やるぞ!確定申告 その11 医療費控除 | 理系税理士 佐原三枝子のラジカルトーク

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宝塚で開業している女性税理士です。
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確定申告といえば、代表的なものが医療費控除ですね。
 
よく知られている制度ですが、なかなか奥が深い。
 
制度の概要は次のようになっています。
(医療費の合計-保険金等で補填された金額)-(10万と総所得金額の5%の少ないほう)
 
病院の領収書を合計しても10万にならないから
医療費控除できないよね、といわれる方がありますが
総所得金額の5%と10万の少ないほうがカットされるのですから
総所得金額200万以下ならば、カットされる金額は10万を下回ります。
 
 
医療費の領収書は
「自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族にかかる医療費」
と規定されています。
 
ですから、10万の足きりをクリアするためにも、また、
同じ所得控除でも税額の低減の効果を大きくするためにも
累進税率の高い人に集約して適用したほうが、お得になります。
 
もし、領収書の合計が10万に満たなければ、
むしろ、所得の高い人は足切りで医療費控除が受けられなくなるので
総所得金額が200万以下の人に医療費控除を受けてもらうほうがお得です。
 
次に、保険金等で補填される金額ですが、
領収書の合計が30万で
そのうち入院費が10万あって、そこに20万が保険から補填されたとします。
ならば、
30万-20万→10万 アウト!?
ではありません。
 
30万-10万(補填された入院費のみ相殺)→20万 で医療費控除は10万適用
となります。
 
くれぐれも、保険金の引きすぎにはご注意ください。
 
 
そして、最も難しいのが、医療費になるもの、ならないもの、なのです。
 
ならないものの代表は、
視力矯正の眼鏡代、健康診断料(それで病気が発見された場合は控除対象)、
予防接種代など。
 
逆になるものの代表は
本人が病院に通うための交通費(駐車場代は×、電車・タクシー代はOK)
特別養護老人ホームの施設サービス費のうち
介護・食事・居住費は自己負担の半額。
訪問介護サービスの自己負担は
ケアプランに基づいて、医療サービスとあわせて利用する場合は対象となります。
風邪薬など、治療のために支出した金額は
薬局で買ったレシートで医療費控除ができます。
 
医療費控除は、あくまで支払ったレシートがないと受けられません。
医療費のお知らせのはがきでは適用がありません。
1年間分の医療費のレシートをなくさないように
入れ物を決めてためておく習慣をつけておきましょう。