自分で書いてみた短編小説です
ぜひ読んでみてくださいねウインク
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その日をきっかけに、私たちの仲はどんどん良くなっていった。
誰と話している時より、琴ちゃんと話していた方がずっと楽しい。琴ちゃんは私の親友だ。
琴ちゃんは、普通の女の子。ただ、まわりになじめないだけ。どこも変わっていないんだ。
私はそう、思っていた。

そんな、ある日のことだった。
身体測定があった。
名前順に保健室の前に並んで、名前が呼ばれるのを待つ。
男子が先で、女子があと。
名前が呼ばれるまで、みんなそれぞれおしゃべりをしたりあくびをしたりして、時間をつぶす。
「渡辺くん」
最後の男子が呼ばれた。
女子はみんな上履きと靴下を脱いで、ひんやりとした廊下に、足をつけた。

「あっ」と、琴ちゃんの声。
私が琴ちゃんをみると、琴ちゃんの視線は窓のふちに向けられていた。
テントウムシ。小さくて、赤くて、黒いポツポツがある。
「かわいいな」そう、小さく呟く琴ちゃんの瞳は、キラキラしていて、まるでしずくのように澄んでいた。
生き物が大好きな琴ちゃんは、どんなに小さくても、どんなに気持ち悪くても、生き物を見つけると嬉しそうに目が輝く。
そんな時の琴ちゃんは、同性の私でもドキドキするくらい可愛く見える。
誰も琴ちゃんと話したがらないのは、この子のこんな一面を知らないからなんだ。と、私は密かに思う。でも、私は知ってる。琴ちゃんのどんな面だって知ってる。
そう思うと、胸が弾んだ。

「田尻さん」
琴ちゃんの苗字が呼ばれた。
「じゃ、終わったらエミちゃん廊下で待ってるから。一緒に教室もどろ」
琴ちゃんはそう言って、保健室に入っていった。

数分後、私も測定が終わって、廊下に出た。
ーーあれ。
琴ちゃんの姿が、ない。
結構、びっくりした。
だって、琴ちゃんは約束を絶対に破らない性格で、待ってるね。って言ったら、絶対待ってるはずなのに。
それとも、トイレに行ったのかな。

その時、声が聞こえた。
同じクラスの、鈴音さんの声だった。
保健室のすぐそばの、角を曲がった向こうから。
息を潜めて、聞き耳をたてる。
「そういうの好きとか、マジキモいんですけど!」
「ほんとほんと!マジキモーい!」
「女子としてどうなの?」
「てかその髪型もキモいじゃん」
「どんだけ髪伸ばしてんの。平安時代のおばさんジャーン!」
それに続いて、数人の笑い声。

いじめだ。
私は今、いじめを聞いている。
生まれて初めて、こんな酷い言葉を聞いた。
ヤバイ。どうしよう。
手は、汗でびっしょり。靴下の中も汗でぐしょぐしょ。
先生を、呼ばないと。
焦りながらも先生を呼びに行こうとしかけたその時、か細い、小さな声が。私の知ってる、あの子の声が、聞こえた。
「生き物、が、好きで、な、何が悪いの」
「いやいや。言わなくても分かるっしょ、そんくらい。だから友達とかいないんだよーっ」
「エミ、エミちゃんは。エミちゃんは、し、親友だよ。そ、そう言って、くれた、から」

私の体が、固まった。

琴ちゃんが、イジメられてる。

私に、助けを求めてる。





つづく