森川キャサリーン事件 | pittaszkのブログ

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森川キャサリーン事件(平成4年11月16日)



憲法22条
 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

2 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

事件の概要
 日本人と結婚し日本の大学で講師として勤務しているアメリカ人女性である原告が、外国人登録法上の指紋押なつを拒否したため、一時海外旅行のためにした再入国許可申請を被告法務大臣により不許可とされたため、法務大臣に対し本件処分取消を、国に対し国家賠償を求めて争われた事件。

判例の趣旨(昭和61年3月26日 東京地裁判決)
 憲法二二条一項の規定は、日本国内におけるそれ〔居住、移転〕を指すものと解すべきであり、したがって、同条一項が我が国に在留する外国人の海外旅行の自由を保障する根拠規定となり得ないものであることは明らかである。
 次に、同条二項の規定について検討すると、同項の規定する外国へ移住する自由のなかには、日本国民が一時的に海外渡航する自由すなわち海外旅行の自由を含むものと解されるが。日本国民の海外旅行と在留外国人のそれとを比較すると、両者はその性質を全く異にするものといわざるを得ず、したがって、同項の保障する自由のなかに在留外国人の海外旅行の自由が含まれると解することはできないものといわなければならない。
 すなわち、海外旅行の自由は、当然のことながら、出国の自由のみならず帰国の自由が保障されていることを前提とするものであるところ、日本国民の場合は、その帰国の自由は、国民が国の構成員である以上憲法による保障以前ともいうべき絶対的な権利として認められるものであるのに対して、在留外国人の場合は、その我が国への帰国(再入国)は、国際慣習法上、国家は原則として外国人の入国を自由に規制することができるとされていることにかんがみ、当然に権利として保障されているということができないものであり、したがって、日本国民にとっては、帰国が絶対的な権利として保障されている一時的な海外旅行であっても、在留外国人にとっては、それは、あくまでも、当該外国人にとっての外国である日本からの出国と、権利として保障されずあるいは規制されることがあるかも知れない日本への再度の入国というべきものであって、日本を祖国とする日本国民の一時的海外旅行とは、その本質を全く異にするものであるといわなければならないから、在留外国人の海外旅行の自由は、憲法上保障されていないものといわなければならない。

問題
 外国人は、憲法上日本に入国する自由を保障されてはいないが、憲法22条1項は、居住・移転の自由の一部として海外渡航の自由も保障していると解されるため、日本に在留する外国人が一時的に海外旅行のため出国し再入国する自由も認められる。平成19年

解答 誤り
 日本国民にとっては、帰国が絶対的な権利として保障されている一時的な海外旅行であっても、在留外国人にとっては、それは、あくまでも、当該外国人にとっての外国である日本からの出国と、権利として保障されずあるいは規制されることがあるかも知れない日本への再度の入国というべきものであって、日本を祖国とする日本国民の一時的海外旅行とは、その本質を全く異にするものであるといわなければならないから、在留外国人の海外旅行の自由は、憲法上保障されていないものといわなければならない。