ようやく 7時、待ちに待った朝。
隣のベッドで寝ていた夫君が目を覚ましました。
「夫君」
「……んん~?」
「やっぱりだめだと思う…お腹が痛くて…出血も止まらなくて…一睡もできなかった…」
言葉にした瞬間、涙が流れました。
泣かないかもしれないと思ってたけど、無理でした。
夫君が手を握ってくれて「一人だけに辛い思いさせてごめんな…」と優しい言葉をかけてくれるから、余計に涙が止まりませんでした。
上司には体調不良ということで休みの申請をLINEで送り、朝食を食べて夫を見送ります。
その日、外は雨が降っていました。
1人になって窓から外を見ていた時、ずるん、と何かが出てきたのがわかりました。
透明の、ゼリーみたいな丸いもの。
初めて見たものだけど、胎嚢だ、とわかりました。
全部出てきてしまった。
涙が堰を切って溢れました。
声を上げて泣いたのはいつぶりだっただろう。
10か月待ちきれずに出てきちゃったんだね。
お腹の中にいるのがしんどかったんだね。
ようやく楽になれたんだね…。
夫君に胎嚢が出てきたことをLINEで伝え、まだ形のない子供を写真に収めました。
夫君が望むなら見せてあげようと思って。
容器に保管して、クリニックの開く時間を待ち、電話で出血のことを伝えました。
👩⚕️「今から来てください」
胎嚢を袋に包んで、クリニックへ。
看護師に数日間の出血の状態を伝え、やがて内診室に呼ばれてエコーでお腹の中を診てもらいます。
子宮の中は、からっぽになっていました。
先生からは進行流産だと言われました。
手術しなくても時間がたてば子宮内は綺麗になるでしょう、と。
病院では絶対泣かないと決めていたので、泣きませんでした。
持参した胎嚢は提出して病理検査にかけてもらうことにしました。
クリニックから駅までの道を泣きながら歩いて、トツキトオカのアプリにいた赤ちゃんの成長を、停止させました。