第2回目は…
劇団員・長野功さん
にインタビューしていきたいと思います!
(質問者・劇団員 大和田あずさ/本文中は敬称略)
大和田:劇団では古参の長野さんですが、ハミングの初演の時のお話を聞かせてください
長野:僕は舞台監督として参加してたんですけど、小道具でイチョウを撒き散らすシーンがあったんですね
大和田:イチョウを撒き散らす?
長野:そう、ゴミ袋の中のイチョウを撒き散らすんですけど
大和田:生のやつですか?
長野:そう生のやつ。それをバイトが終わった後に、深夜ゴミ袋の中にイチョウを詰める作業を一人で行っていたというのがすごく印象深いですね
大和田:バイト後、深夜にたった一人でですか?それはどんな気持ちで?
長野:みじめですね。あと周りの目がすごいよね
大和田:周りはどんな感じでしたか?
長野:めっちゃ拾ってんなコイツみたいな。ぎんなんとか拾ってるのかなって目で見られるっていう…
大和田:それは過酷ですね…
長野:しかもあれってちゃんと管理しないと腐るんだよね、袋の中に入れているとそのまま。なんだろう、腐葉土みたいになってくのよ腐って。当時僕は友達とルームシェアしていて結構大きな部屋に住んでいたんですけど、そこのベランダに、その葉っぱを全部敷き詰めて乾燥させる作業をやってたので、全くベランダに出られなかった
大和田:そんな実体があったんですね
長野:そういうことも含めてめちゃくちゃ印象深い公演
大和田:では、作ってきた過程について聞かせて下さい
長野:僕は当時、あんまり一番最初の稽古に関われてなくて、ただ「台本が大変だぞ」ということは耳にしていました。稽古場に行くとずーっと話をしていて、台本は出来ていないし…どうなるのどうなるの?もう本番近いんだけどっという状態だったのだけども、あきらかに役者という形ではなく三人の(キャストさんの)距離が近くなっているのを肌で感じました。ちょっとこの三人の中には入れないなみたいな。わりと僕距離感を取るっていうのは得意だったんだけど、なかなか結束が強くてすごいなと思っていて、あとは台本できたらすぐだったよね
大和田:台本ができたのはどれくらい前だったんですか?
長野:本番の二週間前くらいかな?
大和田:すごいですね。では、苦労したことがあれば聞かせてください
長野:旅公演の稽古で僕の私物のバックを急に仮道具として使い始めた時に、遊びも含めて僕のバックを役者さんが探すっていう体で、中身を全部出したんですよね。その時に僕のバックからコンドームが出てきて芝居が止まるという、そんなエピソードもありました
大和田:なるほど。では、共感できるシーンはありますか?
長野:アキラがハルの部屋に来て、自分の今の境遇について吐露するというシーンがあるんだけど、そこがすごくリンクする。幸せになりたい人間なんだけど幸せが怖くてそれを手放してしまうということを話すんですが、僕舞台監督だったので裏で小道具の手とかやってるんですけど、本番中裏で毎回泣いていました
大和田:舞台監督なのに
長野:舞台監督なのに。良いシーンだ!って泣いている。あとにも先にもそこだけかな
大和田:ちなみに自分が出るとしたらどの役やりたいですか?
長野:僕はやっぱりハルくんやりたいですね。父親を愛さなきゃいけないんだって所が。僕もわりとお父さんと仲が良くなかった時期があって、でも一緒に住んでいたしすごい軋轢があったわけじゃない。そういった中で、トラウマと向き合うというか…今父親と一緒にいるなって思う。だからその上で一皮むけるじゃないけど、(ハルの役が)出来るんじゃないのかなって思ったりします
大和田:長野さんの視点から見てこの作品をどう思いますか?
長野:置かれている環境から考えると(自分の環境より)作品の方がきついって思っていて、なんでかというと僕はずっと父親がいたから、「あれが不器用さだったんだなぁ」とか理解するのが難しくなかった。この作品だと、父親の愛情を受け取ることができないという部分でやっぱり距離があるから、そこと向き合うっていうのは、物語としてすごく大きいと思う
大和田:では、家族との思い出で印象深いものを教えてください
長野:パンチが効きすぎてて……家族って愛はあるけど理不尽だなと思ったのが、母親の運転で家族でラーメン食べに行ったんだけど、父親は泥酔していて一口食べたら満足で、「お前食え!」と言われてすごく頑張って食べたんだけども、母親も少食だから半分位残して、結果ラーメンを3玉くらい食べさせられたってことと……あとこれラーメン屋の話が三つあって
大和田:いっぱいあるんですね
長野:小学生の時僕太っていて80キロぐらいあったんだけど、父とラーメンを食べに行ったときあんまりお腹減ってなくて、普段だったらチャーシューメン大盛り食べるところを普通のラーメン食べたんだよね。父親は酔って「おい、普段は高いの食べるのに安いの食べて偉いじゃないか」って言って、その時のラーメン屋さんがカウンターで円形だったんだよね、カウンターの真ん中で父親が僕の名前を呼んで「長野功万歳!」って三唱したっていう
大和田:それは、どのような意図で
長野:もう、いい気分で「長野功万歳!長野功万歳!長野功万歳!」ってやって、その瞬間僕は号泣しながら自分の家の車に走りました。父親との素敵なエピソードです
大和田:ちなみに、残り一個のラーメンの話はどのような?
長野:父親が、すごい辛いのが食べたいって言って、ちょい辛・中辛・大辛があった中で中辛を頼んだんですね。まあその時も父親酔っ払ってたんだけど、辛すぎて号泣しながら食べていたのが印象的でした
大和田:辛いの弱かったんですね
長野:もうすげぇ泣いてて。あとにも先にもあんな泣いてる父親見たことなくて、かっこわりって思って。それですね、ラーメン三部作
大和田:では、自分の考えに大きく影響を与えたことを教えてください。
長野:やっぱり家族が大きいなと思う。父親がすごく強い人だったんで自分が父親に愛されているか分からないって時期があった。でも今になって思うとそれは不器用さの裏返しだっていうのが分かったんだけど。それによって人に対して優しくなったし、人を信じる事に臆病になった
大和田:優しくなったけれど臆病になった?
長野:そう、だから嫌われたくないが強い人間になったのかな、って思う
大和田:では、あなたにとって家族とは何ですか?
長野:先ほどの話の裏返しなんですが、すごく愛せる存在。今自分を形どってるパーツとして家族っていうのはいるから。今福島から遠い東京で会社員してるけど、やっぱり家族は大事だし、帰省するタイミングがあったら帰省したいと思っていますね
大和田:この作品をどのような人達に観てもらいたいですか?
長野:特殊な家族の在り方だから、家族が当たり前だって思っている人達に観てほしいですね。家族って存在は誰しもが持っているじゃないですか、意外とそこと向き合うことってなかなかできなくって、観終わった後に自分の両親だったり兄弟だったりの事を思いながら帰れるんじゃないかなって
大和田:最後にひとことをお願いします
長野:Pityman渾身の作品になると思うので、あまり気負わず、パッと劇場に来て、パッと観終わって、家族とお話できるきっかけがあると思います
大和田:ありがとうございました
第3回目は…
ミドリ役・阿波屋鮎美さんのインタビューです!!
(6/1更新予定)
お楽しみに!!

