- LineArt Story - Chapter1
「第1話」
~ラインアートの少女たち~
私の名はピクセル=エイリアス。
旧姓ラインアート。
魔法学校を運営している事で知られる
ラインアート家の娘であるが
現在は実家を出て
プロハンター業をしている。
1年前、突如消息を絶った
夫の「スプライト=エイリアス」の
行方を探しながら
1歳になる息子ピクトと暮らしている。
昨日、森を散策していると
強力な魔力を持つ少女に出会った。
しかし、それは13年前の時代から
タイムスリップしてきた
少女時代の私であった。
一体どのようにして来たのか
その原因をつきとめ
なんとしても元の時代に
帰さなくてはならない。
それまで少女は
私が保護する事にした。
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ピクセルが目覚めたのは
昼の12時だった。
目覚めがさわやかじゃないのは
昨日、というか朝方まで
疲れまくっていたのもあるだろうが
どうも体が汗くさいのも
その原因の一つだろう。
シャワーを浴びに下に降りてきたら
「昔の自分」は寝ていた。
また寝てる・・・。
その微笑ましい光景に
ピクセルは思わず笑ってしまった。
そういえば、
私は昔よく寝ていたような気がする。
いくら寝ても寝足りなくて、
朝から晩まで終始、眠くって。
この子もきっとそうだ。
いつも眠いに違いない。
なにせこの子は私なのだから。
ピクセルは「昔の自分」を
起こさないように
そっとその場から立ち去り
静かにシャワー室へ向かった。
シャワーを浴びて
いくらかさっぱりした
髪の毛を拭きながら
「昔の自分」を起こした。
「ふわぁ~、もう朝れしゅか~?」
「くすくす、もうお昼ですよ。
起きて下さい。」
ピクセルはエプロンを着け
遅い朝食を作り始める。
もちろん「昔の自分」の分も。
キッチンで料理を作っていると
「昔の自分」がそばに来て
ピクセルにこう言った。
「ねぇねぇ、わたちとお姉しゃん
2人ともピクセルっていうれしょ~。
区別がつかなくなっちゃうから
わたちの事は
「ちびぴく」って
呼んれくらしゃい、ね」
その可愛らしい名前に
思わずピクセルは微笑んだ。
「可愛い名前ね。
そう呼ばせてもらうわ」
ピクセルは手際良く料理を皿に移し
テーブルに運んだ。
ちびぴくは「おいしい」を
何度も連発して、笑いながら食べた。
それを微笑みながら見て
朝食を食べていたピクセルに
ふとある考えが浮かんだ。
ちびぴくは
しばらくこっちの世界に
居なければならないので
本来通っていた過去の学校に
行く事ができない。
ずっと家に篭らせておくのは
成長期の子供にとって良くないから
短期間とはいえ
こっちでも学校に通わせるべきだろう。
しかし、ピクセルは
ハンターの仕事があるし
パッカードはちびぴくに
姿を見られてはいけない状況にある。
それに、ピクセルは
現在ラインアート家と
絶縁に近い状態にあり
おいそれと近づくのは
なるべく避けるようにしている。
他に誰か、ちびぴくを
学校に連れて行ける人は
いないだろうか。
小一時間考えた結果、
その人物は意外と
あっさり見つかった。
それは、現在
ラインアート魔法学校の
小等部1年に在籍している
従姉妹の「アプレット=ウインド」
通称「あぷりん」である。
アプレットはとても積極的で
かつハイテンションな子なので
おっとりとした、ちびぴくとは
逆に気が合うかもしれない。
2人とも同じ学年だし
正に適任だといえよう。
一足早く朝食を済ませたピクセルは
デスクに向かいパソコンを起動させた。
そしてメールの欄を開き
手慣れた手つきで文章を打った。
あぷりんへ。
あなたにお願いしたい事があるの。
今度、私の友達の娘さんで
ちびぴくちゃんという名前の
あなたと同じ学年の子が
ラインアート魔法学校へ通うんだけど
一緒に連れていってくれないかしら?
その子、ここの学校初めてだから
道がよく分からないと思うし
一緒に行った方が
楽しいかなと思って。
OKだったら返事下さい。
ピクセルより。
誤字や脱字が無いのを確認して
送信ボタンを押した。
アプレットからの返事を待つために
パソコンの電源をつけたままにして
デスクを離れた。
空になった皿を流しに持っていき
洗剤をつけて洗おうとしたその時だった。
パソコンのメール受信のランプが点いた。
こっちが送信してまだ
10数秒しか経っていないというのに・・・。
相変わらずアプレットの早レスには
驚かされつつも再びデスクに向かい
メールを開いた。
ピクねえちゃんへ♪
ほんとぉ?わぁい嬉しいな。
あぷりん気合はいっちゃうよぉ~。
早く会いたいな♪会いたいな♪
っていうかもう会いに行くよぉ。
今からそっち行くからね!ばびゅーん!
あぷりんより。
このメールを読み終えた直後
ピクセルの家の
チャイムが鳴った。早っ!
「は~い、だれれしゅか~?」
ちびぴくは読んでいた本を閉じ
玄関のドアを開けた。
ドアの向こうには
自分より少しだけ背丈の高い
深緑色の髪の少女が立っていた。
ちびぴくが「こんにちわ~」
と挨拶するのとほぼ同時に
少女はちびぴくに抱きついた。
「あなた、ちびぴくちゃんでしょぉ~。
あたしはアプレット=ウインドだよぉ。
よろしくぅ~♪」
ちびぴくは今起きた事が理解できず
頭の上に?マークを飛ばしていた。
その混乱を解くために
ちびぴくは学校へ行くこと
その際にはアプレットが
迎えに来てくれる事を説明した。
それを聞いたちびぴくは
「やった、やった」と喜んでいた。
ラインアート魔法学校は
ピクセルの実家である
ラインアート家が運営し
ピクセルの両親がそれぞれ
理事長、副理事長を務める
指折りの教育機関である。
かつてピクセルは
中等部まで在籍していたので
当然、ちびぴくも
過去の世界では通っていたはずである。
ただ、1つ問題があった。
ラインアートという姓は
うちの家系以外には存在しないので
ちびぴくに本名である
ラインアートを名乗らせるのは
非常にマズいのだ。
「仕方ない・・・
偽名を使うしかないか」
ピクセルは首をかしげて
ちびぴくに付ける偽名を考えた。
ちび・・・ぴく・・・
ちびっく・・・ちーびっく・・・
・・・チービック
「ピクセル=チービック」
「よし、これでいこう」
ピクセルはポンと手をたたき頷いた。
安易なネーミングではあったが
時間も無いし
とりあえず納得する事にした。
ちびぴくの転入手続きや
制服などの準備は
パッカードにお願いする事にしよう。
パッカードはラインアート家の
内情に詳しく顔も利くので
このような場合いつもお願いしている。
2人が外で遊んでいる中
ピクセルはある人物の元へ
ビジュアルフォンをかけていた。
「あ、もしもし私よ、そうピクセル。
突然なんだけどプライマリィ
少し頼まれてくれない?実は・・・」
~ラインアートストーリー 第2話に続く~