フットケアスペシャリスト 石井園子です。

当店は
2016年 9月末日を持ちまして閉店する運びとなりました。


まだ4ヶ月も先のことですし、
今、こうしてご報告することで、
お客様が少なくなることも承知しておりますが、
継続してのケアをご希望されるお客様への
対応が出来なくなってしまうことを考え、
早めにご連絡させていただくことになりました。

閉店を伝えると閉店の理由を聞かれるのですが、
経営者になりきることが出来なかった。
その一言です。
大変申しわけありません。


最近女性起業家になる方が増えています。
何か自分で立ち上げて、起業する。
これはどなたでも出来ると思います。
(これを読んで、無理と思った方はまず出来ませんが。)

大切なのはそれから。
継続をさせていくこと。

私はそれが出来ませんでした。
店を継続することが、
現実的に無理だとわかってから、
なぜ、こうなってしまったのか。
理由はあるのですが、その一つが、

家族の顔色を伺っていたこと
そのことなんです。

女が仕事をするなら、
全てがパーフェクトではありませんが、
家事や育児をしっかりやらないと、
仕事をしてはいけない。

独立前からずっと思っていました。

どんなに体が辛い時でも、
心が辛い時でも、

やることをやらなければ、仕事をしてはいけない。

と思っていました。
趣味の仕事では無いのにね。
収入を得ないと生活が出来ないのにね。


私が育った家庭では、
嫁姑の仲が悪くて、
父は保険屋の営業で終電終わって帰ってくるし、
土日はゴルフで不在。

母が病で命を落としかけた時、
母の実母(祖母)が病院を探して転院をしたのを機に、
父は彼女を作り彼女の家へ同居を始め、
母は3年近く入院。
そして、私は母方の祖父母の家へ預けられた。
父は彼女と亡くなるまで同居を続け、
私は父の家へも彼女が亡くなるまで
行くことはありませんでした。

そんな経緯からなんでしょうね。
明るくて安心できる
家庭や家族への憧れもあったのかもしれません。

「私が大好きな人と安心していられるところ」
それが家族であり家庭だった。
「好きな人とずっと一緒に居られるところ」
それを守りたかった。

でもそれがいつ頃からか、
違ってきたのだろうな。

「家族の顔色を伺うところが家庭になっていたんですよね」

仕事で疲れたから、
今日は掃除しない!と宣言が出来たかといえば、
嫌な顔されるだろうな。。
それを思って、掃除をする。

食後の片づけも遅くなったから、
翌朝にしようと思っても、
片付けろよ!と怒られるかな。。
思って、片付ける。

そんな小さなことの積み重ねが、
いつしか私の中で
「やらなければならない」に変わっていた。

ほとんど、嫌な顔や断られたことはないのにね。


特に独立をしてから、
仕事としてやらなければならないことは沢山ある。

特に昨年受けていたコンサル。
必要なことはこんなにあるのか!と思うほど、
やることはある。
だから、1時間でも2時間でも多く仕事をしていたい。
サロンに泊まってしまいたい。。

でも、
家での「やらなければならない」はそのまま。

家族へお願いすれば良いじゃない。
と思う方も多いでしょう。

でも、
それが出来なかった。

なぜって、
お願いをした時に、
家族からの「えっ?」という
眉間にシワを寄せた表情。
をされてしまった時の申し訳ない気持ち。

家族に嫌な気持ちをさせてしまった。
そのことが、たまらなく嫌で、申し訳なくて。
その気持ちを持つくらいなら、私がやれば良いや。

その繰り返しだった。
きっと、嫌われて一人になるのが嫌だったんでしょうね。
嫌われるかどうかわからないのにね。


通常の生活に
量の増えた仕事が加わる。

睡眠時間、あっても3時間。
体と心が悲鳴をあげました。

でもそこで初めて気がついたんですよね。

家族の顔色を伺っていた毎日。
ええかっこしいの自分。
助けて欲しいのに、言えない自分。

家族なのにね。
喧嘩も出来ない。

いくら家族だって、
言わなければ、口に出さなければわからない。

仕事を好きで続けたければ、家族の顔色なんて伺わないで、
没頭しても良かったじゃない。

その後で、
素直に家族を放っておいてごめんなさいって、
言えば良かったって。

でもね。
わかった時には全てが遅かった。

全てが中途半端になって、
続けていくことが難しい状態になっていました。

皆様が間違ってはいけないのですが、
家族が全く手伝っていないわけではありません。
休日に食事の支度も、ベルさまの散歩も、
掃除だってしてくれます。
それには大変感謝をしています。

それでも、大変だと思う時。助けて欲しい時に、
「これ手伝って!」が話せなかった。
顔色を伺う前に、助けてが言えなかった。

それなら、今からやり直せばいいじゃない!
その考えもあるのですが、

経営状態として、冷静に考えた場合、
やり直すことが大変難しい状態になっていました。

本当に悔しいのですが、
自分で招いた結果。
仕方がありません。

そして、
これから起業を志す方へ。

家庭は生活の基盤となるところ。

起業をする前に、
家族で今一度話し合ってください。

仕事について、
家族について。

良いことも、悪いことも
まるっと話すことが出来たなら、
どんなに仕事が忙しくなっても
乗り切ることが出来るでしょう。

でも、
どこか少しでも話しあうことが出来ないなら、
お互いに文句が言えないなら、
起業をするのを少し遅らせた方が良いかもしれません。

閉店後はまだどうするかは決めていません。
今は、閉店に向けて一人でも多くの方へ、
しっかりとフットケアをお伝えすることへ
全力を出していきます。

あと、数ヶ月となりますが、
どうぞよろしくお願いいたします。

石井園子