(BLACK SABBATH以前の出演バンドについては、こちらの日記参照。)







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Piyokoのブログ







TOOLが終わり、場内のBGMがMOTORHEADの"Ace Of Spades"になり、いきなり暗転!



「Fuckin' louder!!!」(だったと思う。汗)と雄たけびがいきなりあって、一瞬、オーディエンスは「おおっ?」となるが、俺の周りはほぼ不動の状態。俺はすかさず、「ハゥ~~~~~~~!」とオジーのマネ!すると、どこでも「ハゥ~~~~!」とかやっていて、今度は後ろから雪崩の如く興奮したオーディエンスが押してくる。おいおい!見たいなら、最初から前行ってくれ!(苦笑)あぶねぇっつの。
とやっていると、サイレンの音が鳴り響く!予想通りの展開である!

この、カウントがなくていきなりちょっとフィードバック音が出てスタートという"War Pigs"のスタートには正に鳥肌が立つ!(目線でやってるのかな?)
既に俺はエアドラム状態だが、バックドロップにはミサイルや戦争の場面などが映し出され、Bメロの"Politicians hide themselves away"の所ではブッシュが映し出されていたり(記憶だが、確かそうだった。もうこの辺は記憶が曖昧になっている。ごめんなさい。)、非常に批判的で、このタイトルがアルバム「PARANOID」の元のタイトルであったのにベトナム戦争の問題から変更を余儀なくされたのは有名な話である。(余談だが、LOUDNESSの「SHADOWS OF WAR」も似たような理由でアメリカではタイトル変更。)
オジーのヴォーカルは安定しており、先日の日記でリンクした新曲の"Loner"の動画での不安定過ぎるヴォーカルとは全く違う。かなり心配していたのだが、とても安定していて、安心すると同時に音響的にバランスも良いので、素晴らしいライヴ・ヴァージョンだ。
「リフがサビ」と呼んでいる、「ウォーーウォーウォー、ウォーーウォーウォウォ」のリフの部分も自然とオーディエンスから声が聞こえてくる。

間髪入れずに、"Into The Void"。この曲を2曲目で持ってくるのだから、凄いセットリストだ。
87年当時、和田誠さんと伊藤政則さんが「PURE ROCK」で「"Into The Void"とかやってくれたらいいよね~。」「"Into The Void"!やってほしいよね!」なんて話していて、俺は「そんなこと今後はまずねぇだろうな~。夢だよ夢!」とか思っていたのだが、26年経ったら本当になっちゃったのである!俺は奇跡を見ている、というか、本当にこれ現実なの?とさえ思ってしまった。
もちろん、94年の「CROSS PURPOSES」ツアーではギーザーもいて、トニー・マーティンのヴォーカルでこの曲を聴いているし、その時でさえ夢だと思った。だが今回はオリジナルのオジーが歌っているのだ…。
楽曲は巨大な暗雲が立ち込めるようなリフで始まり、途中でテンポ・チェンジする。この時のバスドラの音をオリジナルで聴いた時は、おそらくツーバスを使っているだろう、と思っていたが、どうやら、前方ではモッシュ・サークルが出来上がっていたらしい。あまりにもなるほどな展開である。

"This one is called "Under The Sun"!"
確かにニュージーランドからのツアーでこの並びのセットリストではあったが、現実に聴かないと、本当に演奏しているという実感みたいなものは湧かない。
ドラムのカウントですべてをその重圧で押しつぶすかのようなある意味、SABBATH最終兵器重力リフが奏でられる。
そこからいきなりアップテンポな三連へと流れるこの「VOL4」のラスト・ナンバーだが、さすがに、「BLACK SABBATHが好き」と言っている人々でも、この曲となると、それほどなじみはないのか、俺の周りは少々サイレントで、22年前にオジーの武道館で"Fairies Wear Boots"が演奏された時に呆然としていたオーディエンスに近かった気もする。(とはいえ、今はもっと浸透しているはずだが。)
残念だったのは、スタジオ・テイクではドラの音が入った後に、続いて"Every Day Comes And Goes"と呼ばれるアウトロ部があるのだが、それが演奏されなかったことだ。あのアウトロのリフはドラマティックでその上にのるアイオミ先生のソロの泣きは素晴らしいのである。実はライヴ中は「なんか終わり方がおかしいな?」と思っていただけで、かなり興奮していて分かっていなかったのだが、後でそういうことだと判明した…しかし、この曲のメイン・リフが聴けただけでもありがたいと言わざるを得ない。

そして、同じく「VOL.4」から"Snowblind"。
さすがにこの曲になると、「おお~!」という歓声が上がる。(22年前は呆然。笑…しつこいけど。)有名になったなぁ…この曲も。この曲が某ドラッグについて歌われた曲であることは有名である。(他にも逸話が色々とこの曲やアルバムにはあるのだが、省きます。笑)ちなみに、この曲も、実は4枚目のタイトルになるはずだった曲である。リフは、なんとなく畑を耕すような感じのリフと俺は思っているのだが、そこがまたいいんだよなぁ。
そんな風に興奮して見ているとエンディング・ソロ…「ああ、癌に打ち勝って今ここにアイオミ先生はいるんだな。生きてて良かったな…。」と思った瞬間、なんともいえぬ感情の波がどっと押し寄せてきて、涙がどっと流れてきてしまった。曲が終わるまで顔があげられないぐらいに、座りこんでしまいそうなぐらいに泣いてしまった…。22年前のオジーの武道館でもこの曲では、泣いてしまった自分がいるのだが、全くの偶然か…またこの曲で涙するとは…。

そして、バンドのテーマ曲である"Black Sabbath"…。
この曲のイントロではアイオミ先生によるギターのアルペジオの小品が奏でられるのがいつものパターンなのであるが(初期のものとロニーが参加して以降のライヴ・テイクで聞かれるものなど知っているだけで2種類あるが、後者のものはトニー・マーティン時代にもやっていた。)、今回は鐘と雷鳴のSEでスタジオ・テイクと同じ演出からいきなりあの3音のリフで始まった。
今回のツアー・ドラマーであるトミー・クルフェトス(RAGE THE AGAINST MACHINEのブラッド・ウィルクがアルバムでは叩いたがツアーではオジーのバンドやロブ・ゾンビなどで叩いている彼がサポートである。)はかなりタメるタイプのドラマーでビルが叩いていたヴァージョンよりもテンポも遅いため、この曲ではオジーの歌が先走ってしまったりという場面もあった。(他の曲ではリフとズレたりしていた気もする。)だが、このドラマーはBLACK SABBATHの間を良く熟知しているな!と感じた。

次の曲のコールでオジーは"Beyond~"と言ったような気がした。しかもそれは、ライヴ盤「REUNION」でもそう聞こえるのだが、果たしてこれはバーミンガムなまりでそう聞こえるのだろうか?間違っているとしては意味が全然違うのであるが。
曲は"Behind The Wall Of Sleep"。ファーストの3曲目のハネる三連とミドルの8ビートが交錯する独特のリフの曲だ。ファーストの曲はこれにしても、2曲目の"The Wizard"にしても、まだ「へヴィ・メタル」という音像に完全になっていないような側面も感じられるのだが、そこも魅力である。ラストではリズムと一緒に「Hey!Hey!」と手拍子を促すオジー。ドラムの音がだんだん小さくなり、いきなりギーザーのベースサウンドが飛び出す所もアルバム同様。怪しい独特のラインのベース・ソロから"N.I.B."である。
個人的には、この曲と"War Pigs"がオジー・SABBATHのベストである。(BLACK SABBATHとして見るのなら、実はもう1曲ある。それは「THE ETERNAL IDOL」トップの"The Shining"である。ここの思い入れもちょっと割愛。)ある意味ではルート+5度の簡略コードを使って短いメロディのリフを何度も繰り返しているだけで、そこにヴォーカルまで同じラインで乗るという、ほとんど手抜きじゃないのか?と思えるアレンジだが、その全部ユニゾンでの進行とそのキャッチーなリフこそが魔法を生み出すのである。2回ほどあるギター・ソロは実は、サビなのではないのか?と思わせるほどにハイライトになっており、通常のギター・ソロ以上に楽曲における表情に大きく関わっているというなんとも不思議な構成…この意外性こそ、初期BLACK SABBATHの魅力でもあり、「レコード会社がキャッチーなサビを作れとうるさいから、『じゃあサビがない曲を作ってやる。』と思っていた。」という発言があるぐらい、誰もやりはしないことをやる、という70年代の発想がやはりここにも見え隠れするのである。
ある意味、オジーのヴォーカルでライヴ1曲目の"War Pigs"、そしてこの"N.I.B."(実は曲をライヴで聴くのも初である。)を聴けたことは本当に夢のような体験であり、10代のロック少年が考えていた夢が完全に果たされてしまった!

今や代表曲となってしまった「PARANOID」アルバムのラストを飾るリズム・チェンジの激しい"Fairies Wear Boots"。この曲がこれほどまでに人気が上がるとは思いもしなかったし、アルバムで初めて聴いた時などは、イントロのリバーブがなんとも神秘的で、一人部屋で聴くBGM…「俺だけの宝物」みたいな気分の曲だったっけ。(笑)
実は、最初の入りでアイオミ先生が一回、ストップをかけて、オジーが「ポッポー。」などと鳩が鳴くような風におどけて見せる。こんな微笑ましいBLACK SABBATHのライヴを見たのも初めてだったかもしれない。



直後、METALLICAの"Creeping Death"のリフのような8の刻みが轟く。"Symptom Of The Universe"だ!




正にこのマシンガン・リフこそがGUNのガーヴィッツ兄弟やSIR LORD BALTIMOREなどのメタルのパイオニア達が作ってきた雛形を一つの完成形に持って行ったものではないかとさえ思ってしまう。このリフを初めて聴いたのは、オジーの「SPEAK OF THE DEVIL」のブラッド・ギルスによるプレイだったが、「こんな曲が70年代のBLACK SABBATHにあるのか?完全にメタルじゃないか!」と思ったものであった。



しかし、このリフはヴォーカル・パートは迎えずに終わり、リズムだけがドラム・ソロへと導く。音響もクリアで各ドラムのパーツの音が鮮明に聞こえる。ツーバスを絡めたスピーディなソロで、真新しさは特になかったが、トミーというドラマーを紹介するには時間的にも丁度良いぐらいであったかもしれない。(本当の事をいうと、ソロ・タイムはSABBATHにはあまり必要だとは思っていないのだが。)そのソロからバス・ドラだけになり、すぐにオーディエンスも「あの曲だ!」と分かる。「I~~am iron ma~~n!!」
この曲も初めて聴いた時はやはり「手抜き?」と思ったぐらいに、ヴォーカルとリフがユニゾンしっぱなしというとんでもないインパクトの曲だったが、何度繰り返しても「これなんだよ!」という麻薬性のあるリフがホントに凄い説得力を持っている。このアイディアとリフの存在感は普通の発想では出てこない。やはり、リフ・マスターの発想はここに極まれりなのである。もちろん、中間で一度スピーディーに展開し、ラストもドラマティックなリフに彩られてエンディングを迎える。名曲である。

「我々の新しいアルバム『13』からの曲だ。"God Is Dead?"。」とついに新曲を披露。YouTubeで全曲が聴けるので、俺はほぼ覚えてしまっているが、さすがにまだ浸透してはいないため、ここで一旦オーディエンスは休憩といった感じであった。
しかし、この曲はライヴになるとさらにパワーを増すようで、特に後半の激しいリフ展開には物凄いエネルギーが宿っている。最初は凡曲かも?などと思っていた自分だが、すでにこの曲に吸い込まれてしまったようだ。

「もう1曲」と言ったので、もしかして新作からか?と思ったのだが、それはライヴの最後の曲という意味だった。三連の重く鋭いながらも浮遊感のある雰囲気のリフが響く!"Children Of The Grave"!!!
イントロの"Embryo"はなく今回はそのまま入って来た。それにしても間違いなくこれを速くしたらMETALLICAのあの曲のリフになってしまう、というほどの強烈な個性のリフだ。80年代、これが収録されている「MASTER OF REALITY」が「アコースティックな側面も持ちだしたが、アイディアが空転して散漫な出来になった。」といたる所でかなり書かれていたのを思い出すが、もちろん、最初に聴いた時から「なんてコアでへヴィなアルバムなんだ。」と思っていたし、それは大いなる疑問だった…。

アンコールはそれほど待たせることもなく現れて、いきなり"Sabbath Bloody Sabbath"のリフを弾いたが、すぐにギターのスライドからギューンギューンギュン……とあのリフへ!"Paranoid"!
オジーのバンドではソロ後にリフの最後で「Hey!」という掛け合いがあり、これは本家ではやっていなかったのだが、今や、もう本家でもオジーのアイディアがドッキングしてこの掛け合いがないことはライヴでは考えられない。しかも、ライヴ盤などではこの掛け合いの時は、アイオミ先生も歪みを小さくして、ちょっとジャジーなリックを弾いていたり、なかなかオシャレだったりするのだ。(今回はそういったアイオミ先生のオブリも聴きたかったが、それはなく少々短い感じだった。)

21時に終了。

オーディエンスは満面の笑みに包まれて、心地よい疲れを感じていたはずだ。
そして、「BLACK SABBATHはやっぱり本当にいたんだ!」という感想を持った人がたくさんいたようだ…本当に夢のような時間だった。それぞれの…ギーザーが弾いたオジー・バンドであったり、アイオミ先生しかオリジナル・メンバーのいないSABBATHだったり、ギーザーとアイオミ先生はいるけど、ヴォーカルはマーティン…とかいろいろなラインナップを見てきて、しかし、ビルはいないけれども、3人のオリジナル・SABBATHが集まって曲を奏でることは、単にそれら3人が集まって生演奏をしたというだけでないマジックが確実に存在していた。
ビルが参加しないと聞いた時、「そんなのはBLACK SABBATHじゃなくて『LACK(不足) SABBATH』だ!」などと俺は憎まれ口を言ってしまったし、ビルがいたなら、とは思う。でも、やはりそれは失礼なことだったと今にして思う。
これだけのライヴを体験出来る、俺が好きになって本当に26年ぐらいの月日が経って、こんな事が起こるとはやはり実際に見てみるまで信じられなかったのだ。



ありがとう、BLACK SABBATH!!!







God bless you all!!!

BLACK SABBATH@幕張メッセ 国際展示場9~11ホール 5/12
SET LIST:
1. War Pigs
2. Into The Void
3. Under The Sun
4. Snowblind
5. Black Sabbath
6. Behind The Wall Of Sleep
7. N.I.B.
8. Fairies Wear Boots
9. Symptom Of The Universe(リフ展開のみ)~Drum Solo
10.Iron Man
11.(New Song)God Is Dead?
12.Children Of The Grave
-Encore-
1. Sabbath Bloody Sabbath(リフのみ)~Paranoid





http://youtu.be/ejmEPfHP9Fh





http://www.blacksabbath.com/