某メーカーに提出するOEMタイヤテストが近日中に予定されている。OEMはタイヤメーカーとしての信用問題にもかかわるので、テストにはかなりの緊張感がともなう。前日には十分休みは取るし、お酒も飲まない。事前のミーティングもエンジニアと念入りに行われる。

どのようなミーティングをするかというと、どのような内部構造になっているか、どのような変更を行ったか、コンパウンドのことなど、話すことはたくさんある。カットサンプル(タイヤを輪切りにしたもの)を見て、実際に目で見て確認も行ったりする。

このOEM開発に関しては、リプレイス(市販)のものから少し改良を加えるだけの場合と、全く新しいものを一から開発する場合があるが、数回でOKとなるときもあれば、数十バージョンテストを行うときもあるのだ。今回のOEM用タイヤ開発は、リプレイスから選んだものに改良を加えて行っている。今回のテストでフロント・リヤタイヤとも、3バージョン目だ。

今回のテストは、内部構造を変えたものをフロントタイヤが2バージョン、リヤタイヤが1バージョンある。フロントタイヤは、フロント荷重気味で切り返しを行うと、若干接地抜けが見られるので、その対応策を施したものを、リヤタイヤは、フロントの内部構造変更に伴い、それにあわせて内部構造を変えたものを用意したというわけなのである。うまく行くかな~?タイヤのパターンがちょっと変わっているので、タイヤケース剛性とのマッチングが難しいところがあり、あんまり剛性力を上げても、パターンが負けてしまう可能性が出てきてしまうのである。そうなると、偏摩耗の原因にもなるし、荒れも大きくなったりするから要注意なのだ。

タイヤ開発の難しさはフロントタイヤやリヤタイヤ単体の性能だけでなく、前後のマッチングもよくないとダメなところにある。たとえば、フロントタイヤ単体としては性能的には申し分なくても、リヤタイヤとマッチングが悪ければダメなのだ。今回はフロントが2バージョンあるが、どちらともリヤタイヤと合わない場合は、NGとなる。原因がどちらにあるかを追求し、その部分を改良していくことになる。OEMの場合は、装着されるオートバイの、「狙いのハンドリング」を損ねないようにしないとならないし、リプレイスの場合は、様々な車種やユーザーに対応できる、ある程度オールマイティーでなければならないし、それぞれ違った意味でのタイヤテストの難しさがあるのだ。