源となっている楽曲は計7曲しかないということで、カヴァーを数曲など足したとしてもそれほどの楽曲は演奏されないのでは?(ライヴでしかやったことのない新曲があるのか?と思ってはいたが。)ということだった。しかし、それは完全に愚問であった事が証明された。(それは後述。)
そのインストSE"New Era"から爆発的にアルバム通りのオープニングで"Pray"がスタート。アルバムより少々テンポが遅い感じもしたが、ともかくツーバスがタイト過ぎるほどにタイト。ある意味機械的な感じもあるにはあるが、これほどタイトなツーバス+ベースのリズム隊はとても気持ちが良い。ドラム単体もおそらく生音がかなりデカい!というパワフルな感じがあった。対して、ソロは別にしてバッキングのギターがあまり聞こえてきていない状況ではあったが、これも数曲で改善。続いてアルバム中、最もキャッチーでソロの構成もかなり練ったアレンジの"Imitation"。こちらもツーバス全開の曲だが、やはりしっかりと踏めている!
MCを挟んでなんとここで音源になっていない新曲が披露される。驚いたことに下手ギターのMisa嬢がグロウルのコーラスを入れるというスタイルが登場。多少、ここでリズムのヨレを感じることはあったが、次も全くの新曲。シングルの2曲目のノリのいい"Roulette"を演奏してMCでヴォーカルのKimi嬢が「実は今日、誕生日なのですが…。」と言って拍手を受ける。フロントマンとしては堂々としているし、何も問題はないが、個人的には素の部分が出るより、煽りをもっと食らわせて欲しいと思った側面もあった。ただ、ここで2曲新曲をやったということで、会場のボルテージがいきなりダウンするかというと、逆にグロウル込みの楽曲に驚いたオーディエンス(俺も含め)が多くいただろうと思われ、圧倒されているという感じであった。
そして、またへヴィなイントロの新曲。こちらもグロウル込みである。そして次もまた新曲で(実際はライヴで演奏されているのかもしれないが。)、へヴィでスローな曲…中間にクリーントーンのギターが入ったりである意味、バラード的な側面を持っていた曲だと言える。ただ、ファストな曲の説得力とタイトさ加減に比べると、少々まだスローな楽曲での表現は全体的な輪郭が見えずらい部分はあった。次はアルバムに収録されている、ゴリゴリのリフの"Voice Is To Silence"。
ワンマンをバンド結成から2年で、しかも地元ではなく東京で行うという異例の人気ぶり(動員はかなりのものである。)はバンドにとっても「信じられない。」という風であったようで、またこのワンマンのために新しく新曲を作ったとも語っていた。(そういった面で完成度の面で疑問が残る箇所はあったが。とはいえ、どれが全く新しい新曲かは判然としないが、そう感じた曲はあった。)そして次も!新曲なのだが、「次はこれまでのBRIDEARとはまた違う感じの曲なんです。みなさん、ジャンプしてもらえますか?」とスタートした曲は少々ダンサブルなミドル・テンポのリズムからスタートし、スピーディーに展開した。重いインストのツインからスラッシュ調なスピードへ展開し、またもやグロウル込みのアレンジのへヴィなスタイルの新曲とまた2つの新曲を披露した後、今回のライヴに特別に用意したガチャガチャ(ガチャポン)の当たりが特別なDVDというまた凄い企画(もちろん、ガチャガチャには全て景品あり。)、さらに今後のライヴ・スケジュールで3月には東京2Daysがあることも告げられた。それぞれいつもはしゃべらない楽器陣にMCを振るのだが、なかなか慣れていない様子で最終的にはKimi嬢がまとめ役となっていた。(笑)
さらに7曲目の新曲はミドルからファスト、そしてまたスローという展開で、歌詞はほぼ英語のものだった。英詞に関しては既発曲もそうだが、やはりこのバンドには日本語の方が合っているかとの感想はある。もしくは、単語のメロディへの乗せ方があまり自然ではない(などと書くと、ほとんどの邦楽はそうなのであるが。)ような気がする側面がある…。そして、シングル、アルバムでやはり微妙に音が変わっている印象のあった(下PVはシングル音源。)"Thread Of The Light"だが、やはり代表曲ということで、ヘッドバンギングの嵐が巻き起こる!
ここで、ある意味衝撃的なMCが。なんとワンマンなのに、ステージの後ろに用意するバックドロップを忘れてきてしまった…というBRIDEAR…では、そこにあるものは?なんと、CRESCENDOのスタッフが緊急で作ったものだったのである!毎回、ライヴのための外の電飾込みの看板で手書きで物凄く綺麗にロゴを書いているスタッフがいらっしゃるのだが、この方の手腕もあっただろう、素晴らしい出来!CRESCENDOスタッフは素晴らしいと言わざるを得ない!

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ラストは"Another Name"。こちらも古くからある(シングル前にデモCD-Rが存在し、今は入手困難。)曲だが、アルバムで再録された。やはり、オーディエンスのヘッドバンギングは壮絶である。
「BRIDEAR」コール(バンド名に関してだが、BRIDE(花嫁)とDEAR(親愛なる)を混ぜた造語である。DESTROSEやAldiousと同じように。これらは昨今のインターネットでの検索では同名のバンドが国際的に多く見られるために取っているという側面もあるようだ。XやX.Y.Z.→Aが海外進出で改名せざるを得なかった件などはまだそれほどインターネットが拡大していない時期に起こった事でもあるが、大手メジャーでなくとも海外進出が容易となった現代はそれだけに、1単語のバンド名の候補は限られている。もちろん、日本語なら別だと思うが。)で呼び出されたメンバーは感謝の意を表し、アルバム最後に収録されている7分強の"Wing Of Hope"を叩きつけた。途中でメジャーに転調してからのコーラスをオーディエンスと共にシンガロング出来るこの曲は感動的で、アンコールの最後にやる曲として最適だ。このアンコールへの構成とオーディエンスのリアクションの光景は、素晴らしく美しいものだった。


アルバム、シングル(さらにCD-R)で発表している7曲はシンプル且つ、メロディアス、そしてバッキングがへヴィな音像のある意味、メジャー・デビューした時のX…つまり「BLUE BLOOD」時代のまさに「メジャー感」のあるパワー・メタルという雰囲気がある。そして爆発力も、所謂嬢メタルと呼ばれるシーン(といった風にカテゴライズしたくはないのだが。)では今現在ではトップのものを持っているバンドであろうと思える。ただ、トータル的にいうと、「メロスピ」というのとも違うが、ファスト/スピーディーな曲の演奏のその屈強なタイトさ加減は素晴らしいのだが、今後、ミドル/スローな曲、そしてグロウルのコーラスを入れたよりアグレッションの強い曲がどういった形で昇華されるかがカギとなってくるだろう。既に変化は起こっていると感じたライヴだった。もちろんまだまだ若いバンドであり、これから色々な吸収をしていくだろう(上から目線で申し訳ない。年長者の意見です。)…BRIDEARの「New Era」はこのワンマンから始まったと感じている。

You're the representative of new Metal generation!!

BRIDEAR@吉祥寺CRESCENDO 12/26
SET LIST:
1. SE:New Era~Pray
2. Imitation
3. (New Song)Scream
4. (New Song)Realized The Importance
5. Roulette
6. (New Song)No Salvation
7. (New Song)Traces Of Tears
8. Voice Is To Silence
9. (New Song)箱庭
10.(New Song)Light In The Dark
11.(New Song)Set Me Free
12.Thread Of The Light
13.Another Name
-Encore-
1. Wing Of Hope

http://bridear.net/