当日はカンカン照りのまさに真夏日。34度と発表されていたが、この外気温じゃあ、タイヤ泣かせだろう。タイヤエンジニアが腕を組んで悩んでいる姿が想像できる。タイヤエンジニアはライダーに過去のデータなどをもとにどのタイヤが適切かアドバイスをするが、あとはライダー次第だ。ライダーの経験値がこの辺でものを言う。前後のタイヤ選定をどうするか、悩んだろうなー(笑)。
このことは別な機会に詳しく書きたいが、気になるのは日本製タイヤの実力だ。現在のところ、ミシュランの一人勝ちといってもいいだろう。125ccと250ccではダンロップも頑張っているが、最高峰のMotoGPではブリジストンはなかなか勝てないでいる。ウェットなどの特殊な条件化ではそこそこの性能を発揮しているが、ミシュランには足元に及ばないのが現状だ。しかし、ここにきて、ブリジストンの台頭がめざましい。今回のMotoGPでもブリジストンのDUCATIが優勝した。失礼だが、この快挙とも言える結果にブリジストンのエンジニアが涙したのは想像にかたくない。
ブリジストンは今回新しいコンパウンドのタイヤを投入したと聞いた。母国で開催される世界選手権で、なんとか勝ちたいというのは日本人なら当然の気持ちであろう。今回結果を出すのは、ブリジストンの至上命令だったに違いない。タイヤの開発には数年かかるのが普通だ。世界中のテストコースで、数年前から真夏の暑い日に一生懸命テストを行っているテストライダーと開発エンジニアの姿が目に浮かぶ。
昨年度は玉田選手がブリジストンを使用していたが、どうしてもレース後半にタイヤが持たなくなる展開が続いた。今回のもてぎは外気温34度(決勝)、マレーシアは40度(決勝)にも達したという。マレーシアの予選は34度だったが、上位5人のうち4人がブリジストンユーザーとなっているし、決勝でもDUCATIが優勝していることからしても、ブリジストンの優位性は明らかだ。外気温が34度~40度にも達する中で、十分なグリップが確保できたということは、大きな前進であるといえよう。これからが楽しみだが、課題も多いはずだ。
というのは、予選外気温34度、決勝39度となったカタールでは予選、決勝ともにブリジストン勢は精彩を欠いた。もちろん、タイヤのみの性能で全てを語れないが、もてぎやマレーシアで見せたアドバンテージはなかったといえる。カタールは非常に特殊な場所であることも考慮しなければならない。まずは湿度。外気温だけにとらわれてばかりではいけない。カタールは砂漠の真ん中にある珍しいサーキットであるが、湿度は限りなくゼロに近い。湿度が60%~80%にもなる日本やマレーシアとは、タイヤや路面温度に対する影響が大きく違ってくる。加えて、かなり滑りやすい路面でもあるようだ。カタールは昨年からレースが開催されているが、この特殊な気候下での十分なデータ収集(テスト)が出来ていなかったのは想像に難くない。
次回はこのカタールで露見した問題点について話をしてみたい。