※※※ネタバレ注意!〜2023〜※※※


【ミステリー】☆

【アクション】☆☆☆☆☆

【ラブ?ライク?】☆☆☆☆

【うける】☆☆☆

【建物損壊】☆☆☆☆☆

【登場人物の豊富さ】☆☆☆☆☆


今回は予告からたっぷりフィーチャーされた灰原哀がメインとなり黒の組織との攻防が繰り広げられる内容だった。ミステリ要素は例年を超え少なくなっており、難易度で言うと「易」の一言に尽き、建物損壊に関しては、今回舞台となるパシフィックブイがユーロポールとの連携初日に大破という安定感であった。


パシフィックブイが所在する八丈島にて灰原哀が今回のキーとなる老若認証システムにより、宮野志保と同一人物という結果が出ていることが判明。ウォッカ、ベルモット、キール、バーボンがその場におり、ウォッカは確認が必要だと言うが、その他3人は謂わばコナン派のため話に乗らず孤立。そこで今回漆黒の追跡者でいうアイリッシュ枠で登場するピンガ(詳細は後述)と灰原哀の拉致を計画し、実行。拉致後にジンが合流するシーンにはキールの神ムーブにより灰原哀は逃亡したため、ジンの兄貴にキレられる安定のウォッカであった。

この拉致シーンでは見ている側も息を呑むような緊迫感があり、どうなってしまうのかと食い入って鑑賞していると突然毛利蘭が2階の窓から灰原哀奪還のため勢いよく飛び降りるという登場をする。不安と焦燥を抱いていたところに、おま?え?という混乱が生じ、感情が迷子になるため注意。

そして、拉致された灰原哀を追う阿笠博士(本名:阿笠博士)とコナンが奪還に失敗するのだが、そこで見せる阿笠博士の涙、コナンの表情には純粋に応援したい気持ちにさせられた。近年いじられキャラが定着した阿笠博士とのギャップ、また、コナンの貴重な取り乱しシーンも相まって、目頭が熱くなる思いだった。


登場人物の豊富さという項目を追加するほど、いつもの主要メンバー、黒の組織、FBI、公安、木下フサエ(本人出演なし)、宮野明美(回想)、イーサン・本堂(回想)が登場していた。重要なシーンに関しての人物の表情は手が込んでいるように感じたが、特にベルモットの艶感には作画担当の思いを感じた。かなり豪華なキャストとなったが、そのせいか前述の黒の組織の中でもジン、ウォッカ、キール以外とFBI以降のキャラクターはそこまで大きく取り上げられず、コルンの仕留め損ねや赤井秀一の電話と一撃、その他FBIは大した活躍なし、安室透(古谷零・バーボン)はほぼ連絡係、高木渉は今回登場なし、少年探偵団(小島元太、円谷光彦、吉田歩美)と鈴木園子は途中の流れで退場させられる運びとなっていた。

そのシーンで園子は「子供たちの面倒は慣れている」と発言。探偵たちの鎮魂歌では子供をミラクルランドに放置しようとしていたが、前々作の緋色の弾丸にて子供たちの仮面ヤイバー引率の流れを汲んだ進歩が表現されていた。


今作でのコードネーム持ち新キャラとなったピンガだが、一言で言うと「圧倒的小物感」である。初めに人物特徴で挙げられていた髪型が「コーンロウ」であるという点でどうぶつの森やポケモンSVにて設定できるあのコーンロウが脳内をよぎり、ピンガに対しての印象がほんわかしてしまったのが最後、「コーンロウ」という単語自体に笑みがこみ上げてくるのを耐え続ける羽目となった。ジンと張り合っているラムのお気に入り?という存在だったが、ジンと比較すると圧倒的格下と言わざるを得ず、コナンにジンより劣ると煽られた際にはブチギレてそのままコナンをリンチするシーン(ここでなぜコナンは煽ったのか謎。考えられる可能性としてはシャーロック・ホームズとジェームズ・モリアーティの関係性を意識し、悪役として認めていると言う感情を表現したかったのかといったところ)などがあり、最終的には始末される残念なキャラクターであった。


恒例の阿笠博士のダジャレクイズは年々地位を確立しついに導入の演出が組まれ、今回は少年探偵団のオーバーリアクションによってクイズが展開された。半ライス〜3回よそえば〜サンライズなんちゃってなどと言っていた当初では考えられない下剋上を成し遂げている。


ここで試写会後話題となってしまっていたコナンと灰原哀の海中シーンを振り返りたい。コナンが海中に沈んでいく中に救出に行った灰原哀が人工呼吸し、それを行った灰原哀自身が意識する思春期を思わせるシーンだったが、最後は工藤新一の唇の所有者の毛利蘭に返すという子供らしさと律儀な一面を見せており、可愛らしさが微笑ましかった。ただ海中から海面までの突然の心の声の多さには戸惑いを隠せず、そこから一気に雰囲気が変わり、コナンが地上に上がってから脅威の反応速度で爆発の飛来物を蹴り返すシーンを最後に、ふわふわと終わっていったのは惜しい点だった。心の声の中で灰原哀は、自分の正体がバレてしまいもう帰るところはないと悲観していたが、あっさりと帰宅しており、自分の居場所がない発言の無駄遣いであった。


原作本編に繋がる部分では、ベルモットがシェリーを抹殺しようと画策する執着が完全になくなっていたため、気持ちの切り替わり様に衝撃を受けた。また、老若認証を黒の組織のボスとベルモットが脅威と感じた点がやはりAPTX4869に絡んだ何かがあるという伏線となっていたと思われた。ラムによる最近ボスの姿を見ていないという発言もあり、今後の原作の展開に注目していきたい。

個人的趣味の部分では、パシフィックブイのエンジニアのエドの声優が神谷浩史ということで、最初の印象とは裏腹でただのしごでき人間で好印象が残るキャラだったため注目して欲しい。


今回のオープニング、エンドロールについても触れていきたい。オープニングは流れるようにじわじわとといった形だったため、前作までのオープニングによる気持ちの入り方との違和感に少々不満を抱いた。またエンドロールでは前作までの実写映像のみではなく、映画本編と繋がった映像が流れるためエンドロールだからという油断は禁物である。


次作は怪盗キッドと服部平次が登場。そろそろ服部平次と遠山和葉の関係性にも変化が訪れても良いのではと思うため、次作公開前に発展するのか、次作がきっかけとなるかと予想。引き続き期待していきたい。