<これは卵巣がんを患った体験談。個体差があるため、参考程度に読んでくださいね>

 

  抗がん剤治療

退院してから約1カ月後。抗がん剤治療をはじめる。全6回の投与となる。
 

治療前にやっておくべきこと

1. 髪を短く切る。できれば坊主の方が毎日の掃除がラク。また、外出用のウィッグ購入がおすすめ。国からの補助金制度もあり、私の場合は約10万円のウィッグを購入し、1万円の補助金をいただいた。受け取り方法は、申し込み用紙を病院から入手し、記入後ポストに投函。その後指定口座に振り込まれる。

 

2. 抗がん剤治療の副作用対策グッズの購入。※個人的に考えた対策です。後ほど解説

 

一般的な副作用の症状

吐き気。しびれ。脱毛。脱力。肌あれ など。

 

副作用への私の対策と結果

投与後3日目から5日目あたりにくる山越えは「気合いと根性」が必要だけど、決して頑張らなくて良い。そして、欲張りな私はお肌へのダメージを最小限に食い止めたい。抗がん剤による老化の進行だけは断じて避けたい。

そのための秘策を2つ試してみた。

 

1. 免疫力アップ&肌へのダメージ対策
抗がん剤治療を受けるには、一定の免疫力が必要で基準値に満たない場合、その日は治療を受けられない。そのため、私は投与初回の1週間前から免疫力アップのためにサプリメントの「プロポリス」そして、肌荒れ対策のために「ロイヤルゼリー」を飲み始めた。恐らくもっと早くから飲んだ方が効果的だったに違いない。治療中は欠かさず飲み続けた。勿論主治医に飲用することを事前に相談。サプリメントは薬ではなく食品にあたるため問題ないとの返答だった。

 

⇒【1.の結果】免疫力アップ&肌へのダメージ対策
そもそも比較ができず効果を語るのは難しいため、事実のみお伝えします。
投与4回目直後に大腸炎になった。そのためか免疫力が低下し5回目に抗がん剤治療を受けられる基準値を下回った。1週間延期しギリギリで基準値をクリアし治療。6回目も同様に1週間延期となった。結論として、サプリメントによる目に見えての効果はわからなかった。肌荒れについては、私の場合は背中だけ。詳細は後程。

普段の生活は、家事はほとんどできた。もちろん体がキツイ時は家族に任せたが、精神的にも穏やかでいられた。治療の終わりが見えているから気持ちが萎えることなくいられたのだと思う。治療が終わる日をただただ待ちわびた。

 

2. 手足のしびれ、頭(毛根)へのダメージ対策
本来、手・足・頭など末端まで抗がん剤を効かせる必要はないそうだ。だが、血のめぐりにより末端まで到達し、しびれや脱毛などを起こす。
そこで、投与中に自分で準備した冷却アイテムで手・足・頭を冷やし血の巡りを鈍らせ、抗がん剤を効きにくくした。※ 実際に効きにくくなっていたのかは証明できない
特に足のしびれは、治療後も一生残る可能性があると主治医から聞いていたので、念入りにケア。ただでさえ足は手術でリンパ節を取り除いたため、むくみやすい。退院後半年は日常的に医療用ストッキングを履いた。

 

<冷却アイテムのご紹介>
毎回投与当日に、手・足・頭を冷やすアイテムを一式、病室に持ち込んだ(事前に病院側には許可を得た)。

 

●冷却アイテム(ネットショップで個々に購入。約6万円)
・急速冷凍可能なクーラーBOX
・(保冷剤が入る)指先フローズングローブ手用
・(保冷剤が入る)指先フローズングローブ足用
・(保冷剤が入る)帽子頭用
・保冷剤 大16 小20 ※少し多すぎた
・医療用ストッキング(投与中も履く)
・靴下とビニール手袋(冷た過ぎる場合に調整)
・延長コード(クーラーBOXの移動時用。あると便利)

 

投与日のスケジュール

●前夜

冷却アイテムの準備。-18°から-20°にクーラーBOXをセットし、取り換え用の保冷剤を冷やす。手足のグローブと頭皮の専用帽子も一緒に冷やしておく。

 

●当日

日帰りのため、家族に送迎を頼んだ。行きは、冷却アイテムを車に乗せるのも一苦労で、駐車場から院内での移動は家の台車を使用した。病室まで家族に付き添ってもらうと荷物の番など何かと助かる。冷却アイテムは病院の電源をお借りし、常時冷やす。帰りは投与するクスリの中にアルコールが入っているため、自分で運転したら酒気帯び運転となるためNGだ。

 

<病院内でのスケジュール>
1.採血所で採血。結果がでるのに約1時間まち。主治医から投与可能か数値で判断される。私の場合、毎回採血が憂鬱だった。3~4回ほど必ず失敗するからだ。治療中は血管が細くなり採りづらくなるため、ホッカイロを持参し手を温めておく必要があった。温めると血流が良くなり採血しやすくなる。

 

2.病室で吐き気止めなどの錠剤を飲む

 

3.点滴準備。採血とは別の腕に点滴を打つ

 

4.冷却アイテムのセット
投与開始15分前くらいからクーラーBOXをベッドのすぐ脇に移動させ、保冷剤を取り換えやすい位置にセット。足に薄い靴下を履き、その上にビニール袋をはめてから保冷剤の入ったグローブに足を入れる。頭は保冷剤が入っている帽子を被るのみ。それぞれ保冷剤がぬるくなったらクーラーBOXから新しい保冷剤を取り出し取り替える。最後に手は薄いビニール手袋をし、保冷剤を入れたグローブをはめる。

 

5.投与開始
点滴から吐き気止めや水分調整のクスリなどを15分ほどで注入し、パクリタキセル、カルボプラチンの順に投与された。点滴開始が10時頃の場合、終わるのは16時頃だった。

 

初回は1泊入院での投与となり、婦人科の病棟となる。途中トイレに行きたくなるため、点滴を引きずりながら部屋を往復する。もちろんその際は手・足のグローブは取り外すため、薬が末端まで届きやすくなるのではないかと心配になる。いかに早く戻ってくるかが勝負だ。オムツも考えたが大量に尿が出るため現実的ではない。

2回目以降は日帰り(通院)となる。病室も抗がん剤治療専用の病室となる。ベッドか椅子タイプのどちらかのスタイルで投与する。基本的に選べないが、荷物も多く毎回ほぼ一番乗りで入室していた私は毎回ベッドを案内された。

トイレも部屋の中にある。そのうえ、トイレに行く際には看護師さんが点滴の袋を毎回薬から水に切り替えてくれるため、早く戻る必要がなくとてもありがたかった。トイレに行く10分前くらいに看護師さんに予告し、トイレから戻ったらまた声をかけ薬に切り替えてもらう。

投与中、パクリタキセルはアルコールを使用しているため、眠くなる。スマホ(イヤホン)で動画を見ながら、時折り寝ていた。
昼食は持参。しかし食欲がなく、また冷却グローブをしているため夕方小さなパンを少し食べる程度にした。

 

私の副作用の症状

冷却アイテム使用など副作用対策を実施したうえでの症状をご紹介します。※個体差あり

 

・味覚障害
投与直後にまずこの症状がでた。食べるとすべて変な甘さを強く感じ、塩味が感じづらい。
投与後1週間経つ頃には、味覚はほぼもとに戻った。逆に食欲増進の波がきて、とにかく腹ペコ。食事がとても美味しく感じ、楽しみで仕方がなかった。カツ丼など特にお肉が食べたくなった。

投与2週間後には、食欲も正常にもどった。この症状は投与初回から6回目まで毎回ほぼ同じだった。

 

・しびれ
初回投与後、体のいたるところで「ピキン」と痛みが走ったが、3回目になるとその回数は減った。手のしびれは一度もない。気になるのは足。投与の回数が増えるごとに足の裏の違和感が増す。これがしびれというものなのか微妙だがもう1枚皮膚が貼りついたような感覚だ。他の患者さんの話では、手足のしびれがどちらもあるようだった。

 

・肌荒れ
背中の皮がぼろぼろに剥けた。脱衣の際にたくさんの細かい皮が服にびっしりついていることに気づく。人によって違いがあるようで、足の裏がぼろぼろになる人もいるそうだ。投与5回目くらいには、剥ける皮がなくなったようだった。だからといって、ちゃんと背中には皮は残っているので、何も変わらない生活を送った。

 

・脱毛
髪の毛、眉毛、まつげ、鼻毛、脇毛、すね毛など、全身の毛という毛が抜ける。病的に見える要因はここにもあるのではと思う。

 

●髪
抜け始めの合図は、風に吹かれると頭皮が痛いこと。私の場合は投与から1ヶ月後から抜け始めた。すべての投与が終わってから2か月後。こめかみを除き、びっしり満遍なく生えてきた。

 

<ウィッグ店からのコメント>
私の髪について投与開始から終了までを見てきたウィッグ店(店長さん)から言われたコメントをご紹介。

通常は、1ヶ月ですべて抜け落ち、復活の際は、落ち武者のような生え方をしてくるケースが多いそうだ。私は、2ヶ月目から抜け始め、復活は、満遍なく生えスピードも速いと言われた。冷却した効果はあったのではないかとのコメントをいただいた。

別の人の話もしてくれた。冷却法を取り入れている病院もあるが、高額なうえに冷却温度がもっと低いためその過酷さから治療を断念する人もいるそうだ。そんな中、やり遂げた人がいて、後頭部の髪は最後まで残り、復活のスピードも速かったということだった。

以上のことから、冷却は有効ではないかという結論に至った。私もチャレンジして良かったと思う。半年でベリーショートくらいに髪が伸びた。その頃には帽子を被らなくても気にすることなく外出ができた。最初に生えてくる毛はパーマがかかったようにクリクリしたクセ毛。2回くらい美容院で毛先をカットし整えた。1年経過したが、こめかみ以外は問題なく生えている。

 

●そのほかの毛
困るのは鼻毛だ。こちらが気づく前に鼻水がそのままツツーっと流れでてしまう。
眉毛、まつげも生えてくるのか心配になるが、治療後2ヶ月後には、ちゃんと生えてきてくれた。

 

・吐き気
治療中はなかった。日々進化を遂げている吐き気止めのおかげだと思う。私の場合、抗がん剤治療終了後、免疫力が回復していない時期に1度気持ちが悪くなったが、その程度だった。

 

・頻尿
毎回投与後の1週間は夜中に4、5回はトイレにいった。ただでさえ起き上がる動作がツライ時期だが、ここは根性で起き上がった。

 

・脱力
投与後は毎回訪れるダルさ。特に投与直後の1週間は、下半身に力が入らず足が踏ん張れない(一応歩ける)。

 

最後に

最後の抗がん剤治療から1年が経った。今のところ再発はしていない。抗がん剤治療の後遺症で足の裏に少し違和感があるものの、足のむくみも気にならず、髪はこめかみが生えにくいものの、ショートカットの部類まで伸びた。

ただ1度、生焼けの牛肉を食べて下腹部に強烈な痛みがあった。以前処方された薬でおさまったが、その時の体調によるものだと思う。普段は赤みが少しある焼き肉を食べても何ら問題はない。

 

今回の闘病生活で感じたこと、それは身体の異変は自分で気づけることもあるため、日頃の身体チェックや些細なことでも病院へ行くべきだと思った。医学の進歩に感謝しつつ、頼りすぎないことも大切。