- LineArt Story - Chapter1
「第3話」
~天才の魔法~
「さあ、ピクセルさん
フォイエの魔法をやってみなさい。
あそこに置いてある的に向かって
力いっぱい魔法炎を撃つのです」
担任の先生にそう言われた
ちびぴくは
どぎまぎしていた。
「どうしたのです?
もしかして、出来ないのですか?」
と、先生が尋ねると。
「れきましゅけろ~
れ、れも~・・・」
「何を言ってるのです?
やり方が分からないのなら
先生が教えます。
自分が出来ない言い訳は
したらいけませんよ」
先生にそう言われて
手元にあるロッドを握りしめ
躊躇しながら構える。
ちびぴくが
魔法の詠唱を始めると
ロッドの先に付いてある
魔宝玉が僅かに輝き始めた。
そばで見ているアプレットが
ごくりと息を呑み
その様子を見守る。
そして、ロッドから
フォイエの魔法炎が放たれた。
だが・・・。
ボッ・・・シュン・・・
魔法炎は的まで届かずに
途中で燃え尽き
力なく消えてしまった。
それを見て
先ほどの金髪女子が
ニヤニヤとほくそ笑む。
「はぁ、ピクセルさん
やっぱり出来ないのですね。
もう一度、説明しますから
おしゃべりせずに
きちんと聞く事。
分かりましたか?」
先生が言うと。
ちびぴくは
こくんと黙って頷いた。
ちびぴくが後ろに下がり
教室の教壇で
再び、先生のフォイエの魔法の
説明が始まった。
それを静かに聞く
ちびぴくの横顔を
隣に立っているアプレットが
心配そうに見つめる。
説明が終わったところで
今度は、生徒が1人ずつ
フォイエの魔法炎を的に当てていく。
アプレットが
ちびぴくにそっと話し掛ける。
「ちびぴくぅ~
もしかして、魔法が苦手なのぉ?
あたしが手伝うから
一緒に練習しよぉ~」
ちびぴくが目に涙をためて
泣き出しそうになっているが。
「あぷしゃん、わたち、
力いっぱい、やりましゅ~。
ありがろぅ~」
そう言うと
ちびぴくは溢れそうな涙を手で拭い
心配そうに見つめるアプレットに
ニコリと微笑んだ。
そして、ちびぴくの番が
回ってきた。
「せんせ~、力いっぱい
やってもいいのれしゅか~?
だいじょうぶれしゅか~?」
ちびぴくが不安そうに聞くと。
「大丈夫に決まっています。
この教室は
強力な魔力で守られているのです。
それに、あなたの魔法ぐらいで
壊れたりするほど
やわではありませんよ」
先生がヤレヤレといった表情で言う。
「ほんと~れしゅか~?」
繰り返し、ちびぴくが尋ねるが。
「心配性な子ね。
何かあったら先生が
責任をとりますから
力いっぱいやりなさい」
と、先生が呆れ気味に言い放った。
それを聞いた
ちびぴくは、安心したように
まぶたを閉じ
フォイエの魔法詠唱を始めた。
すると、ちびぴくの身体から
たちまち魔力のオーラが
溢れ出して
渦を巻き始めた。
グッと強く握っている
ロッドの魔宝玉が
先ほどとは比べ物にならない程の
激しい輝きを見せる。
オーラの渦が更に強くなり始め
教室内の備品や窓ガラスが
ガタガタと震え出した。
周りで見ている他の生徒達が
「な、なんなの、あれ?
あんなの見たことないよ~」
と、ガヤガヤ騒ぎ始めた。
「ち、ちびぴくぅ~、すごいよぉ・・・」
アプレットが
唖然とした表情で呟く。
そして、先生は
「こ、この凄い魔力は?!
ちょ、ちょっと!
ピクセルさん、待ちなさい!」
これはただ事ではないと
慌てて止めようとするが。
キッとまぶたを見開き
ロッドを振りかざした
ちびぴくが
的に向かって
フォイエの魔法炎を放った。
ボワァァッ!!
その瞬間、ロッドの魔宝玉から
凄まじい巨大な炎の塊が飛び出した。
それは的を当てるだけに留まらず
的そのものを燃やし尽くし
更に周りをめちゃくちゃに
吹き飛ばしながら
教室の壁に激しく激突した。
ドッドォォッーーン!!
激しい爆風が巻き起こり
教室全体がモクモクと煙に覆われ
気づいた時には
周りが見えない状態になっていた。
煙の中で生徒たちが
ゴホゴホと咳込んでいる。
ちびぴくが
「ご、ごめんなしゃい」
と謝り、近くで倒れ込んでいた
アプレットに駆け寄り
手を差し出すと。
「ち、ちびぴくぅ~・・・
あんたぁ~、すごいよぉ~~!!」
と、アプレットが
ちびぴくの手を握りながら叫んだ。
こんな状態になったにも関わらず
アプレットは
なぜか目を輝かせて歓喜に震え
遂には踊り出した。
その気持ちがよく分からずに
ちびぴくは目をパチクリさせていたが
アプレットは
ちびぴくの手を取りながら
まだ煙の舞う教室の中で
陽気に踊り続けるのだった。
~ラインアートストーリー 第4話に続く~